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奥村 剛清 院長の独自取材記事

奥村医院

(松江市/玉造温泉駅)

最終更新日:2021/10/12

奥村剛清院長 奥村医院 main

玉造温泉街から車で5分ほど、松江市玉湯町の閑静な住宅街にある「奥村医院」は、祖父の代から3代続く昔ながらのクリニック。地域のかかりつけ医として子どもから親、祖父母世代まで、住民の生涯にわたる健康を見守ってきた。時代の中で地域に住む人々の生活が大きく変化しても、3代目の奥村剛清院長は、かかりつけ医だからこそ気づける症状に目を配り、近隣だけでなく広く市内まで高齢者の診察に出かけ、時代のニーズに合わせた地域医療を提供する。また、松江市医師会では糖尿病の正しい知識を呼びかける活動も展開。地域のかかりつけ医として尽力しながらも、松江市広域の医療の発展に力を入れる奥村院長に話を聞いた。

(取材日2021年4月26日)

かかりつけ医だからこそ気づけるサインがある

奥村医院はどんなクリニックですか?

奥村剛清院長 奥村医院1

80年以上続く町のクリニックで、地域のかかりつけ医として幅広い年代の患者さんを診てきました。町内の幼稚園・保育園から小・中学校の検診医も務めています。玉湯町が松江市と市町村合併して新しいアパートやマンションが建つようになり、職場も広域となって地域住民の生活様式は大きく変わりました。それに伴い、当院のような町のクリニックで、生涯にわたるような関わりを求める患者さんは年々少なくなっていますが、今も変わらず通ってくれる近所のおじいちゃんおばあちゃんたちは大勢いますし、昔ながらの雰囲気が入りやすいと来院される若い人もいます。かかりつけ医として地域の皆さんを診ながら、市内の高齢者施設へ出向いて訪問診療も行っています。

検査設備も充実していますね。

はい。高齢者の場合は、本人が自覚される痛みや症状と実際の病状が違うケースも多く、血液検査の結果、数値が予想外に高くて急いで対応を切り替えたということもあります。高齢者の患者さんが増えているので、胃カメラ、エコー、エックス線撮影装置などの医療設備をそろえ、血液検査もある程度は院内でできるようにして、早期に異常が発見できるようにしています。総合病院のような大きな病院に行く前にかかりつけ医を通してもらうことで、患者さんの情報をより詳しく先方の医師に伝えることができるので、大きな病院に直接行くよりも短時間で詳しく診てもらえる可能性があります。特に、若い世代と別に暮らしている高齢者は、かかりつけ医を持たれることをお勧めします。

かかりつけ医が地域で果たす役割とは?

奥村剛清院長 奥村医院2

患者さんそれぞれに生活があり、家族があり、仕事があります。初診で行く医院や大きな病院では症状は診てくれますが、患者さんそれぞれの生活にまで注意を向けることは難しいでしょう。しかし、長い付き合いのあるかかりつけ医であれば、患者さんの家族構成や暮らしの様子など、それまでに蓄積された情報があります。そのため、もし入院や、しばらく安静が必要になったときに、「この人はこういう対応をすれば大丈夫」という判断ができます。また、「言っていることが前と違うな」と認知症の初期段階に気づけたり、患者さんの様子が気になって「ちょっと検査してみましょう」と調べたら低血糖が判明したり、普段を知っているかかりつけ医だからこそ気づけるサインがあります。

日常会話の中で本人が気づかない異変にも目を向ける

先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。

奥村剛清院長 奥村医院3

僕が高校を卒業する時、両親は当然のように「医師になれ」と言いましたが、僕自身はそれに反抗して、最初は情報系の大学をめざしました。しかし、1年目は受験に失敗し、それからどうしようかと家族会議が開かれた時に、父親から、長年通院されている近所のおばあさんが「最期は先生の息子さんに死に水を取ってもらいたい」と言われていると聞きました。その言葉に、それまでかたくなに反抗していた僕の心が動かされました。じゃあ挑戦してみようと医学部に入り、医師となって実際にそのおばあさんを2年前に看取ることができました。医師として一つやり遂げることができたかなと感じています。あの時のおばあさんの言葉は、僕に医師の道を歩むきっかけをつくってくれただけでなく、地域医療とは何かという大切なことを教えてくれました。

先生の診療方針や患者さんに接する時に心がけておられることは何ですか?

医者と患者の線引きを曖昧にしておくことです。診察をする時、「最近どう?」とか、「仕事忙しい?」とか、日常会話をする中で患者さんの話に耳を傾けて、「この前まではこんなことをしていたのに、しなくなっているな」など、少しの異変にも目を配るようにしています。いつもの様子と違いはないかを見るようにして、患者さんが訴える症状だけでなく、ご本人が気づかない症状にも早く気づけるように心がけています。

患者さんの変化に早く気づくために取り組まれていることはありますか?

奥村剛清院長 奥村医院4

高齢になるにつれて糖尿病や腎臓病のリスクは高くなります。内科の医師、そして地域の医療に従事する者として、全身に疾患を引き起こす糖尿病や腎臓病の知識は得ておいたほうがいいと思い、専門の先生方から情報を得たり、自分でも一生懸命に勉強したりしながら、糖尿病や腎臓病に関する知識を習得しています。また、松江市医師会の活動を通して、地域の先生方とのネットワークを広げています。僕の専門は消化器ですが、医師会の糖尿病対策の担当になったのをきっかけに、研修医時代にお世話になった松江市立病院や松江赤十字病院の先生方とともに対策に取り組む機会を得ることができましたし、腎臓病を専門とする先生方とも親しくなれました。

「何か違うな」というときは、気軽に医療機関に相談を

糖尿病はどんな病気ですか?

奥村剛清院長 奥村医院5

一番お伝えしたいのは、糖尿病は生活習慣病だということ。薬を飲んで血糖値が抑えられても治ったということにはなりません。風邪などの病気は患者さんの生活を変えなくても薬を飲んだり、時間がたったりすれば治りますが、糖尿病は違います。患者さん自身が生活習慣の改善に取り組むことが重要。糖尿病と診断された瞬間から治療者は医師ではなく、患者さん自身になるんです。糖尿病はそのままにしておくと、血管や目、心臓、腎臓など、さまざまな臓器に障害が連鎖します。合併症のような重大事故を引き起こさないよう、黄色信号のうちにしっかりとブレーキを踏んでほしいです。そうした理解を持ってもらえるよう、当院では月に1回、管理栄養士を派遣してもらって患者さんへの指導を行っています。さらに、糖尿病をはじめ医療への正しい知識を広く持ってもらえるよう、医師会でも地域への啓発活動に力を入れています。

ほかにも知ってもらいたい知識や情報はありますか?

まず、定期健診の尿検査で「要精査」と出たら、「このくらい平気だろう」と放置せず、必ず近くの医院で二次検診を受けてほしいです。簡単に行える検査ですが、尿タンパクなど非常に重要な所見がわかります。医師仲間にも普段から受診の際は検尿を行うよう啓発しています。また、糖尿病だと歯周病にかかる確率も高くなることから、2019年度から医科・歯科の医師会と薬剤師会で協力し、糖尿病患者さんに歯科受診を勧める活動も行っています。糖尿病以外では、大病の後や高血圧などの持病があってもスポーツを楽しみたい方に、事前の診察や定期的な通院を通して、内科の分野から充実したスポーツライフをサポートしていきたいと思っています。医師の中には僕を含め、スポーツをする方々の診療や、けがの治療など診る専門知識を持ったドクターがいますので「もう運動はできない」と諦めず、ぜひ一度ご相談いただきたいです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

奥村剛清院長 奥村医院6

誰しも「ちょっと体調が悪いけど、どの診療科に行ったらいいのかわからない」という時があると思います。また、不安のような精神疾患や婦人科疾患のお悩みがあっても、いきなり専門クリニックへ行くのはハードルが高いとちゅうちょする方も多いと思います。そんな時、まずは内科に来てもらって、「この症状だったらうちで治せますよ」「この症状はこの診療科に行ったらいいですよ」など、当院で治療にあたるだけでなく、患者さんの症状に合った適切な科へ案内することもしています。僕は松江市医師会の活動を通して、普段から市内の開業医の先生方と情報交換しており、症状や「女性医師がいい」などの患者さんの要望に沿った医院をご紹介できます。若い頃からかかりつけ医をつくっておくことで、より身近に相談しやすくなると思います。受診してみて病気じゃなかったらそれで安心できます。自分で判断しないで、気軽に医療機関を利用してください。

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