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河原 邦彦 院長の独自取材記事

河原医院

(奈良市/学研奈良登美ヶ丘駅)

最終更新日:2024/04/10

河原邦彦院長 河原医院 main

学研奈良登美ヶ丘駅から歩いて10分。小高い住宅地の一画にある「河原医院」は、1971年から半世紀以上親子2代にわたって続く整形外科クリニックだ。2代目の院長を務めるのは、手術や救急医療現場での豊富な経験を有する河原邦彦先生。「よく人から変わり者と言われます」とのことだが、気難しさを感じないユニークな人柄が魅力的だ。医療における当たり前を貫こうとする姿勢の中に、並々ならぬ信念やこだわり、妥協を許さない矜持が垣間見える。本来あるべき医師の姿とは何なのか、患者に対して何を提供しようとしているのか、その真意をひもときながら、河原院長のめざす医療にじっくりと迫ってみた。

(取材日2024年2月26日)

一般診療から物理療法、外傷治療や手術まで幅広く対応

こちらは随分前から診療を行っているそうですね。

河原邦彦院長 河原医院1

父が当院を開院したのは、今から50年以上も前のことです。当初は3kmほど南の学園北エリアにあり、40年ほど前にこの場所へ移転しました。私は病院勤務の傍らに父を手伝うようになり、その時に院内外の改装に踏みきりました。まずはスリッパに履き替えていた玄関にスロープを設け、トイレは車いすで転回できる広いスペースに拡張してバリアフリー化。待合には腰の悪い患者さんが楽に利用できる座面の高いソファーを追加し、広めのキッズスペースも用意しました。診察スペースは、診察室や検査室が診療ベッドを取り囲むオープン型です。患者さんが痛みをこらえて姿勢を動かさなくても、私がベッドの周囲をぐるっと回れば全身を診療できるからです。

院長を継がれたのが2011年とお聞きしました。

私は大阪医科大学を卒業して同大学の整形外科教室に入局し、約15年間にわたっていくつかの関連病院に勤務しました。私がここへ戻って院長を継承した後も父は理事長として診療を行っていましたが、数年して耳が遠くなり現役を引退。昨年末、病気により急逝しました。私が最後に勤めたのは北葛城郡の奈良友紘会病院で、退職して10年以上がたった今も週に1、2回は出向して手術を行っています。せっかく身につけた技術をさびつかせたくないという気持ちと、自分が手術を行った患者さんのアフターフォローを人任せにはできないという2つの理由からです。当院で日帰り手術を行う機会は減少気味ですが、いつでも行えるようスタンバイしています。

診療内容や設備など、クリニックの特徴を教えてください。

河原邦彦院長 河原医院2

私は主に運動器を専門としていて、得意分野には椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの脊椎領域が挙げられます。また、変形性関節症や関節リウマチといった関節領域や、腫瘍、外傷、小児整形外科などにも対応しています。外傷に関しては救急医療の現場で働いていた経験もあり、骨盤骨折手術や四肢の再接着などの症例の知識もあります。院内設備としては先進の骨密度測定器をはじめ、エックス線の透視機械や画像処理装置、骨塩定量測定装置やエコー検査装置などもそろえています。こうした投資は当院の規模からすると少し不釣り合いなのですが、予算がないから検査ができないのでは、自分の理想とする医療は提供できません。父が残してくれた医院のおかげで家賃は発生しませんから、固定費が浮いた分を患者さんのためになる使い道に回そうというのが私の考えです。

自分自身のめざす医療提供を軸に診療する

こちらは院内処方で薬を提供していますね。

河原邦彦院長 河原医院3

院外処方は患者さんの負担額が大きい上に、わざわざ調剤薬局まで出向いて薬を受け取らなければならないといったデメリットもあります。患者さんのことを考えたときに、院内処方のほうがメリットは多いと考えました。また、鎮痛剤は大量に処方せず、基本的には減薬を進める方針です。薬はできるだけ少ないに越したことはないと考えます。必要以上の薬品を患者さんの体内に入れるべきではないと思うのです。人間の体には治癒能力が備わっていますから、それを邪魔してはいけないのではないでしょうか。

診療では、どのようなことに注意を払っていますか?

当院は駐車場が狭いため、なるべく早く診療しないと車があふれて近所迷惑になってしまいます。それでも患者さんに詳細な説明をし始めると診療時間が延びることもあります。そのため、説明の言葉を何度も繰り返すよりも、一度でしっかりとお伝えしたいと思いますね。それでも予約を受けつけていないのは、やはり整形外科ですから、痛みがある際はすぐに医療機関を受診してもらいたいという考えからです。ただし、診療時間終了の30分前までにはお越しいただけるとありがたいですね。ちなみに、もしクリニックを不在にしていても、転送機能で私の携帯電話へ電話がつながる仕組みになっています。ですからプライベートの時間なんてありません。家族には申し訳ないと思いますが、これは救急医療に携わってきた私の責務と心得ています。

そのような診療体制だと大変ではないですか?

河原邦彦院長 河原医院4

かつて祖母から「医者はもうけてはいけない」と言われていたことが、今も頭に残っています。私はなんでも徹底的に調べるタイプですから、どうすれば効率が上がるか、利益率が上がるかというポイントは十分に理解しているつもりです。しかしそれは医療において、やってもいいけれど「本当はいけないこと」だと思います。集患や数字に自分を見失うことなく、自分のめざす医療提供を軸に診療しています。医療機関に患者さんの姿が見えなければ、世間が健康である証拠とも考えられます。ラーメン屋さんではありませんから、行列がすなわち良い医療機関の証拠ではありません。初診が多く、再診は少ない。それが理想の医療機関だと考え、日々診療にあたっています。

患者のために無駄のない医療、うそのない診療を

先生が整形外科の医師になったきっかけは?

河原邦彦院長 河原医院5

私は鳥取生まれですが、父は栃木、母は鳥取の出身です。私がめざしたのは婦人科で、父と同じ整形外科へ進む気持ちはさらさらありませんでした。ところがずっと「医院を継いでほしい」と父にささやき続けられて、仕方ないなと整形外科に入局することになりました。最初は1年で辞めてやろうと考えていましたが、変わり者の私にも親身に教えてくれる恩師との出会いがあり、それが整形外科で働き続ける決心となりました。そうやって出向した病院で患者さんが亡くなるのを目の当たりにし、整形外科の無力さに改めて気づかされました。命に関わる基本的なことを自分は何もわかっていない。そう考えて自分から手を挙げ、3年間勤めたのが大阪府三島救命救急センターでした。

救急医療で、どのようなことを学ばれましたか?

その3年間の勤務経験のおかげで、私は日本整形外科学会整形外科専門医であるとともに、日本救急医学会救急科専門医となりました。専門性や資格を「権利」と捉える人もいますが、私は「責任」と考えています。救急科専門医であるからには、当然ながら有事において、その専門性を発揮し義務を果たさねばなりません。新型コロナウイルス感染症が一気に拡大して右も左もわからない時期から、私は医師会の発熱患者のための外来や自宅待機患者の容態確認に積極的に駆けつけました。自分の医院ではワクチン接種を実施しました。スタッフにリスクは負わせられませんから、私一人で屋外に出て行いました。緊急時に対応してこその救急科専門医です。医師の専門性というのは、そうした責任と義務をずっと背負っていくことだと私は考えます。

最後に、読者へ向けたメッセージをお願いします。

河原邦彦院長 河原医院6

私のモットーは「無駄な医療は提供しない」ということ。医療自体はもちろん必要ですが、不必要な診療を行うことはしてはいけないと考えています。また「うそのない診療」を行う姿勢も大切にしています。真実の解釈は時代ごとに異なるにせよ、少なくとも現時点で疑問符がつくような、くすんだ医療は提供したくありません。建前と思われるかもしれませんが、それは私の偽らざる本心です。医療の対象はあくまで患者さん。ただ患者さんのために信念を持って診療にあたっていることを、皆さんに信じていただければ幸いです。

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