藤田 淳史 院長の独自取材記事
藤田皮膚科医院
(岡山市南区/岡山駅)
最終更新日:2025/01/21
岡山市南区の住宅街で開業から45年を迎えた「藤田皮膚科医院」。大学病院や総合病院の皮膚科で研鑽を積んだ藤田淳史院長が2014年に父から継承し、2019年には完全バリアフリー設計でリニューアルした。弦楽器のf字孔をかたどった天窓から自然光が差し込む、木目調の落ち着いた待合室は、学生時代オーケストラに所属していた院長の夢であったコンサートホールも兼ねているという。「病気には必ず原因がある」という考えのもと、「患者さんと病気の原因に気づき、生活から取り除くことで、同じ症状を二度と繰り返さないようにしてあげたい」と語る藤田院長に、同院のこだわりや、厳しい症状のアトピー性皮膚炎や乾癬に対する先端的な治療について、じっくりと語ってもらった。
(取材日2024年11月13日)
天窓からの自然光は、肌の状態を正確に把握するため
まずはこちらのクリニックを簡単にご紹介いただけますか?
1979年に父が開業し、2014年に継承しました。その時点で築35年でしたので、建物の老朽化や両親の年齢のこともあり、2019年にバリアフリーのクリニックに建て替えました。その際、待合室のスペースを私の夢でコンサートができるホールにしたいなと。音響にもこだわって設計してもらいました。地元や遠方から音楽家を招いてコンサートも開催しています。初回の演奏会の後、新型コロナウイルスの影響でしばらく間が空きましたが、音響のための広い空間が図らずも、密閉・密集・密接の三密回避に適しており、コロナ禍の中でも安心してご来院いただけたのは想定外のメリットでしたね。5類移行後コンサートホールとして再起動、このクリスマスには地域の演奏グループが演奏してくださる予定です。
自然光が差し込む天窓が印象的です。
「建物自体が人を癒やす」というコンセプトのもと、木のぬくもりを感じさせる、リラックスできる空間をめざしました。完全バリアフリーなので、車いすやベビーカーでのご来院も問題ありません。ちなみに当院は「予約優先制」、当日のウェブ・電話からの予約、診察時に取られた次回予約だけでなく、当日窓口に来られた患者さんも可能な限り受け入れる「バリアフリー受診」に配慮しています。弦楽器の胴体内部をイメージした待合室には、f字孔をかたどった大きな天窓を開けました。診察室・処置室も天窓採光とし、患者さんの皮膚の状態を自然光で診察できるよう設計しました。加えて医師やスタッフの動線をなるべく短くして、複数の診察室で少しずつ時間をずらしながら、無駄なく多くの患者さんを短時間で診られるように工夫しています。また、院内全体に床暖房を導入して冬場の頭寒足熱を実現、しもやけ予防や足を冷やして体調を崩されないように配慮しました。
先生のご経歴についてもお聞かせください。
兄弟3人子どもの頃から医院の上階で育ってきたので、誰かに医院を継いでもらいたいという親の希望はありました。医学部に入ってからは趣味のバイオリンにのめり込み、オーケストラ活動に明け暮れました。卒業後は今の研修医のように全科を研修して回るのではなく、いきなり専門科に入る流れでしたので、広い視野を持つ医師になりたくて、まずは麻酔科に入局しました。全身管理を通して、人の体のことをより深く知ることができたと思います。麻酔科標榜医の許可も取っていますので、例えば帯状疱疹の痛みに対して、ペインクリニックで用いる薬を使うことにも慣れています。3年間麻酔科での研鑽を経て、皮膚科の医師になったのが1999年です。
生活の中にある原因への気づきが治療の鍵
診療理念を教えてください。
病気になるのには必ず原因があります。原因が取り去られないと、薬で良くなったとしてもまた悪化を繰り返してしまうことがしばしばあります。私が気をつけているのは、生活の中に原因がないかを患者さんと一緒に考えて、必要な検査をして、見つけて、生活の中から取り除いてあげること。患者さんが「あっ、それかな?」と気づくことが、私たちが仕事をやっている醍醐味です。それによってお薬に頼らなくても再発しなくなって、二度と来られなくなれば、それが一番うれしいんです。ただ、すぐに原因がわかるものばかりではなく、中には悪性腫瘍、膠原病などの治りにくい病気もあります。そこをちゃんと見極めて、当院でできる治療はきちんと行い、難しい治療は大きな病院に送るのも大事な仕事です。
先端的な治療も積極的に取り入れているとお聞きしました。
アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬の強い症状のある患者さんは、なかなか対症療法では改善しないので、より根本的な治療がないかをずっと探しておられます。ナローバンドUVBなどによる紫外線療法は保険診療で、十分に病気の勢いを抑えることが期待できます。さらに現在、湿疹ができるもっと根本に近いところにアプローチする、分子標的薬、生物製剤といわれる飲み薬や注射薬なども登場しています。当院はそういった先端的な治療にも積極的に取り組んでおり、もし副作用などが起きた場合でも大きな病院とすぐに連携を取ることができます。
重い症状に悩む患者さんにとって希望となりそうですね。
病勢が強い方は、ご自分の生活の中で、病気の治療の優先順位を上げられないことが多いんです。ひどい状態を抑えるためだけの薬をもらって、また仕事や家庭に戻る毎日の繰り返しから抜け出せない。生活は英語でいうとLife。人生とも、生涯とも訳せます。「どうせ治らないだろう、こんなもんだ」と諦めてしまわず、私たちの所に来ていただければ、「人生を自分の手に取り戻す」「生涯を変える」お手伝いができると思います。また、赤ら顔や赤あざといった肌のお悩みも、解消できれば気持ちが前向きになり、地域のコミュニティーにもっと積極的に参加できるようになるかもしれません。そういった皆さんの、QOL(Quality of Life)向上に皮膚科がお役に立てるとうれしいですね。
諦めてしまっている患者さんに伝えたいことはありますか?
もし、「小さい頃からこんな肌だったから、どうせこれ以上良くならない」と患者さんが言われたら、「いやいや、生まれた時はその肌ではなかったはずです」と答えます。あれほど夢見た、湿疹ができない肌、かゆみで目が覚めない夜が、現代の医学ならめざせるんですよ、とお伝えしたいです。一回ではなかなかわかってもらえなくても、「この人の肌の、もともとの状態を取り戻してもらいたい」という想いで何度も伝えていると、ある時突然「先生が言っていたあの注射、やってみようかな」と言われる時が来ます。そんなとき、この仕事やっていて良かったと思えますね。
地域の人の皮膚、健康、生活を守るかかりつけ医として
医療機器についても教えてください。
当院では色素レーザー(ダイレーザー)という医療用レーザー機器を導入しています。顔の血管腫(赤あざ)や毛細血管拡張症(赤ら顔)を保険適用で治療を行うことができます。導入しているクリニックは少ないですが、使い勝手がいい機器です。もし皮膚トラブルが起きた場合でも、保険診療で腫れや赤みに対応できるのも、日本皮膚科学会皮膚科専門医による施術ならではのメリットですね。
今後力を入れていきたい治療はありますか?
足を守ることで生活や健康が保たれますから、足にトラブルが起こらないようにするフットケアも皮膚科医の大事な仕事の一つとして力を入れていきたいですね。爪が盛り上がってくる爪白癬は薬による治療がほとんどですが、当院ではしっかり削って平らにしてあげるよう気をつけています。また、巻き爪についても、自由診療となりますが、ワイヤーを使った矯正治療を行って、痛みが少なく見た目もきれいになるよう配慮して治療を行っていますので、ご相談ください。
最後に、地域のどんなクリニックでありたいかをお聞かせください。
南区のコミュニティーの人たちに、「皮膚のことで困ったら、あそこのこじゃれたクリニックに」と思ってもらえたらうれしいですね。それと、この辺りは海抜0メートル地帯なので、大水が出たときには大波にザブッと浸かってしまいますが、当院は1メートル半ほど高く建てていますので、避難場所として使うことも可能です。普段は皮膚科クリニック、時にはコンサートホールでもあり、いざとなれば避難場所としても頼ってもらえる、そんな地域の皆さんとの関わりの深い場所でありたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはワイヤー装置による巻き爪矯正/8000円~