野田 礼彰 院長の独自取材記事
野田耳鼻咽喉科医院
(広島市安佐北区/可部駅)
最終更新日:2025/01/22

広島市安佐北区可部3丁目。国道191号から少し中へ入った辺り。可部駅からは徒歩約7分の「野田耳鼻咽喉科医院」は、1992年に野田礼彰(のりあき)院長の父が開業。以来30年以上、地域のかかりつけの耳鼻咽喉科として親しまれてきた。昨春、礼彰先生が2代目院長に就任後、待合室や診察室をリニューアル。鼻粘膜レーザー焼灼術を行うCO2レーザーや、咽頭画像と問診情報をAIが解析し、それをもとにインフルエンザ判定を行う検査機器など、新たな設備も導入した。勤務医時代は、一般的な耳鼻咽喉科疾患のほか、広島大学病院や広島赤十字・原爆病院などで手術や抗がん剤の治療などを行ってきた野田院長。「これまでの経験を生かしながら地域に貢献していきたい」という院長に、診療方針や院長就任までの経緯などを語ってもらった。
(取材日2024年11月14日)
検査や治療の負担軽減のため新しい設備や機器を導入
この地で長年、診療されているクリニックとお聞きしましたが、院内がとても広いですね。

父が30年ほど前に開業し、母も副院長として、ともに診療にあたっていました。医師2人の二診制だったので、診療ユニットも2台あり、広いスペースを取っています。私は昨春、父に代わって2代目院長に就任しました。これまで、大学病院や日赤病院などで手術や抗がん剤の治療などを中心に行ってきましたが、こちらでは一般的な耳鼻咽喉科の診療を行っています。診る病気は変わりましたが、診察の基本的な部分は変わらないですし、経験してきたことを生かせていると実感しています。ここは父の実家で、私は幼少期を尾道で過ごし、高校を卒業するまでは千田町に住んでいました。
院長に就任されてから、院内設備なども新しくされたそうですね?
機械も入れ替えましたし、診療ユニットも新しくしました。内装は明るめのグリーンに。30年前の開業当時はかなりモダンな建物だったと思いますが、内装も塗りなおしました。個人のクリニックなので限界はありますが、患者さんの負担ができるだけ少なくなるような検査、治療機器を導入しています。
設備や機器について詳しく教えていただけますか?

CO2レーザーを導入し、アレルギー性鼻炎などで薬による治療で症状の改善が見込めない患者さんに鼻粘膜レーザー焼灼術を行っています。これは、鼻の通りを良くすることを目的に鼻腔粘膜を焼灼・蒸散して粘膜を縮めるための治療で、鼻詰まりや鼻水の抑制が期待できます。アレルゲン検査では、アレルギー原因迅速同定機器を導入しています。数滴の血液から花粉症や食物アレルギーをはじめ41種類のアレルゲンを調べることができます。指先から細い針で採血するので、注射針のような痛みは感じにくく、注射が苦手な方や小さなお子さんでも安心して検査を受けていただけると思います。
インフルエンザの検査やワクチンも、新しいものを取り入れているそうですね?
専用カメラで喉の写真を撮り、画像と問診情報をAIが解析し、インフルエンザ判定を瞬時に行うために活用できる検査を実施しています。従来の方法ですと、綿棒などで鼻や喉の粘膜を拭うので痛みを伴うことがありましたが、カメラを口内に入れて撮影するので、口を大きく開けることは必要ですが、痛みの少ない検査だと思います。6歳以上が対象です。インフルエンザのワクチンは昨年、鼻から接種するタイプのものが出ました。鼻の中にスプレーを吹きかけるだけなので痛みもほとんどありません。注射が苦手なお子さんの負担軽減になるため、当院でも希望者に実施できるようにしています。こちらは2歳から19歳未満までが対象です。これからも可能な限り、患者さんのメリット、負担を減らせるものを吟味し、導入していきたいと考えています。
しっかり診て、しっかり説明することを大切に
こちらではどのような世代の患者さんが多いのですか?

赤ちゃんからご高齢の方まで幅広く、それこそ0歳から100歳の方までいらっしゃいます。地域の方が中心ですが、市外からもいらっしゃいます。毎日多くの患者さんが来院されるので、何とかお待たせしないようにと努めているのですが、しっかり診て、しっかりご説明するということを診療ポリシーとしているので、どうしても時間がかかることがあります。できるだけ待ち時間を短くして患者さんに満足していただきたいのですが、そのバランスが難しく、悩ましいところです。
多い疾患についても教えていただけますか?
世代により傾向があり、小さい患者さんは風邪や中耳炎などでしょうか。もう少し年齢が上がると副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎。大人の方だとめまいなどが多いですね。耳鼻咽喉科の領域は首も入るので、首が腫れる、喉が痛い、がんが心配などということで来院される方もいます。たとえ軽くても、何か違和感や症状があれば相談してもらいたいですね。丁寧に話を聞きながら診察しますし、何か気になることがあれば納得頂けるよう説明します。
診療方針について改めてお聞かせください。

しっかり診て、しっかりご説明することを診療ポリシーとしていることはお話ししましたが、大きな病気を見落とさないことも大切ですね。心配なところがあったら、念のためにしっかり診る。がんや大きな病気が隠れてないか、よくお話を伺い、可能性が低くても、専門の医師として少しでも引っかかることがあれば念のために検査を行うこともあり得ます。もちろん過剰な検査は良くないので、バランスは大切ですが。
これまでの経験を生かし地域医療に貢献を
先生が医師をめざしたのは、やはりご両親の影響が大きいですか?

実は、研究や学問的なことに興味があったので、工学部や理学部に進もうかと考えていた時期もありました。進路をいろいろ考える中で、両親の仕事も医師だし、医学もいいのかなと最終的にその道を選択しましたが、最初から医師になりたいという感じではなかったですね。2002年に北里大学医学部を卒業し、広島大学医学部附属病院(現・広島大学病院)で初期研修を受けました。その後は広島大学病院などに勤務し、2014年から9年間、広島赤十字・原爆病院に勤務の後、こちらに来ました。勤務医時代は、かなり患者さんが多い病院に勤めていたので、さまざまな症例を経験することができました。その時の経験が診療での判断の速さにつながっています。判断が的確で早ければ、患者さんの負担を減らすことができますから、今となっては良い経験だったと感じますね。
ご両親と同じ耳鼻咽喉科を選ばれたわけですが、どんなところにやりがいを感じますか?
いろいろな年代の患者さんを診られること、耳・鼻・喉から首までと範囲は狭いですが、診察、投薬などの治療、時には手術など、最初から最後まで診られることですね。勤務医時代のような大きな手術はできなくなりましたが、継いでほしいという父の思いも大切にしたかったですし、これまでの経験を地域医療に生かす時でもあるのかなと。地域の方々をしっかり診て、必要に応じて大きな病院へご紹介する。中には重篤な病気が見つかることもありますし、初期の段階の判断を含め、いろいろな経験をしていないと適切に対処できないこともあると思います。父もまだまだ現役で週3、4回、忙しい時に診療に出てくれていますし、母も時々サポートしてくれます。
休日やオフの時間の過ごし方についても教えていただけますか?

スポーツ観戦ですね。特に地元サッカーチームの昔からの大ファンなんです。今は人気の強豪チームですが、お客さんが少なかった頃から真冬も震えながら応援してきました。私自身はサッカーの経験はなく、中学・高校とバドミントンに熱中していました。サッカーは子どもと一緒に見に行くこともあります。子どもたちは、旅行はあまり好まず地元志向(笑)。休日は家族でよく出かけますが、サッカーをしたり近所でバーベキューを楽しんだりしています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
新しい機械を導入したので、今度は予約システムのデジタル化などを進め、患者さんの待ち時間やストレスをもっと少なくしていけたらと思っています。ただ、ご年配の方は使いにくいかもしれないので、誰もが通いやすいクリニックであるために良い方法を模索しているところです。耳・鼻・喉から首を含めた部分まで、よくある病気から怖い病気まで、いろいろな可能性を考えながら丁寧、慎重に診察していきます。ご心配なことがあれば気軽にご相談ください。きちんとご説明し、皆さんの疑問や不安にもしっかり応えていきます。