石橋 和人 院長の独自取材記事
白枝小児科
(出雲市/遙堪駅)
最終更新日:2025/11/26
山陰本線・出雲市駅から車で約10分、民家や田畑が並ぶ閑静なエリアに位置する「白枝内科クリニック」。先代の息子である石橋和人院長は、クリニックを継承後、小児科に転科。温かく親しみのある建物を引き継ぎながら「医療法人仁和会 白枝小児科」として再出発した。院内の装飾も含め親子で過ごしやすい空間をめざし、改装を実施。予防接種用と診察用の部屋を分けているのも特徴だ。キャラクターがデザインされたTシャツの上から白衣を羽織り、やわらかで親しみやすい笑顔を見せる。今回は日本小児科学会小児科専門医でもある石橋院長に、同院の診療の特徴などについて教えてもらった。
(取材日2024年10月22日)
小児救急現場での長年の経験を生かして
医師を志した理由は何ですか?

父はもともと会社員で途中から医師になったので、医者家系ではなく特に医学部も勧められたわけではありませんでした。僕がまだ島根にいた中高生の時、父はまだ研修医的立場だったと思いますが、県西部に単身赴任だったので医師としての父を見たこともありません。そのため医師をめざそうという気は特になかったのですが、父親が医者だと進路相談の時に先生からは医師になるものだと思われていて(笑)。絶対に嫌なわけでもなかったので医学部に進みました。そうした経緯もあり逆にフラットに見られていたのか、大学時代の実習の時は医療全体が高齢者に偏重している点がすごく気になりました。若い方の医療をもっと大切にしたいと思い、最も対象年齢の若い小児科を選びました。それまでは子どもと接する機会はほとんどなかったのですが、子どもたちのかわいい姿を目にしながら診療にあたる中で、小児科を選んで良かったなと感じています。
これまでのご経歴、そこで得た経験をお聞かせください。
卒業した神戸大学医学部の小児科に入局し、付属病院で研修医として働き始めました。その後、広島の呉共済病院や神戸の済生会兵庫県病院に派遣されたのですが、両方とも新生児と夜間救急の比重の大きい病院でした。もともと私が出た神戸大学は新生児医療に力を入れていて、小児科に入局した人全員が新生児を診られるようにとシステムを整えてくれていたので、赤ちゃんも幼児も学童も満遍なく診療させていただきました。その後は大学院で研究をしながら、月の半分以上を夜間救急や当直のアルバイトに行って自分の子どものミルク代を稼いでいました(笑)。大学院時代はちょうど同期・同級生もたくさん大学に戻ってきていたのでとても楽しく過ごせましたね。
大学院で研究されていたデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療開発とはどんなものでしょうか?

生まれつきの筋肉の病気で一番多いといわれていて、ほとんどが男の子に発症し、男児5000人に1人ほどの確率とされています。生まれてすぐ症状が出るわけではなく、成長過程で歩き始めが遅い、初めは歩けていたのにだんだん歩けなくなってしまうなどの症状が出るようになります。当時は治療法がまったくない病気で、治療法の開発に向けて、どんな遺伝子異常が多いのか? なぜ症状に差が出るのか?といった基礎研究などをしていました。卒後10年以上たってようやく治療薬が承認された時は、完全に研究からは遠ざかっていましたが、感慨深いものがありました。
地元の小児科医師減少にも貢献したい
小児救急や福祉施設でのご経験もされていらっしゃるんですね。

一番長く勤務した神戸こども初期急病センターは夜間・休日の一次救急施設で、二次・三次救急施設が軽症患者であふれてしまうことを防ぐために作られた施設です。多くのお子さんの受診があり、夜20時から朝7時までの診療に週2回程度入っていました。季節によっても異なりますが、一晩中たくさんの受診があってほぼ寝られませんでした。また淡路島の病院にいた時は、島に住んでる小児科専門医が僕だけであとは研修医の時期があり、ちょっとしたことでもほぼ毎日呼ばれていて忙しかったです。神戸での最後の職場は小児期発症の重症心身障害児を受け持つ医療福祉施設で、上記の急病センターの理事長からの依頼で働くことになりました。そこは子どもの頃から障害のある方が、大人になって入所されるような施設で、大人を診療したのは思えばそこが初めてです。
クリニック継承のご理由をお聞かせください。
友人医師の小児科クリニックを一時的に手伝ったことがあり、最終的には開業もいいかなと考えるきっかけになりました。結局そこから10年以上たってしまいましたが、ちょうど父が年齢的にリタイアを考える時期にクリニックを引き継ぐことにしました。周りからは兵庫県での開業を勧められましたが、病院勤務時代に島根大学や鳥取大学出身の研修医の先生と接する機会も多く、彼らから山陰地方の小児科不足を聞くことがよくあり、開業するなら地元でと考えていました。準備期間として、内科クリニックで時々来る小児の患者さんとワクチンの対応をしつつ、市の乳児健診・夜間休日診療・保育園の園医の仕事を手伝わせていただきましたが、やはり小児科が混んでいて困ると聞きましたので、戻ることにして良かったかなと思っています。
クリニックの特徴はどんなところですか?

小児のワクチンはかかりつけ小児科で接種するのが良いと考えていますが、ワクチン枠がいっぱいなどの理由でいろいろなクリニックでワクチン接種を受けている子が多いことに、健診等で親御さんと接していて気づきました。できるだけご家族の希望に合わせた時間でワクチン接種できるように、診療時間内は常に受け入れられるようにワクチン専用の診察室を設けました。また小児科を受診される子どもの病気は、治療するよりも、放っておいても自然に治っていくものがほとんどです。しかし、初めてのお子さんや一人っ子の親御さんにとっては、見ていてかわいそうなこともあり、ネット等で情報過多の部分もあり、不安に感じられることが多いと思います。予想される病気の経過を詳しく説明し、検査や治療が必要なタイミングをしっかりと伝えることで、ご家族の不安の解消に役立ちたいと考えています。
子どものメリットを大切に、親しみあるクリニックへ
こだわりや心がけている点をお聞かせください。

ワクチン部屋をつくったことで、風邪の方とワクチンを受けに来た方とで分けられるようにしています。接種時間は設けず、部屋を分けることで対応し、極力いつでも来てもらいやすいようにしました。どうしてもインフルエンザワクチンの時期などは、保育園帰りの時間にご希望が集中するので混みやすいですが、日中はおおむねスムーズに打って帰っていただけるかと思います。当院では専門的なことより、ワクチンや日常診療的なことの対応やご相談に応じ、難しい病気は県立病院や大学病院などでしっかり検査して診ていただけるように連携していくつもりです。ですので僕は頼りないかもしれませんが(笑)、変に抱え込んだりしませんので、安心して気軽にご相談いただけたらと思います。
お子さんへの接し方で工夫していることはありますか?
話し方や態度に気を配ることももちろん大事にしてはいますが、まずは第一印象が大切だと思うので、見た目からも子どもにこわいと思われないように気をつけています。白衣の下はあまりかっちりしすぎる格好では診療しないようにしていますね。これは大学の実習の際に小児科だけは、子どもが怖がらないようにするためと、引っ張られたりしないようにするため、ネクタイ禁止と言われていたので今でも守り続けています。なので、Tシャツで診察している歴はかなり長いと思います(笑)。大人の先生に注意されることもありましたが……。
読者にメッセージをお願いします。

最近は検査方法が増えて、不要な検査を頻回にされる子どもも多いと感じています。子どもの病気はほぼ自然と徐々に治っていきます。検査や治療もストレスになることがあるので、子どものメリットを最大限に考えたいと思っています。その分ご家族には丁寧に説明し、不安の解消につながればと考えています。バランスが難しいですが、あまり神経質になりすぎないでと伝えたいです。また、生まれつきの病気をお持ちのお子さんの場合、必ずしも治療できるものばかりではないので、上手に付き合って毎日を過ごしていただくためのサポートができればと思っています。ありがたいことに「対応が丁寧」とお声をいただいてうれしく思っていますが、まだゆとりがあるのでそのおかげですかね(笑)。他のクリニックが混んでいたからなどの理由でも構いません。少しでも気になることがあれば、気軽に相談しに来てください。

