若林 規良 院長の独自取材記事
堀江内科呼吸器科医院
(出雲市/電鉄出雲市駅)
最終更新日:2023/06/05

北松江線電鉄出雲市駅から徒歩15分に位置する「堀江内科呼吸器科医院」は、内科・呼吸器内科・アレルギー科を標榜するクリニックだ。およそ130年の歴史を誇る同院は、現院長である若林規良先生が5代目となる。若林院長は大学進学とともに島根に移り住み、大学病院や総合病院でさまざまな経験を積んできたほか、研究にも従事。もともとの専門は神経内科であったが、「先代の呼吸器内科・アレルギー科診療をしっかり引き継ぎたい」と考え、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、日本老年医学会老年病専門医などの資格を取得。今回は若林院長にこれまでの経緯や診療で大切にしていることなどについて語ってもらった。
(取材日2023年4月17日)
130年続いてきた医院の歴史を守るために
先生はさまざまな診療科を経験してきたと伺いました。

はい。私はもともと脳科学などに興味があり、大学卒業後は神経内科を専門として診療や研究を行っていました。脳梗塞に関する研究で博士号を取ったのですが、良い研究ができて個人的に満足しています。また当時の制度で麻酔科と救急科、ICUも経験させていただき、中でも救急科、ICUの経験は非常に刺激的でしたね。忙しい毎日でしたが、優秀な先生方に教わったことで「こういう医師になりたい」というビジョンも明確になりましたし、とにかくいろいろな方が運ばれてくるので「ここで仕事ができれば何でもできる」という自信にもつながりました。その後、このクリニックを継ぐということになり、呼吸器内科やアレルギー科の診療について学び始めました。先代の院長がこの地域のアレルギー診療を支えてきた先生だったので、その想いを引き継いでいくために必死で学んできましたね。
こちらのクリニックを継ぐことになったきっかけは何でしょうか。
実は、当院は私の妻の実家なんです。この出雲の地で130年ほど続く歴史のあるクリニックで、もともとは地域のかかりつけ医としてさまざまな病気を診ていたそうです。特に先代はこの地域には少なかった呼吸器内科やアレルギー科を専門とし、多くの患者さんから頼りにされていたと思います。先代は時代性も鑑み「無理に誰かが継ぐ必要はない」と思っていたようです。しかし私は先代の診療の素晴らしさや患者さんの様子を見ていて、「このまま閉院させるわけにはいかない」と感じていましたし、もともと大学に残って研究を続けるよりは、患者さんと近い距離で臨床をやっていたいと思っていたので、自分が5代目院長として継ぐことを決心しました。先代が積み重ねてきたものをしっかり継承するために、自分も専門家であらねばならないと思っているので、今でも日々が勉強ですね。
ご自身が院長になられたときに改装をなさったのですね。

はい。建物は先代が建てたものですが、2013年に私が院長になった際に改装して今の姿になりました。改装にあたってめざしたものは、「暗い気持ちで来院した患者さんが元気になって帰ってくれるような空間」です。病院の冷たい雰囲気を取り払うため、床や壁を温かみのある色にしたり、仕切りをすりガラスにすることで光が通るようにしています。入り口には130年前からある欄間(らんま)を飾り、待合には畳や和紙なども利用するなど、どこか懐かしさも感じるような居心地のいい空間を大切にしています。また動線などは私が徹底的に考え抜きました。結核など感染性のある病気で受診する方もいますので、隔離スペースをつくっているほか、以前から全部屋に空気清浄機を配備しています。
患者の幅広い困り事に対応できるように
あらためてクリニックの特徴について教えてください。

当院の特徴は、私のこれまでの経験を生かし、できるだけ多くの困り事に対応できるようにしていることです。神経内科が専門でしたので、痺れやめまいなどを診ることもありますし、内科専門の医師として生活習慣病も診療します。長く通ってくださる患者さんほど、さまざまな症状を相談してくださいますので、期待に応えたいですね。もちろん「なんでも屋さん」ではありませんので、必要に応じて他の医療機関へ紹介することはありますが、気になることがあればまず相談していただけるとうれしいです。
先生が診療の上で大切にしていることは何でしょうか。
シンプルなことですが、患者さんをしっかり診ることです。電子カルテの普及に伴って、医師はどうしてもモニターの画面を見がちになってしまいました。カルテに記録を残すことはもちろん大切なのですが、私はまずじっくり患者さんと向き合いたいんです。限られた診療時間の中でできるだけ患者さんの目を見て、話を聞いて、様子を見て、雰囲気を感じ取れるように努めています。例えば患者さん本人が「変わりないです」とおっしゃった場合でも、気になることがあればこちらから踏み込んで質問していきます。かかりつけ医として、すべてを任せていただいている自負を持って診療に臨みたいですね。
患者層やクリニックの雰囲気についても教えてください。

先代から引き継いだ時は患者さんの年齢層が高かったのですが、今はお子さんの受診も増えたのでより年齢の幅が広がったように感じます。生まれたての0歳児がいらっしゃることもあれば、100歳近い高齢の患者さんがいらっしゃることもあります。このようにさまざまな患者さんが受診されるので、一人ひとりに合った治療を選ぶことは常に念頭に置いています。例えば、吸入器一つとってもさまざまな種類を持っていて、患者さんの呼吸機能やライフスタイルに合わせて選べるようにしています。自分の診療は自分にしかできない、替えが利かないという責任感を持って患者さんに向き合っています。
自分にしかできない診療を届けたい
先生が医師を志したきっかけは何だったのでしょうか。

一言でいうと周囲の環境が大きかったですね。私の出身地は和歌山県で特に医師家系などではないのですが、遠い親戚に製薬会社を営んでいた方がいると聞いています。また中高一貫の私立学校に通っていたので、周りに医学部合格をめざして頑張っている友人が多く、自然と「医師になりたい」と思うようになっていきました。実際医師になってからは、学ぶことのすべてが興味深く、やりがいを感じる瞬間が多いので、今は「なって良かったな」と思っています。
今後の展望についてお聞かせください。
やっていくことはこれまでと変わりません。幅広い診療を提供していきながらも、呼吸器内科・アレルギー科の専門診療をしっかりやっていきたいですね。ありがたいことに「堀江内科といえば、呼吸器疾患とアレルギー疾患」と思っていただけることも多いので、これからもなかなか治まらない咳やアレルギーなどに悩まされている方の助けになっていきたいと思っています。医療は日々進歩していますので、常に新しい情報を取り入れ、必要に応じて導入するなど、勉強が欠かせません。これからも患者さんの診療に役立つ情報を多く取り入れていくために、アンテナを高くして研鑽を積んでいきたいと思います。
最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

気になる症状があって「どの診療科に行けば良いかわからない」というときは、気軽に当クリニックにご相談ください。できる限りのことをしたいと考えています。また、なかなか治まらない咳など咳の症状に困ったときは、お力になれると思いますのでぜひ相談してほしいですね。患者さんの中には、原因のわからない咳に悩まされていたり、咳を無理やり抑えるために薬を飲んでいたりする方もいます。しかし咳は案外複雑な症状で、さまざまな病気の症状として現れている可能性があります。当院では必要な検査を行い、咳の原因を突き止めてから治療をすることを大切にしています。長引く咳にお悩みの際は、ぜひ当クリニックにご相談ください。