川口 光彦 院長の独自取材記事
川口メディカルクリニック
(岡山市北区/岡山駅)
最終更新日:2024/12/19

岡山駅から大通りを進むこと20分、案内板の先に見えるのが、長年地域住民の健康を支え続けている「川口メディカルクリニック」だ。2006年に2代目院長に就任した川口光彦先生は、複数の病院で医長などを務めた経験をもつベテラン医師。かかりつけ医として患者を見守り続けたいと「通所リハビリテーションひかり」を開設、診療後の患者のQOL(生活の質)の向上にも意欲的に取り組んでいる。一方で、内視鏡検査や高難度の肝臓疾患にも対応、近隣施設との連携による精密な検査に基づいた診療を提供している。「患者やスタッフの笑顔を見るのが自分にとっての幸せ」と語る、朗らかな笑顔が印象的な川口院長に、クリニックの強みやかかりつけ医としての心構えなどについて聞いた。
(取材日2024年11月13日)
連携により検査から治療までをトータルで提供
20年ほど前にこのクリニックを継承されたと伺いました。

前身は私の父が経営していた「川口内科」で、今とは別の場所にあったのです。退任した父に代わり私が院長に就任し、2010年に現在の院名に変更し移転開業しました。岡山画像診断センターに隣接したこの土地を見つけられたのは非常にラッキーだと思っております。町のクリニックでは新規導入や維持が簡単ではない、CT・MRIといった先端の検査機器がそろっている施設が近くにあれば、当院を受診された患者さんは高度な検査を速やかに受けることができ、当院の受診は非常にメリットが出るのではないかと考えました。
連携によってさまざまな精密検査が可能になるのは、患者さんにとってもメリットが大きいですよね。
病院であれば入院を伴うなど一日かかる検査が当院では半日程度で終わるようにしています。診察・診断・治療をパッケージで速やかに提供できることは当院の大きな強みです。このエリアは、当院を含め多岐にわたる診療科のクリニックがあり、一つの大きな病院のようになっているので、地元の皆さんは暮らしやすいのではないでしょうか。移転からしばらくして、かつての同僚だった、消化器、特に内視鏡検査を専門とする大家昌源(おおや・しょうげん)先生を副院長として招聘し、高度な胃の内視鏡検査や大腸内視鏡検査が可能になりました。また、私は肝臓内科を専門にしており、これまで多くの重症患者の治療も経験していますので、さまざまな肝臓疾患に対応できます。父の代から通院されている方がおられることもあり、もともと患者さんの数は多かったですが、移転後は明らかに増えたと感じています。
どのような理念を掲げて診療にあたっておられるのですか?

当院のスローガンは「憩い、癒やし、いい気分:3I(スリーアイ)」。地元の皆さんのかかりつけ医として、ポジティブに毎日を送ることができるような治療を提供したいと努めています。そのために心がけているのは、「スマイル」。クリニック全体で笑顔を大切にしています。クリニックに来られた患者さんは心身ともに大変な思いをしておられるのだから、笑顔で迎えてあげたいですよね。診察を終えた患者さんに対しても笑顔で接し、いたわりと励まし、そして、当院を頼ってくれたことへの感謝の気持ちを伝えるようにしています。つらそうな表情で来院した患者さんに、笑顔で「ありがとうございました」と帰り際に言葉をかけてもらえる。そんな医療機関でありたいと思っていますし、現にそういう患者さんが多いことを自負しています。
最後まで責任を持つことはかかりつけ医の使命
地域のかかりつけ医として、特にどのようなことを意識しているのですか?

予防・診断・治療の3つを特に重視しています。予防医療ではデータに基づき、私の実体験を交えながら取り組んでほしいことをアドバイスしているんです。医師は元気であることが大前提ですが、これが結構大変です。普段から私が実践している健康法などをお話しすることで、予防の必要性を自分のこととして捉えてもらいたいと思っています。診断については、丁寧な問診はもちろんのこと、頻繁に使用する検査機器は導入し、高度な検査は先ほどお話しした岡山画像診断センターで行うなどの形で検査体制を整えています。治療については、日々の研鑽に加え、入院や手術が必要と判断した患者さんをスムーズに病院や専門の医療機関に紹介できるよう、医師同士のネットワークを大切にしています。
患者さんの健康を末永く見守っていくという覚悟をお持ちなのですね。
一人ひとりの患者さんの健康を最後まで責任を持って管理するのが、かかりつけ医の役目であると私は考えています。その一環として、デイケア型の「通所リハビリテーションひかり」と在宅介護をサポートする「川口内科居宅介護支援事業所」を併設しました。このエリアでは高齢化、単身世帯化が急速に進んでいます。施設の充実やスタッフの確保などは大変ですが、患者さんが少しでも快適な毎日を送ることができるようサポートするのは、かかりつけ医として当たり前のこと。お待たせせずに介護老人保健施設に入所できるよう体制を整えており、クリニックの系列なので、安心して過ごしてもらえるはずです。
疾患の治療と健康管理の両方をお任せできるのは、患者さんにとって心強いと思います。

私の最終目標は、通所リハビリセンターの先の位置づけで入所できる施設を持つこと。末期の患者さんを支えていくための環境づくりをさらに進めていきたいですね。リハビリテーションが目的の施設だけでは、患者さんのケアとしては物足りないと感じています。あくまでも理想ですが、デイサービス、通所リハビリセンター、ショートステイ、入所型の施設をすべて運営したいです。将来、自分が作った施設の一室で余生を過ごすことができたら本望ですね。
専門性を備えたクリニックとして地域に貢献
医師として心がけていることを教えてください。

私は、医師は引き出しにたくさんの道具、つまり治療法を持っておく必要があると考えています。複数の引き出しにいろいろな治療法を入れておけば、「この治療法ではうまくいかない、ならば、あの治療法を使ってみよう」と取捨選択したり、複数の治療法を組み合わせたりできますよね。その繰り返しによって、幅広く診療できる何でも屋のような医師になれると思います。私は大学在籍中にアルバイト先の病院で、漢方薬を扱う会社の方から紹介されたのを機に、漢方医療にすっかり引き込まれて猛勉強しました。日本東洋医学会漢方専門医を取得し、診療においても漢方薬を取り入れるようになり、治療の選択肢が広がったと実感しています。東洋医学の勉強は難しいですが、患者さんに報いたい一心で努力しました。新しい治療法を学び、自分のものとする柔軟さが、特に若い医師には必要だと思います。
大家先生のご専門の内視鏡検査について教えてください。
勤務先の健康診断で再検査になったことをきっかけに受診する方が多いです。内視鏡検査と聞くと怖い、痛そうというイメージを持たれることもあるかと思いますが、大家先生の内視鏡検査は痛みに配慮しており、ほとんど苦痛なく受けていただけるかと思います。不安な方には鎮静剤を用いて眠った状態で検査受診できるような体制も整えており、大腸内視鏡では外来で治療可能なポリープに対しては外来手術で切除しております。これからも患者さんのニーズに合わせて高度で安心できる検査を提供していきたいです。
診療だけではなくクリニックや施設の運営、自己研鑽と、とても精力的ですね。元気の秘訣は何ですか。

かつての経験が活力につながっていると感じています。私の専門は肝臓内科ですが、当初から専攻していたわけではありません。以前、津山中央病院に赴任した際、ちょうどC型肝炎が大流行していたのですが、院内に肝臓内科専門の医師がおらず私が診ることになったのです。肝臓疾患に詳しくなかったので独学で習得し、試行錯誤しながら経験を重ね、専門性を身につけました。困難な状況に陥っても、患者さんの苦しみをなんとかしてあげたいという気持ちがあれば立ち向かうことができる、そう私は信じています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
「人に喜びを差し上げる」ということが私の原点。患者さんが笑顔になってくれる、そして、スタッフが生き生きと働いてくれれば私は幸せなのです。当院は、地元の皆さんのかかりつけ医でありながら、内視鏡検査と肝臓、漢方という専門医療ができるクリニックでもあります。今後は、かかりつけ医プラス専門医療という当院の診療スタイルを、今まで以上に地域に浸透させていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃内視鏡検査:1万3200円~
大腸内視鏡検査:2万900円~