井上 洋二 院長の独自取材記事
森泌尿器科クリニック
(広島市南区/宇品二丁目駅)
最終更新日:2023/02/17

広電・県病院前駅と宇品二丁目駅からそれぞれ徒歩2分、メディカルビルの2階に「森泌尿器科クリニック」はある。院長の井上洋二先生は、日本泌尿器科学会泌尿器科専門医の資格を持つベテランドクターだ。県立広島病院や広島市立安佐市民病院の泌尿器科など広島県内の基幹病院で研鑽を積み、2021年に同院の院長に就任した。幼少期に父を亡くした経験から医師を志したという井上院長。仕事で忙しい母の代わりにかわいがってくれた祖母への想いから、「高齢者を診る医師になりたい」と泌尿器科の道に進んだ。語る言葉の一つ一つに優しい人柄を感じさせる井上院長に、さまざまな話を聞いた。
(取材日2022年12月8日)
育ててくれた祖母への想いから高齢者を診る医師の道へ
先生が医師を志したきっかけについて教えてください。

父が早くに亡くなったことが一番大きなきっかけです。僕が小学校に入る前に他界したこともあって、病気で困っている人の力になりたいという思いが子どもの頃からありました。早くから医者になりたいと思っていたので、小学生の頃から勉強を頑張っていました。父が亡くなってからは、祖父母と母、兄弟3人が一つ屋根の下で暮らしていましたが、祖父と母は仕事に出ていたので、僕も兄弟も多くの時間を祖母と過ごしました。学校の参観会といえばいつでも祖母が来てくれて、僕はいわゆるおばあちゃん子でした。ですから、医者になるなら若い人よりもお年寄りで困っている人を助けたい、お年寄りを診る医者になりたいという思いが強かったです。
さまざまな診療科の中から泌尿器科を選んだのはなぜですか?
お年寄りを診るのであれば内科でも良かったのですが、実際に大学に入って勉強をしていくうちに手術で人を治療するということにも惹かれたんです。お年寄りを対象にして、なおかつ手術もするという診療科は限られていて、その中でも全身疾患を診る泌尿器科がいいのではと思いました。泌尿器科というのは、局所的な部分を診る診療科と思われがちですが、実際には全身を診る診療科です。特に、腎機能に関しては全身のことを理解していなければいけません。全身疾患を診つつ手術もするという部分に面白さを感じました。
泌尿器科の医師として、大変なことなどはありますか?

大変なことというよりも、やりがいのほうが大きいですね。例えばがんなどの命に関わる病気も、泌尿器科では最初の診断から看取りまでが泌尿器科で完結します。一般的ながんの治療では一人の患者さんをいろいろな医者が担当することが多いんです。しかし泌尿器科の場合には、一人の医者がずっと患者さんを担当し続けることができます。万が一治療ができない場合にも、その人の人生の最期の看取りをするところまでを担当するのです。一人の患者さんと向き合いながら、その方の家族や生活背景にも関わっていくこと。もちろん大変さはあるけれど、それを超える責任とやりがいを感じます。勤務医時代には緊急の呼び出しが入ることもありましたが、泌尿器科でなければできないことがあるから呼び出されるわけで、そうした部分に僕自身大きなやりがいを感じていました。
患者を待たせず、丁寧に診察するため完全予約制を採用
最近、クリニック名が変わったそうですね。

当院は、森浩一先生が開業された「森皮膚泌尿器科医院」が前身です。そこを一旦閉院して、医療法人を立ち上げ「森泌尿器科皮膚科クリニック」として新しく開院しました。最初の頃は森先生が理事長兼管理者をしてくださっていて、その後2021年に僕が院長に就任しました。これまでは、皮膚科の診療を森先生が、泌尿器科の診療を僕がという感じで二診体制で診療をしていましたが、現在は「森泌尿器科クリニック」として、2人で泌尿器科を中心に診療にあたっています。
新たに開業するにあたって、設備面でこだわったことはありますか?
自分が勤務医時代にやってきた検査は、ここでもできるようにしたいと思って設備を整えました。具体的には採尿や採血の検査機器、エコー、膀胱鏡、エックス線、手術室などが備わっているため、大きな病院の外来でできることは、当院でもできるように努めています。CTは近くの病院でその日のうちに対応してくれるため助かっていますね。膀胱がんのフォローなども自分できちんと診ていきたいと思っているので、大抵のことは院内で対応可能です。
こちらのクリニックの特徴について教えてください。

往診や在宅医療に対応していること、完全予約制であることだと思います。往診は直接患者さんの家に行って、とりとめもない話をしながらその方が置かれている状況を確認して必要な処置をしたり、ご家族の困り事を聞き取ったりします。開業医だからこそできることで、開業して良かったと思う瞬間です。院内での診察については、急患の場合には対応をしますが基本は完全予約制です。勤務医時代は患者さんをお待たせすることが多くて、それがとても心苦しく感じていました。ですから、開業をしたらできるだけ待たせたくないと思っていたんです。予約制にすることで一人ひとりの患者さんに時間をかけて最初から最後までしっかり診ることができますし、患者さんにも満足していていただけると思います。せっかく勇気を出して泌尿器科に来てくださったのですから、患者さんに寄り添って同じ方向を向いて治療に取り組みたいと思っています。
受診を躊躇せず、気になることは予約時の電話で相談を
医師として喜びを感じるのはどのような時ですか?

それはもちろん、患者さんが快方に向かっていく姿を見られた時でしょうね。困っていたところから、笑顔が見られるようになると、やはりうれしいと思います。患者さんだけでなく、ご家族の方も笑顔になりますよね。ありきたりかもしれませんが、「ありがとう」と言っていただけると、素直に医者になって良かったなと思います。こちらは仕事をしているのに「ありがとう」と言ってもらえるなんて、やっぱりうれしいですよね。
お忙しい毎日だと思いますが、プライベートで趣味などはありますか?
中学の頃からずっとギターをやっていて、高校・大学ではバンドを組んでボーカルを担当していました。ちょうど時代がバンドブームだったんですね。新型コロナウイルス感染症流行前までは、大学の軽音部のOB会が毎年あって、それが楽しみでした。みんなで出雲に集合して、ライブハウスを貸しきって(笑)。現役の軽音部員が先輩たちのために準備をしてくれるんですよ。前座で現役の子たちが演奏をして、その後にOBが出てきて歌うんです。今は新型コロナウイルスの影響もあってライブはできないので、時々カラオケに行って歌うくらいです。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

いずれは日帰り手術をもっと増やしていきたいと思っています。患者さんによっては入院が必要ということで、治療をためらってしまう方も少なくありません。多様化する患者さんのニーズに対応して、将来的には低侵襲で負担の少ない日帰り手術の幅を広げていくのが理想です。もちろん、それには僕一人の力ではできません。万が一のときに対応できるように病院と連携したり、場所や設備などの問題もクリアする必要があるため、今すぐには無理でも、将来的なビジョンとして考えていきたいと思います。泌尿器科というのは、どうしてもハードルが高いと思われがちで、悩んでいるのに恥ずかしさを感じて来院を迷う方も少なくありません。そういう方も、まずは思いきってお電話をしていただきたいと思います。当院は完全予約制なので、電話での予約時に不安なことや心配なことを、気軽にご相談いただけるとうれしいですね。