賀来 英俊 副院長、後藤 佳子 先生の独自取材記事
賀来医院
(神戸市東灘区/摂津本山駅)
最終更新日:2025/07/15

長年にわたり地域医療に貢献してきた「賀来(かく)医院」。現在は、院長の賀来正俊先生と副院長の賀来英俊先生を中心に、月曜・水曜の午前中には英俊先生の姉である後藤佳子先生も診療にあたっている。診療内容は、一般内科に加えて、スポーツによる体調不良などを診る「スポーツ内科」や、英俊先生による精度の高い拡大内視鏡を使った胃・大腸の内視鏡検査、さらに後藤先生による肛門診療や乳房エコーなど、幅広い診療が行われている。特に消化器疾患の診療では、不安や恥ずかしさを感じる患者も多いため、英俊先生と後藤先生は、「できるだけ痛みや不安を和らげ、見落としのない丁寧な診療・検査を行うこと」を常に心がけているという。そんな温かな姿勢を持つ2人に、医院の特徴について話を聞いた。
(取材日2025年6月4日)
3人の医師が支える、幅広い内科・消化器診療
歴史のあるクリニックとお聞きしました。

【英俊副院長】祖父が大分県で開業したのが賀来医院の始まりで、その後1957年に現在の神戸市東灘区へと移転しました。この地に根を下ろし68年がたち、今では父と私に加えて、月曜・水曜の午前中には後藤先生も在院し二診制で診療を行っています。
【後藤先生】祖父はもともと外科医でしたが、開業後は内科の診療も行っていたようです。移転当時は、胃の手術やけがに対する整形外科手術なども院内で実施していたそうです。私たちが生まれた頃には、外科的な処置に加えて、内科を中心に地域の方々の診療を行っていました。その後、父が医院を継ぎ、現在まで内科を中心に診療を続けています。
一般内科に加え、消化器内科や内視鏡内科にも注力されているそうですね。
【英俊副院長】2024年に私が着任した際、先端機器を導入し、胃・大腸の内視鏡検査や各種エコー検査に対応できる体制を整えました。一般内科やスポーツ内科に加え、消化器疾患にも専門的に対応できるようになり、より幅広い健康ニーズにお応えしたいと考えています。内視鏡検査による精密な診断で、胃や腸の不調の原因を正確に把握できれば、早期の治療や生活指導へつなげられます。特に日本人に多い胃がんや大腸がんの早期発見を心がけています。安心して検査に臨んでいただくことを大切にし、ご希望に応じて鎮静剤を使用し眠ったような状態で受けていただけます。検査前には音楽を流しリラックスできる環境を整え、大腸カメラ専用のお手洗いや検査後に休めるリクライニングソファーもご用意しています。胃やおなかの不調を感じた際はお気軽にご相談ください。
後藤先生が担当される乳房エコーと肛門診察についても教えてください。

【後藤先生】私はもともと消化器外科を専門とし、以前の勤務先では乳房エコーや肛門診察に携わる機会がありました。この地で診療を始めるにあたり、一般診療に加えて特に女性の方が抱えやすい悩みを気軽に相談できるよう、乳房エコーや肛門診察を新たに取り入れました。乳房エコーは超音波を使い、しこりや乳腺の状態、脇の下のリンパ節の腫れなどを調べる検査で、痛みはなく約15分で終了します。予約なしでも対応可能です。肛門診察では、肛門鏡という小さな機器を用いて肛門から直腸までを丁寧に観察します。下血や違和感、便秘で来られる方が多く、痔や裂肛、直腸がんが見つかることもあります。痛みや負担を抑えるように配慮し、必要に応じて大腸内視鏡検査へとスムーズに移行できる点も当院の強みです。
患者の不安に寄り添う丁寧な診察を心がける
どのような患者さんが来られるのでしょうか?

【英俊副院長】中学生から90代までと非常に幅広く、地域の方々では高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病や感染症、栄養不足、ストレスによる不調などでの受診が多いです。最近では、胃・大腸内視鏡検査を希望される方も増えています。
【後藤先生】スポーツ内科には、アスリートや部活動中の学生、小さなお子さんまで、年齢や性別を問わず来院されています。遠方から通院される方も多く、中には2〜3時間かけて定期的に通われている患者さんもいらっしゃいます。
スポーツ内科について詳しく教えてください。
【後藤先生】当院の院長が約40年前から取り組んできた分野で、スポーツが原因で起こる内科的な不調、スポーツスランプに対応しています。具体的には、貧血やアレルギー性運動誘発喘息、過度な運動による低栄養、甲状腺機能の低下、女性アスリートに多い月経異常などがあります。他にも、過敏性腸症候群や不眠など、精神的な負担が症状として現れることもあります。まずは症状を丁寧に確認し、原因を探っていきます。中には整形外科的な症状を訴える方もいらっしゃいますので、必要に応じてエックス線検査を行い、専門的な治療が必要な場合は総合病院へご紹介する体制を整えています。原因がわからず悩んでいるような不調でも、診断・治療・改善につなげられる可能性があります。ぜひ一度ご相談ください。
患者さんに接する時に大切にしていることは何ですか?

【英俊副院長】まずは患者さんのご来院目的、ご希望、ご質問などを丁寧に聞くことを大切にしています。初診の方はご自身の困り事をうまく話せないこともあるため、大きな質問から徐々に細かい質問へと展開し、できるだけご本人の言葉で話してもらえるよう心がけています。その上で「患者さんが一番困っていることをきちんと解決できているか」を常に自分に問いかけながら診療にあたっています。
【後藤先生】私もまずは患者さんの話をしっかり聞くことを心がけています。そこから疾患を見落とさないように適切な検査を行い、生活背景や家庭環境、悩みなども含め、その方全体を把握するよう努めています。治療が必要なことにはしっかり対応し、生活の中で意識するだけで改善が見込めることがあればきちんとお伝えしサポートしていきます。
ここに来れば安心、と思ってもらえる場所をめざす
副院長が医療の道を志した理由をお聞かせください。

【英俊副院長】父や祖父をはじめ、身近に医師が多く患者さんが笑顔で帰っていく姿を幼い頃から見てきました。命に関わる不安や悩みの相談に乗り、解決へ導ける医師という仕事に魅力を感じ、自然とこの道を志すようになり、患者さんが不調を感じたとき、最初に頼ることが多い、内科医をめざしました。その中で消化器内科を専門に選択したのは、医療技術や機器の進歩により内視鏡で病気を早期発見し、場合によっては治療まで可能な点に大きな魅力を感じたからです。内視鏡診療で豊富な実績を持つ神戸大学医学部附属病院の消化器内科で5年間、その後に甲南医療センターの消化器内科などで臨床と研究を重ねました。
同様に、後藤先生が医療の道を志した理由を教えてください。
【後藤先生】私も祖父や父の影響が大きいです。高校では柔道部に所属し、大きなけがを何度か経験しました。その際に医師の言葉や姿勢に支えられたことが、この道を志した理由の一つです。「今できないことがあるなら別のことができるチャンスだよ」と前向きな言葉をかけていただいたことは今でも心に残っています。初期研修でさまざまな診療科を経験する中で、手術で病気を治療する医師の姿や、手術室の空気に惹かれ外科を志すようになりました。中でも消化器外科の術前・術後の全身管理が求められる点に魅力を感じ、兵庫医科大学病院や神戸医療センターなどで上部・下部消化管、乳腺を含む幅広い領域の診療経験を積み、炎症性腸疾患などの特殊な疾患にも携わってきました。
今後の展望をお聞かせください。

【英俊副院長】患者さんの体の悩みや困り事をできる限り解決できる医院でありたいと考えています。院長は長年スポーツ内科の診療に携わり、私たちは消化器外科・内科を専門としており、こうした分野は強みです。ただ、地域のクリニックとしてそれに限らず、あらゆる方の健康を支えることが大切。専門外の内容もまずはお話を伺い、必要に応じて適切な医療機関へつなぐことで「取りあえず賀来医院に来れば安心」と思っていただける存在をめざします。大学病院や総合病院、医療センターなど多くの病院やクリニックと親しいネットワークを持つのも当院の特徴と思います。
【後藤先生】幅広い年齢や背景の方に対応し、疾患の見落としなく適切な診療を心がけています。現在は医師が3人在籍しており、患者さんのご希望や症状に応じた対応が可能です。私は月・水曜の午前中に在院していますので、女性特有の悩みやお困り事も、気軽にご相談いただければと思います。