日高 聡 院長の独自取材記事
日高内科医院
(広島市安佐南区/上安駅)
最終更新日:2022/03/28

上安駅から徒歩3分、2016年にリニューアルした「日高内科医院」。待合室の大きな窓ガラスが特徴的で、院内は明るい印象を受けた。2代目院長の日高聡先生は、日本内科学会総合内科専門医や日本消化器病学会消化器病専門医などの資格を持ち、大規模病院などで診療を行ってきた経験豊富な医師だ。取材に訪れると、娘3人の子育てに奮闘する父親という素顔もあってか、とても穏やかにすべての質問に丁寧に対応してくれ、子どもの頃から育った地域への思いにあふれていた。そんな日高院長に、診療内容や専門としている消化器内科、特に力を入れているという検査、患者に対する思いなど、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2020年12月8日)
消化器を専門に検査環境を整え、病気の早期発見に尽力
こちらの医院の2代目だそうですね。

はい、父が1981年に内科の医院として開業し、当時は2階が自宅だったので、ここで育ちました。父の姿を間近で見ていたことや、私自身が喘息やアトピー性皮膚炎に悩まされていたこともあり、患者さんのつらさに寄り添い支える医師を志しました。2001年に愛媛大学医学部を卒業後、消化器内科を専門に松山赤十字病院、四国がんセンター、愛媛県立中央病院などで勤務しましたが、いつか当院を継ぎたいという思いを持っていました。そこで、2012年から4年間、吉田総合病院で消化器に限らず内科全般の診療を担当して幅広い経験を積み、2016年に当院の院長に就任しました。同時に医院もリニューアルし、現在は当院の名誉院長となった父と二診制で対応しています。
リニューアルの際にはどのようなところを変えたのでしょうか。

院内で快適にお過ごしいただくための内装などだけではなく、検査機器類も新しく備えています。例えば、私の専門である消化器の検査では、できるだけ苦痛なく検査を受けていただくことをめざしているため、鼻から入れられる細いタイプの内視鏡を導入し、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を実施しています。また、私は日本肝臓学会肝臓専門医として超音波検査も数多く行ってきましたので、超音波の機器にもこだわりました。これは消化器だけではなく、心臓や腎臓など、患者さんの症状に合わせて他の部位を診るのにも活用しています。その他、大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)、デジタルエックス線検査も導入しています。
消化器内科を専門とされたのはなぜでしょうか?
検査から治療まで担当できる可能性が高いと考えたからです。治療は手術など外科と思われがちですが、最近は内視鏡で切除したり、肝臓がんでも早期ならラジオ波で焼灼(しょうしゃく)したり、内科で治療できる範囲が広がっています。医療技術の進歩により、病気を早期発見できれば、心身にあまり負担をかけずに治療できることが増えてきました。当院では各種検査に力を入れるとともに、速やかに専門の医療機関にご紹介して適切な治療につなげることも心がけています。地域の皆さまに、ちょっとした体調不良のご相談や検査にお気軽にご来院いただけるような医院となり、早期発見・早期治療のお役に立てればと考えています。
一人ひとりに向き合い、しっかり話を聞く診療を
どのような患者さんが多く来院されていますか?

内科全般を幅広く診療しているため、風邪などの症状のある方から、高血圧・糖尿病などの慢性疾患の方までご来院いただいています。勤務していた吉田総合病院では、睡眠時無呼吸症候群の診療や糖尿病教室に対応していたため、当院でも引き続き力を入れています。消化器のご相談で多いのは、便秘や胃の調子が悪いなどの症状のある場合や、肝機能など健診で指摘があった場合です。年代では高齢者が多く、父の代からご家族で診療させていただいているケースも少なくありません。ご要望により往診することもありますが、状態に合わせて在宅医療専門の機関をご紹介させていただく場合もあります。まずはどのようなことでも地域のかかりつけ医として気兼ねなくご相談いただきたいと考えています。
診療において心がけていることはありますか?

患者さんの話をよく聞くということです。その上で、何が今一番つらく苦しいのか、どのような症状を改善したいのか、どういうことを調べたいのかなど、患者さんが期待されていることを理解し、一番良いと考えられる方法を相談して治療していくということを大切にしています。実際に定期的に通院されている患者さんに、「先生に話を聞いてもらって安心した」と言っていただくこともあり、それがかかりつけ医としての大きな役割であるように感じています。待ち時間の関係もあるため、時間無制限というわけにはいきませんが、今後も一人ひとりの患者さんの目を見て、できる限りしっかりと話を聞くようにしたいと考えています。
医師となって心に残るエピソードがあれば教えてください。
入院している患者さんのターミナルケア(終末期の医療)を最期まで担当したとき、ご家族から「診てくれてありがとう」と言っていただけたことは忘れられません。また当院に通院されていた患者さんが、その後がんで亡くなられたことをご家族の方がご丁寧に報告にいらして、診療のお礼を言われたことも心に残っています。「何かもっとできることがあったのでは?」と悔やむ気持ちが湧き上がってくるとともに、今の患者さんにできることを全力で尽くそうという強い決意にもつながりました。この気持ちを常に忘れずに診療にあたりたいと思っています。
何でも相談できる身近なかかりつけ医として地域に貢献
休日やプライベートではどのようにお過ごしですか?

中学生から小学生の娘が3人いるので、休みの日はほとんど娘たちのリクエストに応えています。新型コロナウイルスの感染が拡大する前は、ドライブが多かったでしょうか。また、患者さんにばかり生活習慣の改善を求めるのではなく、自分でも実践しなければと考えているため、健康には気をつけています。食事は3食規則正しくしっかり取り、また起床時間と就寝時間は休日も含めて毎日同じになるようにしています。最近、運動としてテニスを始めたのですが、私は腰を痛めてしまってしばらく休止中で、次女のほうが夢中になって練習しています(笑)。
今後について医院全体の目標があれば教えてください。

現在ご通院いただいている患者さんにも新しい患者さんにも、当院を何でも気軽に相談できる医院だと認識していただくことをめざしています。私自身が幅広く、医療、介護、日常生活のお悩みをお聞きすることはもとより、看護師などのスタッフも患者さんに積極的にお声がけなどを行い、安心して受診できる環境づくりと医院内の情報共有に努めています。また、当院は広島市胃がん検診の胃内視鏡検査実施医療機関で、ご利用いただく機会も多くあります。より苦痛の少ない検査に努めることで病気の早期発見のお役に立てればと願っています。自分が育ち今も住み続けるこの地域が、いつまでも住みやすい場所であるよう、医療面から少しでも貢献できれば幸いです。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
病気は早い段階で見つけることが大切です。ご自身でお悩みを抱え込んでから受診するのではなく、まずは相談してみることをお勧めします。当院でも、気になっていることは何でもご相談いただければと考えています。診察や検査の結果、何もなければ安心につながりますし、何かあれば早めに対処し、専門の検査や治療が必要になれば連携している機関を紹介させていただきます。また、新型コロナウイルスの感染不安により、定期的な通院が必要な患者さんでも受診を控えることがあると聞いています。継続して検査や治療を行わないと状態が悪化してしまう可能性もありますので、まずは主治医にご相談いただければと思います。