病気の性質や患者の状況に応じて選択
白内障・硝子体の日帰り手術
石崎眼科医院
(奈良市/近鉄奈良駅)
最終更新日:2023/06/08


- 保険診療
年齢を重ねると発症の可能性が高まる白内障。目の中の水晶体が白く濁ることで視力が低下したり、目のかすみやまぶしさが生じたりして見えづらくなる病気だ。白内障だけでなく、視界にゆがみが生じる黄斑上膜などの病気も見えづらさにつながる。白内障や黄斑上膜による見えづらさの感じ方には個人差があり、生活スタイルによって不便を感じる度合いも異なる。加えて、目の病気には緊急性の高いものとそうでないものがあるため、病気の性質や患者の状況に合わせて治療を選択する必要がある。「石崎眼科医院」では白内障を中心とした多様な目の病気について日帰り手術が可能で、専門性の高い手術にも対応する。今回は、同院の石崎英介院長に白内障、硝子体の日帰り手術の適応となるケースや手術の流れ、日帰り手術のメリットなどを解説してもらった。
(取材日2023年3月29日)
目次
手術機器や技術の進歩により白内障・硝子体の日帰り手術の患者負担が低減。見えづらさがあればまずは受診を
- Q白内障とはどのような病気ですか。
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A
▲新しくなった手術室
白内障は、目の中のレンズの役割を果たす水晶体が白く濁る病気です。視力が低下するほか、物がかすんで見えたり、光をまぶしく感じたりします。最も多い原因は加齢ですが、外傷や、糖尿病など全身疾患の合併症のほか、先天的に水晶体が白濁していることもあります。有用な治療方法は手術のみですが、どこまで進行したら手術をすべきであるといった決まりはなく、患者さんがご自身の生活に支障が出ているかどうかによって判断することになります。病気の進行度が同程度でも見えづらさには個人差があり、また、生活スタイルによって不便を感じる度合いも異なります。高齢になっても軽度のままで、見えづらさをほとんど感じない方もいます。
- Q白内障手術はどのような手術ですか。
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A
▲先進の手術設備を取りそろえている
白濁した水晶体を取り除き、人工水晶体(眼内レンズ)を挿入します。従前は、症状が進み、水晶体が硬くなってしまったケースでは大きく切開して取り出す必要がありましたが、手術機器の進歩により、小さな傷口から超音波で硝子体を砕き、吸引して除去できるようになりました。術後の炎症が抑えられ、早期安定につながっています。基本的に日帰り手術が可能ですが、全身管理に問題がある場合、手術当日にご家族などの付き添いが難しい場合などには入院をお勧めします。緊急を要する手術ではないため、日程は仕事などの都合に合わせて調整できます。近年は白内障の認知度が高まっており、症状が進んでから受診される患者さんは減少傾向にあります。
- Q手術の必要性はどのように判断するのでしょうか。
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A
▲検査・診断をしっかり行い適切な治療に進む
症状がそれほど重くなければ、医師から手術を強く勧めることはありません。白内障はどの段階で手術しても期待できる効果が同じなため、基本的に手術のタイミングは患者さんの意思に委ねられます。慌てる必要はありませんが、見えづらいのを我慢する必要もないと言えます。ただし、日常的に車を運転される方で、検査の結果、運転に支障を来すと判断される場合には、ご本人が見えづらさを感じていなくても、安全を考慮して手術をお勧めすることもあります。なお、認知症を患い、患者さん自身が見えづらさを認識できなくなると手遅れになる可能性もあります。また、認知機能が著しく低下すると、手術を安全に行うことは難しくなるでしょう。
- Q白内障手術の流れについて教えてください。
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A
▲院長は硝子体手術についても豊富な経験をもつ
視力検査などにより病気の進行度を総合的に診断し、手術の必要性を判断します。手術をすることになったら、術前検査としてエックス線検査、心電図検査、血液検査などを行い、健康状態を確認します。手術の3日前から抗菌剤の点眼を開始。手術当日は血圧測定や体調確認の後、1時間前から点眼による麻酔を開始します。手術では、黒目の上を数mm切って器具を挿入、周囲の薄い皮を残した状態で水晶体を除去し、眼内レンズを挿入して固定します。手術中は強い光を当てるため、患者さんから手術器具などが見えることはありません。痛みもほとんど感じないでしょう。手術は10~15分程度で終了します。
- Q硝子体手術はどのような病気を治療するものなのでしょうか。
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A
▲手術前の詳細な説明、相談ができるのも特徴
硝子体は目の奥にある透明なゼリー状組織です。硝子体手術の対象となるのは硝子体出血、黄斑上膜、裂孔原性網膜剥離などで、当院で最も多いのは黄斑上膜です。網膜の黄斑部の上に膜が張り、視力低下や視界のゆがみが起こる病気で、この膜を除去する手術を行います。白内障の検査で見つかり、同日に手術する場合もあれば、白内障手術だけで見え方の改善が期待できるなら黄斑上膜の手術はしない場合も。また、過去の白内障手術で入れた眼内レンズが外れた場合には、古いレンズを取りのぞき、新たなレンズを固定する手術を行います。そのほかの硝子体手術の多くは術後安静が必要で、ご自宅での安静が難しい場合は入院での手術をお勧めしています。