武田 康宏 院長の独自取材記事
たけだクリニック
(尼崎市/尼崎駅)
最終更新日:2025/07/08

「病気を見つけられる技量に加えて、どれだけ患者さんの負担を減らし楽に治療を受けてもらえるかが大切」。そう語るのは、「たけだクリニック」の武田康宏院長だ。2025年4月、父から同院を引き継いだ武田院長は、天理よろづ相談所病院や大阪赤十字病院などの基幹病院の消化器内科で研鑽を積んできた内視鏡治療のスペシャリスト。医療従事者向けのセミナーで公開手術の術者を務めた経験も持つ。同院でも苦痛に配慮した内視鏡検査に尽力する一方で、「父が果たしてきた地域のかかりつけ医としての役割も大切にしていきたい」と、一般内科や小児科など、幅広い診療に真摯に取り組んでいる。武田院長に、これまでのキャリアや内視鏡検査の強み、今後の展望について語ってもらった。
(取材日2025年6月17日)
内視鏡の技術を生かし、幅広い内科診療に対応
先生が医師をめざされたきっかけや消化器内科を専門に選んだ理由をお聞かせください。

やはり、父が医師だったことの影響が大きいですね。僕が中学生の頃に開業し、父が患者さんからとても感謝されている姿を何度も目にしました。その姿に憧れを抱き、「働くなら人に感謝される仕事に就きたい」と思い、医師をめざすように。進路を考える中で、医師といえば内科というイメージがあり、漠然と内科に進もうと考えていました。その中でも、せっかくなら技術を磨ける分野に進みたいと思い、興味を持ったのが消化器内科。ちょうどその頃は、内視鏡の技術が急速に進歩している時代だったんです。胃がんや大腸がんも早期であれば、内視鏡手術で治療ができるのが魅力でした。また、消化管は免疫とも深く関係していて、研究的にも面白かったことも消化器内科を専門に選んだ理由です。
先生のご経歴と継承までの経緯を教えてください。
大学卒業後は、京都大学医学部附属病院や兵庫県立尼崎病院(現・尼崎総合医療センター)での研修を経て、京都桂病院や天理よろづ相談所病院、大阪赤十字病院など、地域の基幹病院で消化器疾患の診療に従事。天理よろづ相談所病院・大阪赤十字病院では、消化管グループのリーダーを務め、他の医師と協力しながら治療にあたってきました。そして2024年4月には、父が長年にわたり運営してきた「武田内科小児科」に副院長として入職し、この4月に院長を継承。院名も「たけだクリニック」に改め、新たなスタートを切りました。
継承を決められた理由と継承で変わられた点などをお聞かせください。

継承を決めた理由は、父が長年診てきた患者さんたちに「もう診られません」と伝えるのが申し訳ないと感じたこと、そして、私自身が病院で培ってきた内視鏡治療の技術を地域の患者さんにも届けたいと思ったからです。継承にあたり、これまで父が診ていた内科と小児科に加えて、より専門的な消化器内科の診療にも対応できるようになりました。また、胃と大腸の内視鏡検査を実施するため、院内を改装。患者さんがストレスなく処置や検査を受けられるよう、処置室を広めに設け、リクライニングチェアも導入しました。父は30年以上にわたり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病や、小さなお子さんの予防接種などを通じて、地域の健康管理に尽力してきました。私もその思いを引き継ぎ、地域のかかりつけ医として、消化器内科に特化するだけでなく、幅広い診療に対応しながら、患者さんとのつながりを大切にしていきたいと考えています。
大規模病院で受けるのと遜色のない内視鏡検査を
貴院の診療内容と患者層を教えてください。

当院では、生活習慣病などの一般内科と小児科に加え、おなかの痛みや張りといった消化器症状、胸の痛みや動悸といった循環器系の症状、喘息などの呼吸器の症状にも対応しています。検査体制としては、心電図や胸部・腹部エックス線検査の他、胃・大腸の内視鏡検査、腹部超音波検査も用意しています。内視鏡検査は基本的に予約制ですが、超音波検査は予約なしでも受けていただけるので、急におなかが痛くなったときなど、お気軽にお越しください。小児の定期予防接種に加え、帯状疱疹や肺炎球菌など、成人向けのワクチン接種も行っています。今は0歳の赤ちゃんから90歳以上のご高齢の方まで、幅広い年代の方に通っていただいており、中には4世代にわたってご家族で来院されている方もいらっしゃるんですよ。
内視鏡検査に注力されていると伺いました。
胃・大腸の両方に対応した内視鏡検査体制を整えており、胃内視鏡検査では、痛みの少ない経鼻内視鏡を採用しています。どちらの検査もご希望に応じて鎮静剤を用い、眠っているような状態で楽に受けていただけます。内視鏡検査は体への負担もある検査ですので、しっかり診断し、必要に応じて治療につなげることが何より重要だと考えています。大腸内視鏡検査では、当院で対応可能なサイズであればポリープの切除も行っています。大きなポリープや、より専門的な治療が必要と判断される場合は、提携する医療機関に紹介し、適切な治療を受けていただけるよう対応しています。
他にも、内視鏡検査の特長や強みはありますか?

当院の内視鏡検査では、送気に通常の空気ではなく二酸化炭素を使用しています。二酸化炭素は体内への吸収が早いため、検査後のおなかの張りが早くおさまるといわれています。さらに、カメラの操作を丁寧に行う、検査時間もできる限り短くするなど、患者さんの負担を軽減する工夫を積み重ねています。その上で、正確な診断につなげることを常に意識しています。当院の強みは、大規模病院と遜色のないレベルの内視鏡検査をクリニックで提供できること。私は長年、消化器内科を専門に診療を行ってきました。勤務医時代には、近畿大学病院で開催された内視鏡のライブセミナーに術者として参加し、多くの医療関係者の前で内視鏡手術を担当した経験もあります。技術を磨いてきた自負がありますし、診断経験も豊富ですので、安心して検査を受けていただければと思います。
多くの病院と連携し、早期に適切な診療につなげる
診療の際に大切にしていることをお聞かせください。

まず患者さんのお困り事をゆっくりと時間を取ってお聞きし、その上で、できる限りの医療を提供することです。当院だけで完結できない場合は、適切な高次医療機関へ迅速にご紹介し、患者さんの悩みや不安をできるだけ早く解決できるよう努めています。特に現在は、生活習慣病で通院されている方が多いため、「元気で長く自宅で過ごせること」を一つの目標に、日々の診療を通じてそのサポートをしていきたいと考えています。
たくさんの病院とも連携を取られていますね。
はい。まず紹介先として多いのが、すぐ近くにある尼崎総合医療センターです。それ以外にも、関西ろうさい病院や尼崎駅近くの尼崎中央病院、そして安藤病院や大隈病院など、地域で頑張っておられる医療機関とも連携を取っています。また、私は以前大阪赤十字病院の消化器内科に勤務していましたので、そちらへの紹介も可能です。加えて、京都大学の消化器内科に所属していた関係で、その関連病院への紹介体制も整えています。退院後に症状が安定していて、定期的な投薬や体調管理で済むようなケースでは、アフターフォローにも対応しています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

これからも地域の皆さんの日常に寄り添い、生活習慣病などのご相談が気軽にできる「かかりつけ医」として頼っていただける存在でありたいと思っています。特に専門である消化器内科については、困ったときにすぐに駆け込んでもらえるクリニックをめざしています。胃腸の不調をはじめ、炎症性腸疾患などの慢性疾患についても、症状が安定していれば薬の継続管理などの対応は可能です。一般内科・小児科を含め、幅広い診療に対応できる体制を整えていますので、「どこに相談したらいいかわからない」というようなときにも、まずは気軽にご来院ください。父が築いてきた地域の信頼を、私の代でもしっかりと引き継いでいきたいと思います。