田中 寛樹 院長、田中 真一郎 名誉院長 の独自取材記事
田中整形外科クリニック
(西宮市/苦楽園口駅)
最終更新日:2026/04/09
苦楽園口駅の目の前にある「田中整形外科クリニック」。名誉院長である田中真一郎先生が1994年に開業した、地域密着型のクリニックだ。そんな同院を、2024年4月に現院長の田中寛樹先生が継承。そして2025年11月、患者の通いやすさや入りやすさに配慮し、同じビルの2階から1階へと移転・リニューアルした。移転後も医師2人体制で、手足のしびれや神経痛、肩凝り、椎間板ヘルニア、腰や膝の痛み、五十肩、骨粗しょう症など、幅広い症状や疾患に対応。院内にエックス線検査室、MRI検査室、リハビリテーション室を備え、1ヵ所で診断・治療・リハビリを行える体制を整えている。「めざすのは、なんでも相談できる町のお巡りさんのようなクリニック」と話す両先生に、院内のこだわりから今後の展望までさまざまな話を聞いた。
(取材日2025年11月26日)
受診しやすさに配慮し、1階へ移転・リニューアル
11月に移転・リニューアルされたそうですね。

【寛樹院長】ビルの1階部分が空いたため、2階から1階へと移転・リニューアルしました。父が1994年に開業して以来、長年2階で診療してきましたが、「2階まで上がるのはつらい」という患者さんのお声もあり、1階に移転することは当院の切実な願いだったんです。移転後、「1階になって助かりました」など、喜びのお声をお聞きすることも多いですね。「若い頃は頑張って通っていたけど、膝を悪くして通うのが難しくなっていた」という患者さんが、移転後に久しぶりにおみえになったことも。来たくても来られなかった方がいらっしゃったことを考えると、1階に移転して本当に良かったと思っています。
リニューアルに際して、こだわった点はありますか?
【寛樹院長】以前に比べ、内装や照明を明るめにしました。床の素材を待合室は落ち着いたものに、リハビリ室は明るめのものにするなど、細部にまでこだわっています。痛みを抱えて来院される患者さんに、少しでも明るいお気持ちになっていただきたいんです。また、トイレは車いすで方向転換できる広さを確保。健康診断にも対応できるよう、隣に尿検査のスペースも設けました。診療設備としては、新たにより精密に骨密度を評価できるDEXA法の骨密度測定器を導入。さらに、スタッフの意見も聞きつつ、動線を一方通行にしたり、身長に合わせて高さを調整できるモニターを導入したり、休憩スペースを備えたりと、働きやすい環境を整えることも意識しました。スタッフが楽しく働けなければ、患者さんに良い医療を提供することはできませんからね。
どんな症状の患者さんが多くいらしていますか?

【寛樹院長】背中や首、肩甲骨、肩、膝、腰の痛みなど、幅広い症状の患者さんが来院されています。「肩が上がらない」「腰が痛い」「膝が曲がらない」などお悩みの方はぜひご相談ください。私は肩から指先までを含む手の外科が専門で、大学院では末梢神経の再生に関する研究をしていたため、神経分野における手のしびれや痛みの治療も得意としています。ご高齢の患者さんが来られることが多いのですが、近くに保育園や学校施設があるので、未就学児や小中高生のけがなどでの飛び込み受診にも対応。最近はスポーツ外傷で来院されるお子さんも多いですね。
院長が専門とする手の外科についてお聞かせください。
【寛樹院長】手の痛みは、特に更年期以降の女性に多いですね。指が痛い、曲げにくい、こわばるといった症状の中にはリウマチが隠れていることもあります。また近年の新たな知見によると、女性ホルモンが一因の疾患も疑われます。指に痛みがなくても、形に違和感があれば整形外科の診療範囲です。そのほか、骨折や捻挫、切り傷にも対応していますので、受診先に迷われる方もご相談ください。
診断・治療からリハビリまで、一貫して患者をサポート
MRI検査装置も備えているのですね。

【真一郎名誉院長】精密検査のために病院を受診する患者さんの負担を軽減し、かつ速やかに診断できるよう、MRIを2001年に導入し、2021年に機種を入れ替えました。MRI検査の強みは、エックス線検査ではわかりにくい詳細な骨や筋肉、脊髄の状態を調べられること。当院ではエックス線検査を基本とし、より詳細な検査が必要と判断した場合にMRIを活用しています。MRI検査は、椎間板ヘルニア、膝の半月板損傷や靱帯損傷などに対して、適切な治療方針を決めるための判断材料になります。お子さんの安全にも配慮された検査ですし、ほかにも、骨粗しょう症の方に多い圧迫骨折の診断、がんによる転移性骨腫瘍の発見などにも役立ちます。
理学療法士によるリハビリにも力を入れていると伺いました。
【寛樹院長】当院では、理学療法士とともに患者さんの状態に合わせたオーダーメイドの医療を提供しています。医師と理学療法士の間でしっかりとすり合わせを行い、患者さんをより良い状態に導けるよう努めています。1人の患者さんを2人の専門家が診るという感覚ですね。場合によっては、患者さんが理学療法士に話された内容に沿って治療の軌道修正もします。このようなきめ細かな取り組みもあり、他院で手術を終えた方のリハビリを依頼されることも多いですね。
理学療法士の教育にも注力されているそうですね。

【寛樹院長】月に2回、院内で勉強会を開き、さまざまな疾患についてそれぞれのスタッフが疑問に感じたことなどをテーマにして学び合っています。整形外科疾患の予防や治療においては、薬や食事だけでなく、運動も大切です。特に腰痛の中には、体幹を鍛えるトレーニングで改善が見込めるものもあります。専門的に体の構造などを学んだ上で運動指導にあたればより良いケアにつながるので、スタッフも「患者さんのために」と熱心に研鑽を積んでくれています。整形外科で診る疾患や症状は、腰痛や肩関節周囲炎をはじめ多種多様ですが、当院には幅広く対応できるスタッフがそろっています。
30年超の歴史を引き継ぎ、さらなる地域貢献をめざす
診療の際にはどんなことを心がけていますか?

【寛樹院長】患者さんのお話をじっくり聞くことです。お話の中には診断の鍵がありますので、注意深くお聞きして診断に生かしています。また医療は日進月歩で進んでいますので、新たな分野にも目を向けなければなりません。長年研究してきた知識を生かした診療を届けていきたいですね。真一郎名誉院長の豊富な経験による堅実な診療と、私が大学病院で培った新しい知見による柔軟なアプローチ。この2つを融合させ、より良い診療を提供していきたいと思っています。
【真一郎名誉院長】常に患者さんを第一に考え診療を行うことです。そのためには知識のアップデートが欠かせません。時代によって患者さんの症状の傾向は変わりますから。これからも研鑽を積むことを怠らず、開業初期からこだわってきた診断力をさらに磨いていきます。
今後の展望をお聞かせください。
【寛樹院長】インターネット社会といわれる今、あらゆる情報を自分で調べることができますが、医療においては正しい情報が手に入るとは限りません。その道の専門家として、患者さんに正しい知識を広めるお手伝いをしていきたいですね。また私自身、体を動かすのが好きでジムにも通っていますので、患者さんに運動指導を行う際などに、自分が体験して良かったことを積極的にお伝えしていければとも思っています。
【真一郎名誉院長】経験だけでなく科学的根拠に基づいた診断を大切に、先進の医療も取り入れつつ、地域の方々がより安心して通えるクリニックをめざします。
最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。

【真一郎名誉院長】体のどこかが「昨日と違う」と思ったら受診してください。寝違えだと思っていたら、実は首のヘルニアだったということもあり得ます。気づかないうちに変形が進み、悪化してしまわないよう、痛みが小さい間に来ていただきたいですね。
【寛樹院長】長年地域で愛され、多くの方に支えていただき今の当院があります。その歴史を引き継ぎ、今後もさらに地域に貢献していきたいと考えています。名誉院長がこれまで築いてきた患者さんとの信頼関係など、老舗ならではの良さを残しつつ、新たな治療法も積極的に取り入れていきたいですね。1階に移転しましたので、「2階は難しい」と通院を諦めていた方もぜひいらしてください。

