仁科 晃 院長の独自取材記事
仁科小児科内科医院
(倉敷市/新倉敷駅)
最終更新日:2026/03/25
メイン通りから1本入った静かな住宅街に位置する「仁科小児科内科医院」。小児科、内科、アレルギー科に対応している。市の中心部から離れたエリアにあり、小児科自体が少ないことから、周囲の住民に頼られているクリニックだ。100年以上も続く同院は、現在の院長である仁科晃先生で3代目。白衣は着ない、予防接種は予約制を取らない、薬は院内処方にするなど、独自のスタイルで地域のよろず相談所をめざす。「病気でなくても来ていただいて構いません。何でも相談できる場所でありたい」と穏やかな優しい口調で話す仁科院長に、継承した経緯、診療の特徴や工夫、増えている小児の疾患などについて詳しく聞いた。
(取材日2026年2月17日)
3代続く、100年以上の歴史がある医院
継承するに至った経緯をお聞かせください。

1917年に祖父が小児科・内科として開業し、1996年に私が3代目として継承しました。父が病気で続けられなくなったため急きょ継いだ形でしたが、物心ついた頃から継ぐのが当たり前という流れだった気がします。他の選択肢を思いつくこともありませんでした。愛知医科大学を卒業し、岡山大学で勤務しながら感染免疫学も勉強しましたので、アレルギー科にも対応しています。場所はずっと同じですが、リニューアルで内装を変えました。昔は内科が少なかったということもありますが、祖父の代からずっとご家族で通ってくださっている方もいらっしゃいます。来院いただいているのはほとんどこの地域の方々ですね。今ではインターネットで調べて来られる方もいらっしゃいますが、昔からの地域のつながりが割と多いと思います。
患者と接する際に心がけていることは何ですか?
代々来ていただいているご家族は、家族歴がわかっていますので、状態も把握しやすいんですね。その特性に合った診療を心がけています。それから、小児の診療を行っていますが、子どもの診療であっても大人と同じような配慮は忘れないようにしています。もう1点、父からもよく言われていたのですが、子どもの診察時間は短くすることです。小さな子どもは唐突な動きもしますので、とにかく早く、皮下注射などは2秒以内で終わらせろと言われていました。喉の診察は特に難しくて、大人のように口を開けていてはくれないので、一瞬で写真を撮るような感覚でのぞき込みます。もちろん違和感があればじっくり診ますけれど、基本的には一瞬です。心臓の音にしても、例えば泣き止む瞬間に聴くとかですね、小児科医にとっては一瞬のチャンスが大事なんです。
白衣を着ずに診療する姿が印象的ですが、それも子どもへの配慮の一つなのでしょうか?

白衣は、最初の頃少しの間は着ていたのですが、個人医院なのでいいかなと思って着るのをやめました。私は体も大きいので白衣を着てドンと座っていたら、特に子どもは怖いのではないかと思うんですね。院内や医者の雰囲気だけでおじけづくお子さんもいらっしゃいますので、少しでも威圧感を与えないようにと考えています。子どもにとっては診察を受けたり処置されたりするのは恐怖でしかないんですよね。それでも来なければならない場合があるわけですから、だったら少しでも恐怖感を減らし、短い時間で済むほうがいいと思っています。
病気をしてからの治療より、しないための予防に注力
こちらでは特に病気の予防に力を入れているのですよね。

はい。特に新生児の場合は、免疫力が低いため病気にかかりやすいので、3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月、12ヵ月というペースで乳幼児健診に来ていただくようお話ししています。予防接種は予約制にはしていなくて、いつでも接種できる体制にしているんです。無料で受けられる予防接種はそろえてありますので、いつ来ていただいても大丈夫ですよ。予約していても、急な発熱などで予防接種が受けられないこともあると思いますので、打てるときに打てばいいと考えていますね。ウイルス感染症、はしか、おたふく風邪などは、治療するだけでなく予防方法の紹介も行っています。あとは、風邪やインフルエンザなどの感染症と判断できる場合でも、他の病気の可能性も考慮するようにしています。重篤な病気が隠れている場合もありますし、お子さんは特に抵抗力が弱いので、病気を見逃さないよう注意を払い、早めに対処することを大切にしています。
最近は小児のアレルギーが増えていると聞きます。
昔はアトピーの方が多かったように思うのですけれど、最近は鼻炎の方が多くなっているように感じますね。アレルギー性鼻炎が低年齢化しているんです。あとは、吸入性アレルギーや食物アレルギーですね。吸入性アレルギーは、花粉症やハウスダスト、ダニなどを鼻や口から吸い込むことで起こるアレルギーで、子どもにも増えています。食物アレルギーは、卵や牛乳、甲殻類、魚介類、小麦など、いろいろな食物が原因になるのですが、じんましんや呼吸困難、吐き気などの症状の他、アナフィラキシーショックを起こすと命に関わる場合もあります。アレルギーの原因を知っておくことは必要だと思いますね。
食物アレルギーはどのような検査を行いますか?

お子さんは皮膚の面積が限られていることもあって、パッチテストよりも血液検査をメインにしています。まずは、食べてからどれくらいの時間で症状が現れたのか、どれくらいたってから症状が悪化したのかなど、時間経過を考慮した問診を行っています。これは、アレルギーの度合いを確認する手段の一つですね。食べて15分以内にじんましんが出たら、食物アレルギーを疑ったほうがいいと思います。15分から30分で出て、3時間ぐらいで消えるのが通常なので、じんましんが出たからといってその足で来院しなくてもほとんどの場合は大丈夫です。ただ、アナフィラキシーは別ですね。顔が腫れたり顔色が青くなったりの場合は早めに相談してください。アレルギーは、症状だけにとらわれずにさまざまな状況から判断していきます。
よろず相談所として、これからも地域に寄り添い続ける
他に増えている症状はありますか?

ADHDやアスペルガー症候群のような発達障害の相談が多いですね。最終的には病院を紹介することになるのですが、最初の入り口として受診される方が増えています。最近は、保育園や幼稚園が気づいて受診を働きかけることもあるようですよ。心配な場合はまずはご相談に来ていただければ、適切に病院を紹介します。ただ、発達障害の相談が増えていることから、どこの病院も混んでいて、3ヵ月待ちや6ヵ月待ちということもあります。できれば早めに診断をつけて、その子の特性に合った対処や寄り添い方をしてあげられるといいですね。
こちらは院内処方をされているんですね。
世の中は院外処方が主流ですけれど、当院は院内処方を行っています。今は少なくなりましたけど昔から水薬(シロップ剤)を扱っていて、その子どもの症状に合わせて処方するので院外処方では難しいこともあり、今でも院内処方を続けています。小さなお子さんを連れて別の薬局に移動する手間が省けるので、親御さんにとって少しは楽なのではないでしょうか。
では最後に、これからの展望と読者へのメッセージをお願いします。

地域の方々にとって、よろず相談の窓口でいたいですね。病気のときはもちろんですが、病気でなくても困ったことがあったら来てくださいという気持ちでいます。誠心誠意、お応えさせていただきます。一応100年以上続いている医院なので、それなりに役には立ってこられたのかなと思っています。大それたことは考えていなくて、これからも地域に愛される医院でいられたらそれが一番ですね。2人の娘と1人の息子がいますので、同じ親としての目線でアドバイスできることもあると思います。気兼ねなくお越しください。

