和田 幸弘 理事長の独自取材記事
姫野クリニック
(出雲市/出雲市駅)
最終更新日:2023/06/05

出雲市駅から徒歩5分に位置する「姫野クリニック」では、泌尿器科の外来と透析治療を専門としている。同院の理事長である和田幸弘先生は、先代の姫野安敏名誉院長が1998年に開業したクリニックを2021年に継承。透析治療は50床もの病床を有し、泌尿器科ではエコーや内視鏡、腫瘍の生検対応など、検査設備を整えている。駅から近い立地だが、敷地内には広い駐車場もあり、電車・車ともに通院がしやすいほか、透析患者は提携タクシーによる有料の送迎サービスも利用できる。患者の話をきちんと聞くことをポリシーとしている和田理事長は、その人の希望に寄り添った治療の提案を心がける。「透析治療や泌尿器科は繊細な部分を扱う科目だが、気になることがあったら気軽に相談してほしい」と語る和田理事長に、診療にかける思いを聞いた。
(取材日2023年4月4日)
透析治療と泌尿器科で、患者の生活の質の向上をめざす
クリニックの特徴を教えてください。

泌尿器科の外来診療と人工透析を専門に行っているクリニックです。もともとは透析治療を主体に、名誉院長である姫野安敏先生が1998年に開業しました。現在は私と副院長の洲村正裕先生が常勤で、姫野先生が非常勤というかたちで診療を行っています。当院の医師は3人とも島根大学の泌尿器科出身です。島根県では、昔から泌尿器科で腎臓や透析治療の領域も対応していた背景があるため、当院では泌尿器科外来も、透析治療もどちらも同じくらい力を入れています。泌尿器科では、主に、頻尿や尿が出にくい、尿漏れなどの排尿症状を有する方が受診されています。「おしっこに関することを診る外来」というとわかりやすいでしょうね。
泌尿器科ではどのような症状の患者さんを多く診察されていますか?
高齢の方の排尿障害や、若い方の膀胱炎といった尿路感染など、泌尿器に関すること全般を診ます。一番多い例としては、健康診断で尿潜血やタンパク尿と言われた方ですね。また、性感染症についてや、男性の患者さんではED(勃起不全)や更年期障害などのご相談も増えています。女性の方も、年齢が上がると尿トラブルに悩まれる方も増えますので、性別を問わず来院されていますね。泌尿器科は繊細な悩みを扱うため、大きな病院に通うのはハードルが高いと感じられる方も多いと思います。当院では外から見えないように入り口もスモークフィルムを貼り、待合室などを見えないようにしていますので、安心してご来院いただけますと幸いです。
検査設備も整っているそうですね。

大学勤務時代には悪性腫瘍の診療や研究に深く関わっていたこともあり、当院でもがんの発見から手術や治療のフォローにも対応できるよう、内視鏡やエコーでの検査も行っています。男性の場合、前立腺がんの可能性もあるため、見落とさないようにしています。また、検査や診療の中で、高血圧や生活習慣病、婦人科領域の腫瘍などの病気が見つかることもあるので、泌尿器科の疾患だけでなく、総合的に診るように心がけていますね。何か気になる症状があった際には、地域のクリニックや大学病院と連携できる関係性を構築しています。
患者一人ひとりに合った治療を提案
「人工透析」というと、一般の方にはなじみの薄い治療ですよね。

透析治療とは、機能が落ちてしまった腎臓の代わりをする治療方法の一つで、医学的には「腎代替療法」といいます。健康な時の腎臓の機能を100として、5くらいまで機能が下がると、生命を維持するために人工透析をする必要が出てきます。一般的な血液透析の場合、週3回、1回4時間程度の時間をかけて治療を行います。知っていただきたいのは、時間的な拘束はありますが決して「特別な治療」ではないこと。透析治療という医療の進歩のおかげで、臓器移植をしなくても日常生活を送れることが望めるようになったのです。
透析治療を行う上で大切にされていることはありますか?
透析を受ける患者さんとは長いお付き合いになるので、信頼関係を築けるよう心がけています。例えば、月・水・金曜と、火・木・土曜に通われる方の2ターンに分けることで、それぞれの曜日を同じ担当医が治療にあたることができるよう工夫していますね。また、患者さんに合った治療が提案できるように、在宅での血液透析も対応しています。通院だと週3回しか治療を提供できないのですが、ご自宅だと毎日の治療も可能で透析量を増やせます。さらに、寝ている間に針が抜けないよう注意する必要はありますが、夜間の睡眠中に透析ができるので日中を全部自分の時間にできるというメリットがありますね。
人工透析はどんな方に多く行っていますか?

以前は、若くして糸球体腎炎などで腎機能を失った方に透析治療を行うケースが多かったです。しかし、現在では、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が原因の動脈硬化により、腎臓の機能が落ちて治療が必要となるケースが増えています。治療の開始年齢も70・80代へ上がってきており、そうした変化によって治療の内容も提案する幅が広くなっていると感じます。若い方が人工透析をする場合は、その先の長い人生を見据えて、食生活も厳密に管理し「水分や塩分も取りすぎないように」と指導していました。けれど、ご高齢になってから透析治療を始めた方には、その方らしく生きるための「手助け」として、透析治療をご提案することが大切になります。透析治療の患者さんとは付き合う時間が圧倒的に長いので、家族のような感覚になってきますね。
高齢になってから人工透析で通う患者さんに対し、気をつけていることはありますか?
80代後半の方や90代の方で透析治療で通院する患者さんもいらっしゃいます。そうした患者さんの中には、ご自分の意思で「透析治療を終了したい」、「透析治療は受けたくない」といった選択をされる方もいらっしゃるかと思います。そうした人生の選択を尊重するためにも、最近は事前に「人生ノート」を書いていただき、これまでの人生でどんなことがあったかなどを書いていただくといった取り組みを行っています。その延長上で今後、何かあった際、どんな治療を望むかを書いていただきます。やはり患者さんそれぞれご希望が異なります。終末期や在宅医療には地域の病院との連携も不可欠となりますので、近隣の病院とは協力し困ったときはお互いに助け合っています。
患者に寄り添い、次の世代の医師にバトンを渡したい
診察をする上で心がけていることを教えてください。

患者さんはつらい思いをされている方が少なくありません。ですので、患者さんの気持ちが落ち着き、安心していただける場所になるよう努めています。診察の前にスタッフが待合室で患者さんへ問診をするほか、医師もその情報を事前に確認した上で、診療の中で丁寧にお話を聞くようにしています。お一人お一人にしっかり向き合うことを大切にしているので、30分に最大でも4~5人までの予約制にすることで、きちんと患者さんと向き合えるようにしています。また、女性の患者さんは、超音波検査を行う場合、必ず女性の看護師が付き添います。患者さん一人ひとりに向き合う余裕を持てるように、常勤の看護師は20人以上と、無理のない勤務体制をとっています。
今後の展望を教えてください。
私は先代の姫野先生から2021年に引き継ぎ、院長に就任しました。そこには、姫野先生の「泌尿器科の先生に継いでもらい、このクリニックを長く続けてほしい」という思いがありました。今私は55歳です。あと10年ほどは責任を持って診療を続けようと思っていますが、年齢を重ねるにつれ、私自身も技術力や決断力が衰えてくるでしょう。その時には、次世代の意欲的な医師にバトンタッチしようと思っています。姫野先生の意思を継ぎ、当院を泌尿器科と透析治療の専門クリニックとして長く発展させていきたいと考えています。
読者へのメッセージをお願いします。

泌尿器科や透析治療というと、繊細な分野を扱うこともあり、通いにくいイメージがあるかもしれません。でも、実際はごく普通のクリニックと変わりません。スタッフも、患者さんに寄り添い、しっかりお話を聞くようにしています。最近はオンライン診療を始めました。例えば「通院するのはハードルが高い」と感じられる方の多い、勃起不全の治療は初診からオンライン診療が可能です。泌尿器科の排尿障害の場合は、検尿が必要なため、初診は来院していただく必要がありますが、あとはオンライン診療で対応できます。もし何か気になることがあれば、気軽に来院していただきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはED(勃起不全)/診察料 + 薬剤代 800円~
※診察料は初診料2970円、再診料830円となります。
※オンライン診療の場合、
診察料(初診料2600円、再診料830円)と別に、
薬配送料が必要になります。