久保 陽司 院長、久保 美佳 副院長の独自取材記事
井上医院
(岡山市北区/足守駅)
最終更新日:2024/12/27
初代から数えて1世紀ほどの間、足守地区の人々の健康を支えてきた「井上医院」。心臓血管外科が専門の久保陽司先生が院長を引き継ぎ、小児科とアレルギー科の専門家である久保美佳先生が副院長に就任したことで、幅広い疾患と年齢層に対応できる、まさに理想的な「かかりつけ医」として生まれ変わった。専門家として診断や治療をする一方、かかりつけ医として患者の健康全般を守ることに注力する陽司院長と美佳副院長に、同院の理念や特徴などについて聞いた。
(取材日2024年11月22日)
かかりつけ医として約1世紀の歴史を持つ医院
こちらには長い歴史があると伺いました。
【陽司院長】地域の医療機関として約1世紀近くあり、私は3代目の院長になります。そして妻が副院長を務めております。もともと地域医療には興味がありましたが、副院長が先代の院長の御息女であったこと、また世代交代としてこの度井上医院の継承をしております。実際に先代の頃に通っていた方が母親になってお子さんを連れてきてくださったり、先々代の先生はこんな人だったよと話してくださる患者さんもいらっしゃいます。この医院がいかに長く地域に愛されてきたのかを感じる場面に遭遇し、これからもそういう医院であり続けたいと思っています。
どのような患者さんが来られますか?
【陽司院長】地域の患者さんが多く、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く来院されます。腹痛や胸痛、風邪やけがなどの急性期疾患、生活習慣病などの慢性期疾患などが多いですね。先代の頃から通ってくださっている患者さんも数多くいます。中には、先先代から関わりのある患者さんもいらっしゃいます。
【美佳院長】私の専門は小児科とアレルギー科なのですが、小児科が近隣に少ないため、比較的遠方からも来院されます。また、校医や園医をしている関係で、少し離れた場所の子どもたちも来てくれます。患者さんから「孫が生まれたから先生よろしくなあ」と言われ、産後すぐの赤ちゃんの乳児健診や予防接種のために、世代をまたいで家族で受診してくださるのがうれしいです。アレルギー専門の外来では、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症の方が多く、専門的な治療を行っています。
理念を教えてください。
【陽司院長】当院の理念は「地域のかかりつけ医として、人と人との触れ合いを大切にし、患者さんに寄り添い、思いやりのある診療」です。例えば、「救急車の呼び方がわからない」とか、「夫が倒れたけどどうして良いかわからない」といった気が動転して冷静な判断ができない患者さんやご家族から連絡が来ることもありました。そのため、地域の皆さまが安心して暮らせるよう、医療全般はもちろん、さまざまな相談にも対応しています。また、普段から当院を受診している患者さんが、「体調不良で動けず、とても来院できる状態じゃない」と連絡を受けたら、急きょ、緊急往診に切り替え、患者さんの自宅まで訪問することもできます。さらに当院では近隣の基幹病院とも連携を取っており、当院での対応が困難である場合は、適切な医療機関へ紹介することも行っております。
外科・小児科・アレルギー科の専門家による信頼の医療
院長の専門である心臓血管外科は、どういった部分で生かされているのですか?
【陽司院長】先代までは内科と小児科がメインでありましたが、外科医であるため、けがや創部の縫合処置など、外科領域にも対応できるようになりました。私は心臓や血管の手術をしていましたので、循環器領域に特に詳しく、さらに詳細な精査が必要な患者さんを基幹病院へ紹介しております。また、患者さんが実際に手術を受けた後の管理や、補足説明・日常生活での注意点など、前医だけでは説明しきれないような場合、不安を解消できるような、細やかなフォローもしています。
【美佳副院長】院長は血管を縫うような繊細な外科手術をしていたので、技術が長けているんです。内科の医師だと思っていた患者さんは、手際の良さにびっくりされるのではないでしょうか。
副院長は小児科とアレルギー科がご専門ですね。
【美佳副院長】初期研修で小児科に行った時、尊敬できる医師に出会ったんです。親御さんだけでなく、子どもの話もしっかり聞く、優しい医師でした。その姿を見て、小児科へ進むことを決意しました。アレルギー科に関しては、私自身アレルギー体質で子どもの頃から悩まされ、いろいろと勉強をしていたんです。患者さんの気持ちもわかりますし、食生活の話などもできると思い、日本アレルギー学会アレルギー専門医の資格を取りました。県北の基幹病院に勤務をしていた時に、アレルギー専門の外来が近辺に少なかったので、アレルギー専門の外来を立ち上げ、いろいろな地域の先生から紹介をいただきました。その時の患者さんが今も通ってきてくれるんですよ。
こちらの特徴を教えてください。
【美佳副院長】内科・外科・小児科があるので、0歳から100歳まで幅広く通院していただけるのが最大の特徴です。乳児健診を受診したお子さんのご両親が風邪をひいたと来院されるなど、地域に密着したファミリークリニックです。また、思春期の患者さんなど女性医師を望む場合もあるので、その都度相談に乗っております。校医・園医として子どもたちの健康管理や学校職員である先生方の健康管理も行っております。また、アレルギー疾患は当クリニックでも専門的な検査や治療ができます。舌下免疫療法や、生物学的製剤・免疫抑制剤を使用した治療も行っているんです。もちろん、専門の医療機関と連携をしっかり取っていますので、ご安心ください。
0〜100歳まで通えるファミリークリニック
地域活動や情報発信にも力を入れているそうですね。
【陽司院長】厚生労働省が行っている健康日本21という国民健康づくり運動として、生活習慣病の改善などに計画的に取り組み、国民の健康寿命を伸ばすことをめざすため、地域活動や講演会などの啓蒙活動をしています。また地域の行事に参加し交流を深めています。
【美佳副院長】院外の活動として、お母さん・子ども向けにコーチングや思考を整理するノート講座をしています。コーチングとは、目標を達成できるよう自発的な行動を促すコミュニケーションのことです。アレルギー診療にもコーチングの要素を取り入れてお話をすることもあります。そうすることで皆さんが行動に移すきっかけとしてくれるため、治療もしやすくなるんです。また、患者さんへの情報発信のためにSNSを積極的に取り入れています。皆さんお忙しいので、隙間時間に情報を得るにはSNSが適していると思います。
患者さんと接する際、心がけていることはありますか?
【陽司院長】私たちは患者さんの訴えや話をしっかり聞き、どういったことに不安や問題を抱いているのかなど注意深く接し、話しやすい雰囲気の場をつくることを心がけております。患者さんのすべての望みをかなえることはできないこともありますが、患者さん自身が納得して治療に対して行動していただけるように配慮しております。
【美佳副院長】院長にはリーダーシップがありますし、何より人を自然と笑顔にする力があるんです。高齢になってくると笑う回数が減っていく傾向があります。笑う回数が、赤ちゃんは1日400回、成人は30回、高齢者は2回ほど、という調査があります。私は皆さんの笑顔が増える医院でありたいと思います。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
【陽司院長】当院は、「また来たくなる医院」を基本方針として考えております。普段から病院なんて通いたい人なんてそこまでいないと思いますが、それでも病気や訴えがあり、それを解決するために決断し来院されている患者さんとその家族の笑顔のために真摯に関わり続け、適切な治療を行っていくことが大切であると思っています。もちろん病気や症状があるからだけでなく、その前の病気にならないために、どう向き合っていくのか、健康になるにはどうしたらいいのか、また健康をどう維持するのかなどにも相談に乗っております。
【美佳副院長】当院は、日本小児科学会小児科専門医と日本アレルギー学会アレルギー専門医の資格を持つ医師が在籍しています。皆さんの体と心の免疫力をあげる診療を行っていきます。困った際には、ぜひ一度足をお運びいただければと思います。