南川 将吾 院長の独自取材記事
くろだ小児科
(加古郡播磨町/播磨町駅)
最終更新日:2025/10/20

30年以上にわたり地域医療を支えてきた「くろだ小児科」。そのクリニックを継承したのが、日本小児科学会小児科専門医でもある南川将吾院長だ。「小児科は何でも診る場所でありたい」と小児救急や腎臓病、アレルギーなど幅広い分野で研鑽を積んできた経験を生かし、感染症やアレルギー、発達や不登校の悩みまで多様な相談に対応。小児専門の看護師や管理栄養士、心理士とともに、食事指導や心のケアも含めた総合的な支援を行う。「今後は大人も子ども一緒に診療できるようにして、誰もが通いやすく相談しやすいファミリークリニックとして、地域に根差した診療を提供していきたい」と話す南川院長に、診療内容や特徴、診療で大切にしていることなど、たっぷり話を聞いた。
(取材日2025年9月3日)
まずは「何でも診る、広く受け入れる」場所をめざす
クリニックをご継承されたそうですね。どんなクリニックにしていきたいですか?

もともと「どんな子どもでも断らない」という姿勢で長年地域に根差してこられた黒田先生の診療スタンスに、とても共感しました。私自身も小児科は「何でも診る、受け入れる」場所でありたいと思ってきましたので、その思いが重なり、この度「くろだ小児科」を継承させていただきました。今後は名称を新しくし、時代背景も考慮して、ご家族皆さんで気軽に通っていただけるファミリークリニックとして発展させていきたいと考えています。小さなお子さんからご高齢の方まで、地域の方がどなたでも気兼ねなく頼れる存在になれるよう、一人ひとりに寄り添った、温かい診療を続けていきたいと思っています。
医師になろうと思ったきっかけや、これまでのご経歴について教えてください。
漠然と「人の役に立ちたい」という思いは子どもの頃からあって、高校生の頃に医師になりたいと考えるようになりました。その中で小児科を選んだのは、もともと子どもが好きだったことと、子どもが元気に回復していく姿や、一人で全身を診ていけるやりがいに惹かれたからです。卒業後は京都第一赤十字病院で臨床研修し、その後は子どもの救急医療に力を入れる北九州の病院へ志願して行きました。小児科は何でも診られることが大切ですから、腎臓病を専門に博士号を取得しつつ、救急やアレルギー、総合診療など幅広い分野で研鑽を積んできました。ですが、大きな病院では制限も多く、地域で子どもを最後まで支えたいという思いから、開業を考えるようになったんです。
こちらでは、どのような病気を診ていただけるのですか?

これまで北九州市立八幡病院の小児救急や、神戸大学病院医学部附属病院、兵庫県立こども病院の総合診療科で勤務し、腎臓病やアレルギー、感染症、さらには神経発達症いわゆる発達障害や、医療的ケアが必要なお子さんまで、幅広く診てまいりました。当院でも、その経験を生かし、発熱などの感染症やアレルギー全般はもちろん、夜尿症や便秘、栄養相談といった日常的なお悩み、また頭痛や腹痛など長く続く症状についても対応しています。もちろん、ワクチンや定期健診にも対応していますし、院内には小児看護を専門とする看護師や管理栄養士、心理士もいて、多職種チームでお子さんの成長をサポートしています。離乳食の始め方や不登校相談なども行っていますので、どのような悩みも気軽にお話しください。
さまざまなアレルギーを診療できるクリニック
クリニックで大事にしていることは、何ですか?

一番大切にしているのは、「診療時間内であれば、基本的にどんな小児科診療もお断りしない」ということです。お子さんは体調が急変することも多いですし、日常の困り事も本当にさまざまです。あらゆることを気軽にいつでも相談できる環境を整えることが、子育て支援の一つとして地域で必要なことだと考えています。今後は土日など休日の診療も少しずつ始めていく予定です。「急に具合が悪くなっても、どこかのクリニックは開いている」と安心できる診療体制を地域の先生方とも連携しながらつくって、子どもたちとご家族を支えていけるクリニックでありたいと思っています。
院内は広々として、明るい雰囲気ですね。
クリニックには、以前から勤務しているスタッフが多く残っており、雰囲気も以前と大きく変わらず、ここの地域らしい穏やかで家族的な空気があります。スタッフ同士や保護者との距離も近く、顔なじみだからこその安心感があるようです。ベテランのスタッフも多く、お子さんの対応に慣れているので、初めての方も安心して通っていただけると思いますし、私自身も子育て中のパパですので何でも聞いてほしいですね。院内には感染症対策として隔離室が3室あり、カウンセリングルームやキッズスペースも整っています。ベビーカーでそのまま院内に入っても、気兼ねしないくらい広いので、安心してお越しいただけます。
クリニックの強みは何ですか?

当院の強みは、先にお伝えしたとおり、幅広く診療していることです。その中でも特に力を入れているのがアレルギー。鼻炎や花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーとアレルギー全般について診ています。アレルギーのある人はさまざまなアレルギーを複数発症していることも多いですが、花粉症は耳鼻咽喉科、アトピー性皮膚炎は皮膚科、喘息は呼吸器内科……と、診療科をはしごしているケースも多いです。ですが、当院ならまとめて診られますので、忙しいお父さんお母さんの助けになると思っています。食物アレルギーについては、クリニックではあまり行っていない食物経口負荷試験も取り入れていて、管理栄養士と一緒に食事の進め方をお伝えしています。アトピー性皮膚炎も、お薬を「いつ、どのくらい、どうやって塗るか」まで丁寧に説明しています。一歩踏み込んだサポートを心がけていますので、何でも遠慮なく聞いていただきたいですね。
受診しやすい、患者との心の距離が近いクリニックに
診療時に、意識していることはありますか?

患者さん一人ひとりとしっかり向き合うことを大切にしています。まずは目線を合わせて、じっくりお話を聞くことから始めます。問診票だけで終わらせずに、「今どんなことに困っているのか」を改めて聞き直すようにしています。小さいお子さんには、ゆっくり優しく声をかけながら、頑張ったことをたくさん褒めるようにしています。クリニックへの通院が嫌な記憶だけにならないよう、少しでも安心して帰ってもらうことを心がけています。一方で親御さんには、わかりやすく説明することを大事にしています。「これぐらいで良くなっていきますよ」と見通しを伝えたり、「もしうまくいかなかったらすぐ来てくださいね」と次の行動を示したりして、ご自宅でも安心してお子さんを見守れるように工夫しています。
注力していることは何ですか?
最近はご両親とも働いていてお忙しい方が多いので、クリニックのテーマとして「アクセスの良さ」にこだわっています。例えば、駐車場を広く整えて、車でも安心して来院いただける「交通アクセスの良さ」はもちろんですが、ウェブ予約やワクチンの自動スケジュール管理システムのように、「クリニックと患者さんの距離が近い」という意味でのアクセスの良さも大事にしています。小児科を中心としていますが、年齢で区切っていませんので、親子で一緒に診られることも大きなメリットです。ほかにも、お子さんが少しでも安心できるように、検査時の痛みが少ないPCR検査を導入したり、注射が苦手なお子さんには麻酔テープを使ったりと、スムーズな診療につながる取り組みも進めています。もちろん、急な症状の際には電話での相談や迅速に診られる体制も整えています。そういった工夫で、物理的な距離だけでなく、心理的な距離も近くしていければうれしいですね。
地域の方へメッセージをお願いします。

地域のお子さんやご家族の皆さんにとって、「何でも相談できる場所」でありたいと考えています。体のこと、アレルギーのこと、学校や生活の中での困り事など、ちょっとしたことでも気軽にお話しいただければうれしいです。先代院長から引き継いだ「これまでの30年の歩み」を大切にしながらも、私自身は一つ一つを少しずつ良くしていくことに努めます。できるだけ痛みの少ない検査や治療を心がけ、待ち時間短縮のためのシステムを導入するなど、日々の診療を少しずつ進化させ、地域の皆さんのお役に立ちたいと思っています。これからも温かく安心できるクリニックとして、長くお付き合いいただけるよう努力してまいります。どうぞご家族皆さんで気軽に頼っていただければ幸いです。