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北野 太路 院長の独自取材記事

北野泌尿器科医院

(広島市安佐北区/安芸矢口駅)

最終更新日:2022/12/28

北野太路院長 北野泌尿器科医院 main

JR芸備線・安芸矢口駅から徒歩約4分、高陽中央通りの矢口南交差点そばに掲げられた青い看板が目印の「北野泌尿器科医院」。五日市市出身の北野太路(きたの・たいじ)院長が、1991年に開業した。当時はまだ一般に泌尿器科が浸透しておらず、前立腺の疾患で男性が受診するイメージが強かったが、現在は女性も膀胱炎などで来院するようになったという。北野院長は、患者の話をよく聞き、話しづらい内容も確認できるように問診票の項目を工夫する他、診察時の言葉遣いに気をつけるなど、患者への心配りを大切にしているそうだ。取材の際も、とても穏やかな口調で物腰もやわらかく、診察室で優しく患者に接する姿が思い浮かぶようだった。

(取材日2022年11月10日)

当時はまだ少なかった泌尿器科医の道へ

医師を志したきっかけを教えてください。

北野太路院長 北野泌尿器科医院1

兄の影響です。高校2年生までは漠然と工学部をめざしていたんですが、医学生の兄から実習の話などを聞くうちに、医学部の道もいいなと思い始めたんです。高校3年生で、医学部へと志望を変更し、地元の広島を出てみたかったので、三重県立大学、現在の三重大学医学部に進みました。実は、祖父が内科の開業医だったんですが、夜中も急患がやって来るのを子どもの頃から見ていた父は、大変そうだと思って医師にはならなかったそうです。でも、祖父にすれば2人の孫が医師になったわけですね。

泌尿器科を専門に選んだのは、なぜですか?

医学部5年の時に、実習で受け持った子宮がんの女性が尿毒症の治療を行うことになり、初めて泌尿器科の診療に触れました。当時は広島県に泌尿器科を専門に診る医師が10人ほどと非常に少なく、人数の多い内科などよりも専門を生かせるのではないかと考え、大学卒業後の進路として、泌尿器科を専門に選びました。広島大学の医局に入って前立腺がんを専門に研究し、県内外の総合病院の泌尿器科で臨床経験を積みました。今でこそロボット支援手術の時代ですけど、当時はまだ前立腺がんの開腹手術すら行われておらず、主に投薬治療でした。隔世の感があります。

開業から30年余り、振り返ってみていかがですか?

北野太路院長 北野泌尿器科医院2

勤務先の病院で仲の良かった先輩が小児科を開業して3年ほどたった時に、「うちのビルの下の階が空いているから開業しないか」と声をかけてくれたのをきっかけに開業しました。当時、ビルで開業するクリニックでは、泌尿器科は皮膚科などと併設のことがほとんど。広島県で泌尿器科だけで開業することは非常に珍しいことでした。先に皮膚科・泌尿器科として開業していた先輩たちからも心配されましたが、「5年は我慢しろよ」との励ましを受けて、周囲の病院から患者さんを紹介されるなど、周囲の支えでなんとか頑張りました。一生懸命で真面目で、患者さんに優しく接してくれるスタッフたちにも恵まれたおかげで、ここまで来ることができました。本当に感謝しています。また、かつては泌尿器科という診療科自体が一般に浸透していなかったけれど、著名人が前立腺がんになったニュースがマスコミに報じられるなどして、広く認知されるようになった気がします。

排尿の悩みから男性のホルモンバランスの問題まで

どのような患者さんが多く来院していますか?

北野太路院長 北野泌尿器科医院3

60歳以上の方が多く、男性は排尿困難、女性は頻尿や尿失禁で受診されることが多いです。それより若い方は、尿路結石や膀胱炎ですね。男性は、健康診断や人間ドックの血液検査でPSA値が高いと言われて来られる方も多いです。PSAは、前立腺の上皮細胞から分泌されるタンパク質で、この数値が高いと、前立腺がんや前立腺肥大、前立腺炎などの可能性があります。女性の患者さんは、開業当初からすると、だいぶ増えました。以前は膀胱炎で内科を受診していたのが迷わず泌尿器科を選ぶ方も増え、出産を機に尿失禁が起きるようになったとか、女性特有のお悩みを相談されることも少なくありません。

男性更年期障害の診察もしているそうですね。

北野太路院長 北野泌尿器科医院4

一般的に「男性更年期障害」といわれていますが、「加齢性腺機能低下症(LOH症候群)」という疾患です。女性の場合、閉経前後に女性ホルモンが減少するために、さまざまな心身の不調が現れますが、男性も同様に、中年期以降に男性ホルモンが減少していくことが原因です。症状は、体のほてりや発汗、イライラ、気分の落ち込みなど、女性の更年期障害と似た症状や性機能低下などが見られます。当院は、男性更年期障害の診察も可能ですので、ご自分で症状をインターネットで検索した後に、受診される方も多いです。身体的な症状はお薬で緩和を図るとともに、問診票や診察から、うつの症状が見られる患者さんは心療内科の受診も勧めるなど、心身の両面から患者さんをサポートします。

早期発見・早期治療のためにも気軽に受診してほしい

患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

北野太路院長 北野泌尿器科医院5

患者さんのお話によく耳を傾けて、丁寧に診ること、早期発見を心がけることです。特に悪性腫瘍を見落とさないように気をつけています。膀胱炎かと思ったら膀胱がんが隠れていたり、腎臓に微細ながんが見つかったりするケースもあります。そして、デリケートな内容のお悩みが多いですから、特に女性の患者さんに対する言葉遣いに配慮しています。尿漏失禁で受診した方に「漏れる」という言葉は避けて、症状を確認する際も、「下着が濡れますか? その場合、どれくらい濡れましたか」というように質問します。男女問わず排尿に関するお悩みなど、来院時に主訴を伝えるのに、ご自分で口に出すことを恥ずかしがる方もおられると思いますので、該当事項に丸をつける形式の問診票を用意する工夫もしています。

お休みの日に楽しんでいる趣味はありますか?

長年、ゴルフを続けています。さすがに毎週行くのはくたびれますから、2週間に1回くらいのペースで、廿日市のクラブで汗を流していますよ。囲碁や将棋もやらないし、趣味といえるのはゴルフくらいですが、診察の合間に患者さんとゴルフ談義に花を咲かせることもあります。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

北野太路院長 北野泌尿器科医院6

泌尿器科というと、女性で高齢の方ほど敷居が高く感じられるようで、「ここに泌尿器科があるのは知っていたけれど、なかなか来ることができなかった。清水の舞台から飛び降りるくらいの気持ちで来た」と言われたこともあります。どうしても排尿に関するお悩みだと、診察で恥ずかしい思いをするのではないかと思われがちですが、下着を取るのはカメラを用いた検査が必要な場合に限られます。症状が悪化する前に治療を行うことは大切ですし、思わぬ病気が見つかることがあるかもしれませんから、男女問わず、泌尿器系で心配なことがあるときは、気軽に来ていただきたいと思います。特に血尿は膀胱がんの可能性があるので要注意です。また、前立腺がんの早期発見のためにも、50代以上の男性はPSAの検査をお勧めします。

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