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佐々木 政敏 院長の独自取材記事

前田医院

(東広島市/東広島駅)

最終更新日:2024/07/24

佐々木政敏院長 前田医院 main

小多田バス停から徒歩2分。田んぼが広がる地域に「前田医院」はある。佐々木政敏院長が叔父から受け継いだ同院は1945年開業。長年にわたって町のかかりつけ医として地域の人たちに寄り添い診療してきた。佐々木院長は消化器内科を専門とし、内視鏡検査には先進の機器を導入し、高水準の胃カメラや大腸カメラを提供している。良きライバルたちと互いに切磋琢磨しながら医師を志し、叔父の意志を受け継いで地域密着型の医療を提供することに尽力してきた。訪問診療や往診にも対応し、地域の訪問介護ステーションと連携しながら地域住民の健康と安心の増進に一役買っている。インタビュー中、何度も「地域のために」という言葉を口にしていた佐々木院長に、医師になったいきさつやクリニックの診療内容、地域医療への想いについて話を聞いた。

(取材日2023年6月15日)

専門性の高い医療と、きめ細かな診療を融合

まずは医師を志したきっかけから教えてください。

佐々木政敏院長 前田医院1

小学生の頃に、ストーブで大やけどを負ったことがきっかけです。ストーブの火が私の服に引火したんですよ。近くの病院ではとても治療ができないということで、広島大学に入院しました。長期の入院生活だったんですが、その時、私の担当だった先生が非常に親身に接してくれたので、自分もこんな医師になりたいと思ったんです。ただ、私一人の力では医師になれなかったかもしれません。私の弟、そして幼なじみとは良きライバルで相談相手でした。進む道は違いましたが、お互い切磋琢磨して自分のめざす道を進みました。また学生時代にも素晴らしい恩師と出会い、こんな医師になろうと、何度も勇気づけられましたね。

なぜ消化器を専門に学ぼうと思われたのでしょうか?

内科に進もうと決めていましたが、細かい部分まではまだ考えていませんでした。消化器内科を専門にしようと決めたきっかけは、私を指導してくれた先生が胃腸科専門の医師だったからです。その先生は私をとてもかわいがってくれ、憧れもありました。私は自分の目で見たものしか信じないタイプだったので、その先生が消化器内科で働く姿を見て、胃や大腸の疾患を専門に学ぼうと決めたんです。今こうして振り返っても、あの時消化器内科を学んで良かったと思います。

ここは先生のご親戚が開業されたクリニックだと伺いました。

佐々木政敏院長 前田医院2

そうなんです。1945年に私の叔父が開業したクリニックで、当時から地域医療に貢献していたと聞いています。私は大学卒業後、大学病院や医療センターで働いていました。叔父から医院を継いでほしいと連絡が来たのは、私が42歳の時ですね。当初、叔父は自分の代で当院を終わらせるつもりでいたそうです。しかし地域医療に貢献したい、地域で困っている人がいるのにクリニックをたたむのは忍びないと感じたようで、私に白羽の矢が立ちました。叔父が大切にしていた地域密着型のコンセプトはそのままに、もっと地域医療への貢献をめざし、訪問診療にも力を入れるようにしました。同時に、地域でも専門的な治療を受けられるように、私の専門である消化器診療や内視鏡検査にも力を入れています。

学びの姿勢を忘れず、地域に必要な医療を提供

こちらではどのような診療が受けられますか?

佐々木政敏院長 前田医院3

一般的な内科診療や消化器診療はもちろんのこと、専門性の高い潰瘍性大腸炎診療や日帰りでの大腸ポリープ手術、健康診断、がん検診、予防接種まで幅広く診療を行っています。特に東広島地区では潰瘍性大腸炎の専門医師が少なく、炎症性腸疾患患者さんが多く来院されていること、大腸ポリープの日帰り手術数が多いことは、当院の特徴の一つだと思います。また、近年は新薬だけでなく、漢方も使えると診療の幅が広がるため、漢方の外来も積極的に行っています。漢方薬の中には慢性疾患やしびれなどの症状に適したものがありますし、妊婦さんに使えるものもあります。医師という職業は、死ぬまで勉強だと思っています。医師に知識がないことで、患者さんを不幸にしてはいけないんです。今でも2ヵ月に1度ぐらいの頻度で、勉強会に参加しています。

特に力を入れている診療というのはありますか?

やはり私の専門である胃と腸を中心とする消化器疾患の診療ですが、胆膵、肝臓の診療も可能です。当クリニックのある地域は過疎化が進んでいますから、これらを万遍なく診療できる能力が求めらます。その中でも特に内視鏡検査は私の得意とするところで、「痛くない・怖くない・説明がわかりやすい」という部分に重きを置いています。内視鏡検査に苦手意識を持つ患者さんは多いですからね。しかし、がんの予防や早期発見には定期的な胃カメラや大腸カメラがとても有用なんです。特に初期のがんは自覚症状がない場合も多いですから、定期的な健康診断やがん検診は非常に大事です。内視鏡検査への不安や抵抗が強い方には薬を使って、眠っている間に検査を終えることもできます。また日帰りでの大腸ポリープ切除に関しては、多くの治療実績がありますので、安心して来院下さい。がんを恐れるのではなく、定期的な内視鏡検査で早期発見・早期治療をめざしましょう。

訪問診療にも注力しておられるそうですね。

佐々木政敏院長 前田医院4

はい。叔父が行っていた地域密着型の医療を提供するため、高齢化が進んでいる地域だからこそ、訪問診療も大事だと感じています。当院の隣には訪問看護ステーションがあるので、状況によってはそちらと連携して進めることも可能です。訪問診療は、クリニックに通えなくなった患者さんはもちろん、終末期医療や看取りも行っています。住み慣れた自宅で最期を迎えたいという患者さんは少なくありません。高齢化が進む地域だからこそ、訪問診療にはこれからも力を入れていきたいんです。

「恕」の精神で、地域の人々が安心して暮らせる医療を

印象深い患者さんのエピソードはありますか?

佐々木政敏院長 前田医院5

やはり私が医師になって初めて受け持った患者さんですね。その方はがんで亡くなってしまいました。あらためて、がんは恐ろしい病気であると実感し、同時に自分自身の力不足を悔やみました。その患者さんのことは今でも鮮明に思い出されます。あの時ああしていれば良かったかな、今だったらこういう方法もあったなと、思いを巡らせることも少なくありません。だからこそ、目の前にいる患者さん一人ひとりに全力を注ぐんです。がんは怖い病気ですが、必要以上に恐れる必要もないと思っています。がんで亡くなる人をこの地域からなくすことが、私の目標なんです。万が一、入院での治療が必要な進行がんが見つかってしまったとしてもご安心ください。当院は広島県の「がん医療ネットワーク」に参加しており、地域の拠点病院とがん患者に関して迅速な病診連携が可能です。

大事にされている言葉があると伺いました。

「恕(じょ)」という言葉です。これは私の人生の指標でもあります。恕という言葉は、論語の中では「自分がされたくないことは、人にもしてはならない」という文章が続いています。恕というのは、人の悲しみや苦しみを知るという意味です。思いやりという意味でもあります。私はただ病気を治療するのではなく、患者さん一人ひとりの心に寄り添える医師でありたいんです。医療の分野でも人工知能やロボットの活躍がめざましいですが、人の心をサポートできるのは人だと思います。病気が治っても、病気を経験したことで傷ついた心や、入院で抱えてしまった心の問題は人でしか解決できません。人の心を忘れることなく、日々の診療に取り組みたいですね。

今後の展望について教えてください。

佐々木政敏院長 前田医院6

現在、当院の分院として西条町に「東広島中央クリニック」を展開しています。分院の開設にあたって、息子とは「親子で100年続くクリニック」をめざそうと話しています。地域医療を充実させるためには地域とのコミュニケーションが不可欠なので、私は地域の草刈りに参加したり、老人会で講演を行ったりしているんです。親しみやすく、「顔の見える医療」が提供できるよう、今は土壌を整えている最中なんですよ。叔父が大切にしてきた地域医療へ貢献する心は忘れないでいたいです。今後は、患者さんと膝を突き合わせて話せるような健診センターをつくるのが夢ですね。一般的な内科診療に高い専門性を融合させて、地域の皆さんが安心して暮らすことのできる医療を届けたいです。

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