樋口讓院長の独自取材記事

樋口クリニック歯科

(岡山市北区／岡山駅)

最終更新日：2024/11/01

多くの人が歯科治療を苦手だと思う理由の一つに「何をされるかわからない不安」があるのではないだろうか。そんな患者の不安に親身に寄り添ってくれるのが、岡山駅前の大通り沿いにある「樋口クリニック歯科」だ。院長を務める樋口讓先生は「病状や原因を患者さんに理解してもらう」ことを重視。一緒にモニターを見ながら、病状や原因、治療法や治療経過について、じっくりと説明するという。こうした患者の不安を取り除く丁寧な対応が、地域に住む高齢者やファミリー世帯、近隣のビジネスパーソンまで、幅広い世代から信頼を集めている。「いくつになっても健康なお口で食べる喜びをサポートしたい」と穏やかに語る樋口院長に、日々の診療で大切にしていることや、力を入れている歯磨き指導や噛み合わせの治療について、じっくりと話を聞いた。

（取材日2024年10月4日）

わかりやすい説明で理解を促し、患者の不安を解消
一人ひとりに合った歯ブラシの選び方から丁寧に指導
いくつになってもおいしく食べる喜びをサポート

わかりやすい説明で理解を促し、患者の不安を解消

まずはこれまでの経緯を教えてください。

もともとは、小児科医師である叔父が1992年に開業したクリニックが始まりです。小児科と内科に加えて歯科を併設していました。当初は非常勤の歯科医師が勤務していましたが、2008年からは私が常勤の歯科医師として入りました。私の実家は高梁市で祖父の代から歯科医院をしていまして、そこで働く父の姿を見て、いろんな人に感謝されるいい仕事だなと思い、歯科医師を志しました。岐阜県の朝日大学歯学部、岡山大学大学院を経て複数の病院歯科に勤務した後、叔父に一緒にやらないかと誘われて当院に勤めることにしました。その後、2024年3月に私が叔父から院長を引き継いだことで、歯科専門のクリニックとなりました。

どのような患者さんが来られていますか？

幅広い世代の方にいらしていただいています。先代の時から通ってくださる高齢の方もいれば、近隣のオフィス街で働くビジネスパーソン、反対側のエリアのマンションに住む子育て世代も多いです。2世代、3世代にわたってご家族で来ていただいている方もおられます。急な歯の痛みや、詰め物が取れた、入れ歯が壊れたというような緊急時はもちろん、定期検診で長く通ってくださっている方も多くいらっしゃいます。また、近くにホテルがいくつかあるので、旅行中に急に歯が痛くなった旅行者の方も来られます。

日々の診療で心がけていることを教えてください。

患者さんにきちんと説明してわかってもらうことを大事にしています。どうしてこうなったのか、何をされるのかわからない状態だと患者さんは不安ですし、トラブルの改善にもつながりません。そのため、診療ユニットごとのモニターやタブレットで口の中の様子を見ながら、「この黒い部分が虫歯で、その結果こういう症状が出ているんですよ」というように、原因と症状を結びつけて説明しています。細かすぎても難しくなってしまうので、患者さんに合わせて調整していますね。それから、どのような治療をするのかを丁寧に説明します。必要に応じて歯の模型を作ったり、エックス写真を撮ったりして、一緒に見ながら説明することもあります。特に大切なのが原因を理解してもらうことです。原因を理解していなければ、結局、同じことを繰り返してしまいます。歯磨きや生活習慣などに問題があれば、そちらの改善についてお話ししています。

一人ひとりに合った歯ブラシの選び方から丁寧に指導

患者さん自身に原因を理解してもらうことが、改善につながるわけですね。

はい。患者さんが理解されているかどうかは表情を見ないとわからないので、患者さんの目と顔を見て、話すようにしています。一般に歯科医師は診療ユニットで患者さんの頭側に座って、そのまま話をすることが多いのですが、それだと患者さんの表情がよくわからない。患者さんが理解しているのか、不安になっているのか、納得できていないのか、微妙な表情がわからないんですよ。ですから、診療ユニットの横の椅子に座って、患者さんの表情を見ながら話をするようにしています。これはお子さんに対しても同じで、一人の人間として尊重して向き合うよう心がけています。兄が日本小児歯科学会小児歯科専門医なので、お子さんへの接し方は兄からも学んでいますね。

歯磨きの指導にも力を入れていると伺いました。

歯磨きがきちんとできていなくて、虫歯や歯周病になっているのであれば、やはりそこを改善する必要があります。定期検診では毎回、歯磨き指導をしています。お子さんの場合は虫歯治療でも「最初は歯磨きからやろうか」と歯磨き指導をして、リラックスしてもらっています。また、一口に歯ブラシといっても、山型の歯ブラシもあれば、ピンポイントで磨ける小さな歯ブラシもありますし、毛の硬さもさまざまです。でも、選び方がわからなくて値段で適当に選んでいる人や、ご家族任せで自分で選んだことがないという人もいます。そこで、歯科衛生士が患者さんのお口の状態に合わせて歯ブラシの選び方から説明しています。歯磨き粉も歯周病用や知覚過敏用などがあるので、口の中の状態によっては家族でも使い分けてもらったほうがいいですね。せっかく歯科医院に来てもらったので、歯磨きの知識をつけて帰っていただければと思っています。

歯科医院に行く前は、特にしっかり磨いておかなければと気にしている人も多いと思います。

それは普段どおりで構いません。しっかり歯磨きできなくても別にいいんですよ。皆さん忙しくて、じっくり歯磨きをする時間もなかなかないでしょうし、定期検診の直前に会社や学校で歯磨きをするのが難しいこともあるでしょうから、磨くか磨かないかはどちらでもいいんです。磨いてからいらしていただいた時に磨き残しがあれば、どこが磨けていないかがわかりますし、歯磨きをしていなかった場合でも、その場で汚れの落とし方を体験できますから。治療や定期検診を受けていただくことが大事なので、気にせずにいらしてください。

いくつになってもおいしく食べる喜びをサポート

歯磨き指導のほかに力を入れていることがあれば教えてください。

噛み合わせについては勉強会やセミナーで独自に研鑽を積んでおり、力を入れています。虫歯など口の中の部分的なトラブルだけを治療しても、噛み合わせが合っていないと、同じトラブルを繰り返してしまったり、悪化させてしまったりすることがあります。また、噛み合わせが悪くて、奥歯だけで何十年も噛んでいると、奥歯だけがすごくすり減ってしまったりするんです。噛み合わせを整えておかないと、やがて前歯にも悪影響を及ぼしてしまうんですね。当院がめざすのは口腔全体の健康を守って、70歳、80歳になってもおいしく食べられるようにすることです。一本一本の歯を診ることも大切ですが、「木を見て森を見ず」にならないよう、噛み合わせも含めた口腔全体を診ていくことが大切だと考えています。噛み合わせに問題がある場合は、ナイトガードや矯正治療を提案することもあります。

口腔全体の健康を守るために、必要なことはありますか？

やはり定期検診を受けてほしいですね。頭ではその重要性をわかっていても、なかなか足が向かないという人は少なくありません。当院では、受診していただいた時に、次の予約を取ってもらうようにしています。そして時期が来たら、携帯電話のSMS（ショートメッセージサービス）でお知らせしています。以前ははがきでお知らせしていたんですが、引っ越しなどで届かなくなる人もいますので。SMSを見て、そろそろ歯科医院に行かなくちゃいけない時期だなと、受診のきっかけになればうれしいですね。できれば当院に来ていただきたいですが（笑）、当院でなくても、通いやすい歯科医院で定期検診を継続していただければと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

人間にはいろいろな欲求がありますが、その大きな一つが食欲、おいしいものを食べる喜びだと思います。体の病気がなくても口腔状態が悪ければ、硬いものが食べられないなど、食べる喜びが減ってしまいます。食べる喜びを味わうためには、まず入り口となる口腔の健康が大事なんですね。私は歯科医師として、その入り口の段階で困る人を減らしたい。70歳、80歳になっても楽しくおいしく食べられるように、口腔の健康をサポートできる歯科医師でありたいなと思っています。虫歯や歯周病はもちろんのこと、歯の色が気になる、顎が痛い、口が開けづらい、噛み合わせが気になるなど、歯以外のご相談にも対応しています。土曜の午後も診療していますし、ネット予約もできますので、小さなこともどうぞお気軽にご相談ください。