佐竹 真 院長の独自取材記事
晃成会クリニック
(宝塚市/小林駅)
最終更新日:2025/04/15

「医療法人社団晃成会クリニック」は、地域密着型のクリニックだ。日本消化器外科学会消化器外科専門医と日本外科学会外科専門医の資格を持ち、肝臓、胆道、膵臓領域を専門とする佐竹真院長。「患者と家族の負担を少なくする」という明確な理念のもと、糖尿病や循環器、整形外科など多彩な医師陣とともに、幅広い疾患に対応している。「根拠とエビデンス」を重視した診療スタイルで、治療の必要性や医学的根拠を求める患者ニーズに応えるべく、ガイドラインに沿った診療を徹底。なぜ治療が必要かを丁寧に説明し、患者の信頼を得ている。訪問診療では、スタッフの自主性を尊重し、往診担当者を中心に医師とスタッフが協力して患者に寄り添ったケアを提供。「クリニックは1つのチーム。皆に支えられて今がある」と穏やかに語る佐竹院長に話を聞いた。
(取材日2025年3月17日)
医師の専門性を生かして地域医療に貢献
クリニックを承継された背景をお聞かせください。

「岩津外科胃腸科クリニック」から事業承継で、現在の「医療法人社団晃成会クリニック」がスタートしたんです。私が着任したのは2013年になります。大学病院で消化器外科の医師として勤務していましたが、弟が理事長を務める当院で院長として地域医療に貢献してほしいと話をいただき、決断しました。当初は前任の医師からの引き継ぎには苦労しましたね。先進の医療知識を生かしつつ、患者さんの信頼を得るために治療方針の説明を丁寧に行うことを意識しました。地域に根差した医療を提供するという思いが少しずつ実を結んできたのかなと感じているところです。
医師が多数在籍され、広範囲の疾患に対応可能なのですね。
当院にはさまざまな専門分野の医師が在籍しているんですよ。私自身は消化器外科でも特に肝臓、胆道、膵臓の肝胆膵領域を専門としていますが、他にも糖尿病や循環器の医師、整形外科の医師が外来の患者さんを担当しています。さらに土曜日には宝塚市立病院から外科と内科の医師が交代で診療に来てくれていますね。内視鏡検査に関しては、消化器内科の医師が入ります。地域のネットワークを生かして、幅広い疾患に対応できる体制を構築してきました。健診にも力を入れており、生活習慣病予防健診や特定健診など各種検査を実施しています。地域の健康を守る最初の砦として、多岐にわたる医療ニーズに応えたいと考えています。
クリニックとして大切にされている理念を教えてください。

私たちが最も大切にしているのは「患者さんとご家族の負担をいかに少なくするか」なんです。新型コロナウイルス感染症の流行を経て、治療の必要性や根拠、エビデンスをしっかり説明し、納得いただいた上で治療を進めることが不可欠になっていますね。現在はあらゆる疾患にガイドラインが存在しますから、それにのっとった診療を徹底しています。大きな疾患が見つかった場合には基幹病院と連携し、適切な医療機関へスムーズに紹介できる体制も整備しています。当院の強みは診療科の垣根を越えた連携が取れること。例えば高血圧や脂質異常症、糖尿病の患者さんには、それぞれの症状に合わせて外来診療をしています。食事療法などの生活指導も重視しており、治療の背景や生活環境を踏まえた個別アプローチを心がけているんですよ。
患者に寄り添う総合的な医療の提供をめざして
患者の主訴としてはどのようなものが多いですか?

当院を訪れる患者さんの約7割は生活習慣病関連のご相談ですね。高血圧や脂質異常症、糖尿病といった疾患が中心です。もちろん季節によって変動があり、冬場は発熱の外来が混み合います。近年の特徴として、患者さんが自分の症状の原因や治療の根拠を知ろうとする意識が高まっているのを強く感じますね。インターネットなどの影響で、患者さんがいろんな情報を集めて来院されるケースが多いんです。そのため、しっかりとした根拠を示しながら診療を進めることが重要になっていますね。
「根拠とエビデンス」を重視した診療をされているんですね。
はい、昨今の医療では「根拠とエビデンス」がとても重要になっていると実感しています。1つの薬を処方するにしても、なぜその薬が必要なのか根拠を示すことが患者さんの安心や納得につながるんですね。国が作成したガイドラインがありますから、それに沿った診療を心がけています。例えば、他院で肝臓や膵臓の異常を指摘された方が当院に来られた場合、まずCTなどで検査を行い、必要があれば連携している市立病院や大学病院を紹介します。私たちの役割は「ファーストタッチをできるだけ早く。気兼ねなく診療を受けられる場所」であること。根拠に基づいた診療をしっかりとすることで、患者さんの信頼を得ながら、適切な医療へとつなげていくことを大切にしているんです。
在宅医療を含めた総合的なケアを提供されていますね。

施設だけでなく、ご自宅で療養を希望される方にも対応しているんですよ。私が考える在宅医療の核心は「チーム医療」です。医師、外来スタッフ、訪問看護スタッフ、往診担当者を含めた1つのチームとして情報を共有しながら、適切な処置を迅速に行うことを心がけています。在宅医療といってもいろんな選択肢があるので、ご家族やご本人にとって一番負担が少ない方法を一緒に考えていくスタンスです。ご家族が感じるストレスも考慮して、提携施設を紹介し、施設での看取りを選択肢として提案する場合もあります。その場合も訪問診療で訪問看護スタッフや外来スタッフと連携しながら、患者さんを多角的にサポートしています。大切なのは、1つの判断で患者さんやご家族の状況が大きく変わることを常に意識し、迅速に対応することだと考えています。
主体性を持った「1つのチーム」としてこれからも
24時間体制での見守りサービスについて教えてください。

在宅療養中の患者さんには24時間体制でのサポートが欠かせません。当院では、病変があった場合、まず往診担当者に連絡が入り、そこから私に指示を仰ぐ流れをつくっています。私から指示が出たら、スタッフがすぐに現場に駆けつけるという体制です。外来スタッフも提案をしてくれることがあり、スタッフ同士の意見交換が活発に行われています。さらに、終末期医療では、痛みのコントロールが重要です。私は疼痛管理を専門的に学んでおり、その知識を生かしてガイドラインにのっとって、段階的な痛みの管理を図ります。薬の必要性や副作用を説明した上で、患者さんやご家族と相談しながら適切な疼痛コントロールをめざしています。医学的根拠に基づいた疼痛管理と24時間体制のサポートにより、患者さんとご家族に安心していただけるのではないかと考えています。
チーム医療を実践する上で、スタッフ教育で意識されていることは?
スタッフの教育は、主体性を重視しています。これはアメリカ留学中に学んだことですが、主体的に動かなければ結果は出ません。スタッフの個性や状況を見極めながら声をかけ、コミュニケーションを取ることも心がけていますね。私は当院を「1つのチーム」として捉えています。理事長、院長、スタッフが互いに情報共有し、連携するのが大切だと考えているのです。私の役割は理事長の考えをスタッフに伝えるだけではなく、スタッフの意見をくみ上げるいわば橋渡し役です。院長だからと威張るのではなく、話しやすい存在でありたいと思っています。スタッフが主体的に働ける環境づくりが、結果的に患者さんへの良い医療につながると信じています。
最後に地域の方へのメッセージをお願いします。

ちょっとした不調や心配事、小さな変化でも気軽に相談していただきたいですね。「こんなことで受診していいのかな?」とためらってしまうような些細なことこそ、早期発見・早期治療のきっかけになると思うんです。当院では、患者さんの話にしっかりと耳を傾け、どんな治療が必要か、あるいは必要ないのか、きちんと説明することを心がけています。大規模病院への紹介が必要なら、迅速に対応できるよう体制を整えています。特に30代~50代の女性の皆さんは、自分の健康より家族のことを優先しがちですが、ご自身の体調管理も大切にしてほしいですね。予防的な食事療法や生活習慣のアドバイスなど、健康維持のためのサポートも行っています。皆さんの健康を地域のかかりつけ医として支えていきたいと思っています。