近藤 圭介 院長の独自取材記事
近藤内科クリニック
(広島市安佐南区/安芸長束駅)
最終更新日:2025/10/30
広島中心部へのアクセスも良好で、自然と都市が融合したような立地にある「近藤内科クリニック」。祖父、そして父が院長として、長年にわたり地域医療を支え続けた同院を、2018年に近藤圭介先生が3代目として継承した。内科、呼吸器科疾患を中心に、幅広い疾患に対応している。近藤院長は日本呼吸器学会呼吸器専門医だが、救急科でも研鑽を積み、さまざまな疾患を断ることなく受け入れるスタンスで診療にあたる。「病気ではなく、その方の人生を診る」という思いで、一人ひとりの患者に真摯に向き合っている。物腰がやわらかく謙虚な姿勢が印象的な近藤院長に、クリニックの特徴や今後の展望について詳しく聞いた。
(取材日2025年9月29日)
祖父、父から引き継いだ医院で地域医療を支え続ける
医師をめざしたきっかけを教えてください。

実は、褒められた話ではないのですが「何となく」「いつの間にか」なった感じです。このクリニックは祖父と父から数えて私で3代目になります。3世代同じ家屋に住んでいましたが、子どもの頃から近所で遊んでいると「父や祖父にお世話になってたいへん助かった」と声をかけられることが多くありました。一人っ子だったのもあり子ども心にこのクリニックがなくなったら近所の人たちは困るだろうな、自分が医師をめざさないとな、という妙な責任感が強くあったのだと思います。実際医師をめざす過程、なってからもその道を後悔したことはなく、違和感なくその将来像にスッと乗った感じですね。自分の長所でもあり短所でもあるのですが、妙に責任感が強く、時にお節介と思われるほど人助けをしようとする性格も、この仕事にうまくはまったのだと思います。そう気づいたのは医師になってから回顧して、という感じでした。
クリニックを引き継がれてから7年、どのような想いで日々患者さんと向き合われていますか?
「病気ではなく、その方の人生を診ている」。これに尽きますね。まずは症状とか検査値に目がいきがちなのですが、その人を知ることが大事だと思います。特に経過の長くなる慢性疾患の高齢の方には、症状などよりも今の趣味や、病気になったことでできなくなってしまったことはないか、自身が急病になってしまった時などに誰を頼るか、といったことを何度かの診察の中で聞き出していきます。そうすることで、これは我慢せずに楽しんでおいていいとか、将来こういったことで困るかもしれないから今から家族に相談しておこうなんて話もできるんです。患者さんの家族背景や人生観や死生観のようなものまでひっくるめて診るのが、皆さんと立場が近いクリニックの医師としての使命だと思います。
先生のご専門を教えてください。

資格としては呼吸器専門医を持っていますから、気管支喘息、肺気腫、間質性肺炎などを専門としています。ただ、慶應義塾大学を卒業後、ほとんどの同級生が母校の医局に入局する中、系列外の市中病院に飛び込んだんです。日本赤十字社の病院の呼吸器内科での研鑽のみならず、東日本大震災の際には石巻の救援に入り、貴重な経験をさせてもらいました。志願して救命救急センターの当直に混ぜてもらい、貪欲に救急医療を学びました。また、地元に戻る際も、広島の基幹病院の救急科で数年勉強させていただきました。東京であれだけ頑張ってきても、まだ診たことがない救急疾患があることに衝撃を受けましたね。おかげさまで14年間東京に離れていましたが、広島の医療事情もしっかり把握して、開業にシフトできました。なので、専門はありますがどんな領域の病気もまずは診て、必要があれば適切な診療科につなげるという考えで診療にあたっています。
幅広い年代の患者に寄り添う診療体制
クリニックで受けられる治療にはどのようなものがあるのでしょうか?

高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が主たるもので、その他、尿酸の異常や骨粗しょう症、甲状腺ホルモンの異常など、多くの内科の疾患や症状に対応しています。また、専門の呼吸器では、気管支喘息や肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎などの診療も行っています。エックス線検査、心電図検査、簡易な超音波検査や血液検査の機器も備え、より専門的な検査や治療が必要な場合は、近隣の基幹病院に紹介しています。あとは、睡眠時無呼吸症候群の治療、スギやダニのアレルギーの舌下免疫療法など、地域でなかなか普及しなかった治療も、早期から積極的に導入してきました。子宮頸がん予防のワクチン接種にも院長就任当初から力を入れています。これは東京の後輩が熱心に啓発活動をしている姿に感銘を受け、自分も地元で頑張ろうと思ったからです。数年前に国の方針も積極接種になって認識が変わったこともあり、接種数は増加傾向にあります。
どういった患者さんが来られますか?
小学生以上の患者さんを診療していることもあり、お子さんを中心にいわゆる風邪症状での来院が半数近くを占めていますね。近隣に若い夫婦世代が多く住む団地があるので、30代ぐらいのご夫婦とそのお子さんで、ご家族で来られることもあります。あとは高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの定期通院の方が多いです。なるべく多く急患さんを受け入れるスタンスなので、発熱患者さんなども当日予約なしに受け入れています。そのため繁忙期は1日に大勢の患者さんが来院されますから、どうしても待ち時間が長くなります。ただ、当日の発熱で困っている方については、現時点では予約制や人数制限を行っていません。この点は今後の課題です。
来た患者さんは断らないというスタンスなのですね。

そうですね。新型コロナウイルス感染症の流行初期から「受け入れ先がない方を断らない」姿勢で診療を続けてきました。困っている方をできる限り受け入れることを大切にしています。2024年の大みそかには、需要に比して当番医の数が少なかったこともあり、開業以来最多の来院者数を記録しました。その日は午前8時半から深夜2時頃まで診療を続け大変な状況でしたが、スタッフ全員が本当に頑張ってくれました。その日のことは、地元で語り草になっているほどで、「頑張る時は全力で頑張るクリニック」なのでお気軽にご相談ください。当院で完結できる場合にはしっかりと対応しますし、難しい場合には、しかるべき医療機関へ速やかに紹介いたします。
人とのつながりを大切に、真摯に診療する
強みや大切にされていることはなんでしょう?

自分の最大の強みは「人のつながり」ですね。幸いにして東京での呼吸器内科時代や、広島での救急科時代に知り合った同期・若手の先生方が各病院の各科に散らばっていて、いろいろなことが相談できます。また地域の核となる病院にもよく患者さんを相談しますが、難しい例を診断したり受け入れてくださった折には、電話をしてお礼を申し上げて経過をお聞きしたり、時には病院まで出向くこともあります。古巣の救急科外来には患者さんに付き添っていき協力して診療することもあります。そういった信頼関係を構築することが最後には患者さんの迅速な受け入れ先の確保につながり、自身の知識のアップデートにつながると信じています。
今後の展望を教えてください。
事業を拡大したいとは考えていません。治療法や病気の考え方、患者さんの価値観さえも、時代に合わせどんどん変わっていきます。医師は自身の中の既存の常識も時代に合わせ、柔軟に賢く選んで変えていかねばなりません。その柔軟さを保つことが今後の展望です。これからも人とのつながりを大切にしながら、「近藤先生が困っているんだから力を貸してあげなきゃ」と言っていただける信頼関係を、年々増やしていきたいなと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

大きな特徴のあるクリニックではありませんが、スタッフはとても熱心に頑張ってくれています。呼吸器の疾患を専門とはしていますが、取りあえずどんな症状であっても来院していただいて大丈夫です。どんな症状でも、少しでも気になることがあったら、なんでも相談してもらえたらうれしいですね。当院で完結できる場合には全力で対応させていただき、それが難しい場合には、「人のつながり」を生かして、しかるべき病院や診療科へご紹介するなど、責任を持って対応いたします。まずはお気軽にご来院ください。

