瀬戸本 悟 院長の独自取材記事
瀬戸本医院
(神戸市灘区/摩耶駅)
最終更新日:2025/10/14
JR神戸線・摩耶駅より徒歩2分というアクセスの良い立地にある「瀬戸本医院」。院長の瀬戸本悟先生は、1998年より先代から同院を引き継ぎ、親子2代にわたって50年以上、地域のかかりつけ医として診療に尽力している。夜間や休日の訪問診療にも対応しており、患者からの信頼も厚いクリニックだ。また、胃の内視鏡検査では、患者の負担が少ないという「経鼻内視鏡システム」を導入。「内視鏡検査によって病気の早期発見・早期治療ができるよう、胃カメラ検査のハードルを下げたい」と語る瀬戸本院長に、クリニックの特徴や診療時の心構え、今後の展望などについて、たっぷり聞いた。
(取材日2019年2月21日)
親子2代にわたって地域のかかりつけ医として尽力
まずは、クリニックの特徴や力を入れているところを教えてください。

50年前に父がこの場所に開業し、私が引き継いだ後も、地域の人たちにずっと密着した診療しているのが特徴です。お年寄りの方からその家族、その子どもと、3世代にわたって診ている方も多いですね。地域の方のニーズに応えられるように、それぞれ一人ひとりに合わせた診療ができるように心がけています。あとは、内視鏡検査にも注力していますね。早期発見・早期治療の時代ですから、早期の食道がんや胃がんを発見できるように、特殊光を使って微細な病原を識別できるようにするシステムがついた胃カメラを当院にも導入しました。
「胃カメラ」と聞くと、吐き気を催してしまうイメージがありますが。
胃カメラといえば、あまり病気をされない方は「口から入れるものだ」と思っている方も多いと思います。当院で導入している胃カメラは口からも鼻からも入れられる機械。鼻から挿入すると、普通に会話ができるので、患者さんとやりとりをしながら検査することも可能です。以前の胃カメラは管が太かったので、吐き気が出てしまう方も多かったんですが、当院のカメラは管自体が細くやわらかいですから、喉元を通るときに苦しみ、吐き気を感じることが少なくなりました。カメラをずっと挿入している間でも違和感が少なくなっており、楽に検査を受けていただけるのではないかと思います。患者さんの希望があれば、鎮静剤を用いて検査することも可能です。
先生が診療中に心がけていることは何でしょうか?
わかりやすく説明することですね。当然、高齢者になるといろいろな病気にかかることがあります。患者さんが患っている、それぞれの疾患に対応できるよう、きちんと勉強をすることも大切にしています。また、どこの科に行ったらいいかわからない方に病院やクリニックをご紹介したり、クリニックのかかり方についてアドバイスすることもあります。
親身になって、患者さんのことを診ていらっしゃるということですね。

そうですね。大きな病院で受けた検査結果の見方がわからないときなどに、「この検査データはこういう意味です」と説明したり、数ヵ月分のデータがあれば比較したりして、患者さんがわからないことを一緒に解決していく。そのためには、私も知識がないと答えられませんから、いろいろな疾患のことを幅広く勉強するようにもしていますね。あとは、病気一つを診るのではなく、体全体を考えながら、診療すること。「おなかが痛い」と言われたときに、それだけの治療をしていても、「腰が悪い」「痛み止めも飲んでいる」など、患者さんによって状況が変わることが多いですから。そういうときには食事や薬のことなど、ライフスタイルについても併せてアドバイスするようにしています。
父や恩師の背中を見て学んだ医師としての心構え
先生が医師をめざされたきっかけを教えてください。

私が小学校低学年の頃から、この場所で父が開業していて、地域に根差した診療をしていました。周りの人から信頼されている、そんな父の姿をずっと見ていたので「やりがいのある仕事なんだろうな」と感じていたんだと思います。昔は「医者の子どもだから医者になるだろう」と周りから思われていることも多く、子どもながらにそれを「引き継いであげないと駄目なのかな」と思っていた気持ちもありましたね。あとは、アメリカの医療ドラマの影響もあります。主人公が外科の医師の有名なドラマなんですが、それを見て「医者ってかっこいい」と思ったことも影響していますね(笑)。
以前勤められていた病院での経験が、今の診療に生かされていることはありますか?
私の指導をしてくださった先生は、外科手術を得意とされている方でした。その技術を学ぶというのはもちろんのこと、本当に一人ひとりの患者さんを丁寧に診られていて、患者さんとの関わり方が上手だったんです。非常にわかりやすい言葉で説明していて、緊張されている方にはリラックスするような軽いジョークを交えながら質問する。同じことを何回聞かれても、同じように丁寧に説明してあげていましたね。それが患者さんに対応する基本だと思うので、それは当院でも実践しています。時には家族の人に連絡をして、クリニックに来ていただいて説明したり、顔なじみの人だったら電話をして、「こういう病気だから少し注意してあげてください」というふうに伝えるようにしています。
先生は訪問診療にも対応なさっているそうですね。

訪問診療は、午前診と午後診の間に行くことが多いのですが、時には夜間に行くこともあります。ご高齢の方や脳血管障害などさまざまな疾患で通院が困難となり、訪問診療を希望される方が最近は増えてきました。昔は病気になって寝たきりになると、入院したり、施設に入ってそこで最期を迎えるという方が多かったのですが、今は在宅志向が高まっていますからね。「自宅で最期を迎えさせてあげたい」という希望があれば、その手助けをするのは医師として当然の務めと思います。
生活の質を落とさない治療を提供したい
普段プライベートのときは何をされていますか?

休みの日は、野球をして体を動かしています。医師会の人と週に1回は昼休みを利用して練習するなど、定期的に運動する時間を取っていますね。スポーツ観戦をすることも好きなので、球場に足を運ぶこともあります。一つのチームを応援するというよりかは、好プレーをしていたら敵や味方関係なく「すごい」と思うタイプなので、観戦すること自体が楽しいですね。あとは鉄道写真を撮ったり、天体観測をしたりすることもが好きなんですが、なかなか行く時間が取れなくて、あまり行けていないのが現状です(笑)。
先生が実践されている健康法を教えてください。
普通に生活することです。飲みすぎ食べすぎに気をつける、タバコを吸わないなど、特に変わったことはしていません。私は夜遅くまで起きていることが多いんですが、すぐ寝られるので(笑)、睡眠の質がいいのかなとは思います。あとは、ストレスをためないこと。どんなことも、「それはそんなものだろう」と受け流し、その場その場でうまく対応しています。犬の散歩に行ったり、家族と会話したり、買い物に行ったりして、リフレッシュするように心がけています。
今後の展望についてお聞かせください。

超高齢社会を迎え、どんどんいろいろな病気を抱える人が多くなっていくと思います。介護が大変になってきたり、介護で苦労するご家族の方が多くなってきたりしますから、そういう患者さんとご家族の対応について、どうしたら治療や介護がスムーズにできるかを一緒に考えて、サポートしていければと思います。あとは、先ほども言いましたが、内視鏡検査ですよね。「内視鏡検査はつらくないんだ」と思っていただけるように自分の技術を高めて、気軽に検査を受けていただき、「内視鏡検査をして早く病気がわかって良かったな」と思ってもらえるようにしたい。早期発見・早期治療で患者さんを助けていきたいです。手術をして「胃を切除しなくてはいけない」ということになったら、食事の問題など負担になることも出てくるので、早期の段階で対処して、生活の質を落とさない治療を提供できたらなと思います。

