内藤 正志 院長、内藤 幸子 副院長の独自取材記事
細川・内藤医院
(広島市中区/江波駅)
最終更新日:2024/08/01

瀬戸内海にもほど近い、広島市中央区江波の住宅街にたたずむ「細川・内藤医院」。昔ながらの民家が立ち並ぶこのエリアで、地域の人々のかかりつけ医として長年親しまれる同院には、古き良き街の開業医といった温かみのある雰囲気が漂っている。院長を務めるのは内科医の内藤正志先生。その妻であり皮膚科医の内藤幸子先生が副院長を務め、二人三脚で診療にあたる。横浜市立大学医学部の同級生だという2人は、広島大学病院やアメリカのテキサス大学で研鑽を積み、その知見を日々の診療に注いでいる。同院の特徴や継承までの経緯、診療で心がけることなどについて話を聞いた。
(取材日2024年2月29日)
医師家系で生まれ育った生粋の医療人
お二人のご経歴を教えていただけますか?

【正志院長】横浜市立大学医学部を卒業後、広島大学病院の第二外科、広島大学と県立広島病院の脳神経外科、広島大学の原爆放射線医科学研究所にて勤務しました。その後、アメリカに渡ってテキサス大学で腫瘍の研究に携わり、帰国しました。
【幸子副院長】院長とは1974年に卒業した横浜市立大学医学部の同級生です。医学部卒業後は広島大学の原爆放射線医科学研究所のがん部門で、研究生として発がんについての研究をしていました。院長と結婚して、テキサス大学には一緒に行ったんです。医師だった父が戦後復興期の1950年にこの医院を開業して、医学部卒業後しばらくは父と一緒に働きました。そして、後を継ぐことになったんです。
開業までの経緯を教えてください。
【幸子副院長】院名にある「細川」は内科医だった父の姓です。先ほどお伝えしたように、当院は父が70年以上前に細川医院として開業しました。その父が他界し、私たちが継承したのが1988年です。近隣の皆さんに細川医院はとてもなじんでいたので、名前を残しました。私たちの医学部卒業と同時に義父が亡くなり、院長も1974年にこちらに来て広島大学病院で研修医となり、そのままこの地でともに医療に従事することになりました。
医師をめざしたきっかけは何でしたか?

【正志院長】親も医師で、医学部を受験することは決まっていたようなもので、他の職業は頭にありませんでした。自分は医師になるものだと思っていたんです。そんな環境で育ったので、私を含めてきょうだい4人のうち3人が医師になりました。私たちの子ども3人も岡山県、石川県、京都府で医師をしていますよ。
【幸子副院長】私も同じように医師である父の背中を見て育ったので、特に「医者になれ」と言われてはいませんでしたが、なりたいと思っていました。当時医師をめざす女性は少なく、私のいた大学の医学部では1クラス60人中、女性は私を含めて4人だけでした。医師や医療がすぐ近くにある環境で生まれ育ったので、自分のきょうだいや子どもたちの配偶者も医師が多いんです。お手洗いに医学書が置いてあったり、食事中に病気や症状の話をしても何も感じなかったりと、一般の人の感覚とずれているかもしれないと感じることもありますよ。
地域に密着し、他の医療機関とのネットワークを大切に
診療の特徴を教えてください。

【正志院長】私が一般内科で、副院長が皮膚科を専門としています。小児科も掲げていますが、今は予防接種以外は他の医療機関を紹介しています。月・火・金曜日は訪問診療にも対応していて、私が患者さんのご自宅などにお伺いしています。
【幸子副院長】県立広島病院や広島赤十字・原爆病院など、病院と連携を密に取っていますので、迅速な紹介が可能です。患者さんのためにも、介護を受けたりデイサービスなどを利用されたりしている方にも、こういったネットワークは大切だと思います。些細なことでも構いませんので、とにかく何か気になることがあればお越しいただけたらと思います。
どんな方が来院されていますか?
【幸子副院長】来院される方は、ほとんどがご近所の方ですね。予約も少しお取りしているのですが、すぐ近くにお住まいで、一旦お名前を受付で書いてご自宅に戻られて、適当な時間になったらまた来られるという方もいらっしゃいます。年齢層でいうと、以前はお子さんが多かったのですが、今は80〜90代の方が多いですね。湿疹・アトピー性皮膚炎・褥瘡・その他高血圧症や糖尿病といった生活習慣病関係の症状の方を多く診ています。「お変わりはありませんか?」と声をかけて、血液検査や血圧測定、酸素濃度など必要な検査を行い、患者さんに寄り添いながら診療しています。
この地域にはどういった特徴があるのでしょうか?

【幸子副院長】広島市中区の中でも中心市街地から離れていて、原爆での大きな被害を逃れた地域なので、昔からお住まいの方が多い地域ですね。また、海が近いため水産関係の会社が多く、カキの生産が盛んです。カキの殻を外す場所であるカキ打ち場も近くにあり、以前は「カキ打ち皮膚炎」と呼ばれる症状を訴える患者さんもいらっしゃったほどです。今でもエックス線検査を行うのですが、昔はそれに併せて、骨の中のカルシウムなどのミネラル成分の量を測定する骨塩定量検査もよくしていました。今は骨が折れていないか確認したり、魚の骨が入っていないかなどを見たりします。
熟練スタッフたちと連携のとれたスムーズな診療
患者さんと接する時に心がけていることはありますか?

【正志院長】痛みのある箇所だけでなく、全身を診るということです。「診る」ことは患者さんが入室される時から始めています。まず患者さんの症状の重さを判断して、脈をきちんと測って、全体の状態を診るのが一連の流れです。機器を使わずとも、長年の知見から判断できることも多々あります。
【幸子副院長】20年という長い期間勤めてくれている心強いスタッフたちが、受付に重症度の高そうな患者さんがいらっしゃったら、私たちにすぐに声をかけてくれます。看護師たちも私たちから指示がなくとも、先回りして心電図などの準備をしてくれたりと連携は抜群。心強いスタッフたちに助けられています。患者さんがどのような目的でいらっしゃったのかお悩みを伺って、お一人お一人を丁寧に診療させていただくようにしています。
お二人は、お休みの時は何をされていますか?
【正志院長】診断書や紹介状、意見書、指示書など、最近は提出書類がたくさんあるので、休みの日は書類作成をすることが多いですね。ちなみに、私が元気でいられる秘訣は、働くことだと思っています。
【幸子副院長】私は休みの日でなくても、プールによく行っています。健康のためにプールの中で歩くのですが、足に負担がかからないのでいいですよね。若い頃は、院長は山登りと魚釣り、私は泳ぐのが好きでした。あまり一緒に何かをすることはなかったのですが、子どもたちをスキーに連れていったことはありますね。
最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

【正志院長】75歳になっても現役の医師として皆さんのお役に立てることは、たいへんありがたいことです。頭が働くうちはずっと医師でいたいと思っています。
【幸子副院長】地域に密着して、院長と一緒に引き続きこの地域の皆さんに寄り添っていけたらと思っています。どなたでも気軽に足を運んでいただけたらうれしいです。