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中村 仁 院長の独自取材記事

中村医院

(堺市美原区/喜志駅)

最終更新日:2025/09/04

中村仁院長 中村医院 main

堺市美原区さつき野の住宅街にある「中村医院」。2023年に父から医院を継承した中村仁院長は、かかりつけ医として内科・循環器内科の疾患に幅広く対応する。大阪労災病院で10年間循環器内科医として急性期医療に携わり、その中で「もっと早い段階で介入できれば」という思いが募り、地域医療への転身を決意したのだという。「健康で笑顔あふれる日々を送れるようサポートする」という理念をスタッフと共有し、チームで患者の生活背景まで深く踏み込んだ診療を実践。動脈硬化の把握に有用なABI検査装置やエコーなど各種機器も充実させ、生活習慣診療や疾患予防のための検診、高齢化する地域を支える訪問診療など多方面に奔走する中村院長に勤務医時代の経験や地域医療への思いなどをじっくりと語ってもらった。

(取材日2025年8月6日)

救命の現場から予防医療の前線である開業医へ

お父さまから医院を継承された経緯について教えてください。

中村仁院長 中村医院1

以前は大阪労災病院の循環器内科で急性期医療に10年間携わり、心筋梗塞のカテーテル治療や足の血管治療を専門にしていました。次から次へと重篤な患者さんが運ばれてくる現場で、その度に「もう少しでも早い段階で介入できれば、こんな重篤な状態にならないのではないか」という思いが強くなってきたんです。どの段階で介入できるのかと考えたとき、それは予防であり、それは医院が担う地域医療だろうと思いました。父からは一度も当院に戻ってこいと言われたことはありませんでしたが、父も年齢的にそれまでのように働くのが難しくなってきたということもあったんですね。私としても、もともと当院を継承する予定はなかったのですが、いろいろなタイミングが重なって継ぐことを決意しました。

循環器内科を専門に選ばれたのはなぜですか?

学生の時から心臓というダイナミックに動く臓器にすごく興味があったのです。急性期医療に携わりたいという気持ちも強かったですね。心臓マッサージを受けながら運ばれてくるような、生死の境にいる人を助けることができれば、という思いがあったのです。実際に大阪労災病院には心臓の救急患者が多く、数多くの症例に携わらせていただきました。主に血管治療、カテーテル治療を専門に、心筋梗塞、また足の血管が細くて歩くと痛い、極端な場合には足が壊疽してしまうような症例への血管治療を行っていました。そうした日々にたいへんやりがいを感じる一方で、先ほどお話ししたように、大きな病気をする前に介入できたらという思いが次第に強くなっていったんです。

急性期医療の現場はとても大変なものだと聞きます。

中村仁院長 中村医院2

ええ。一命を取りとめても、後の人生に影響が出る方もいらっしゃいますから。私が勤務医時代に携わった中でも特に印象深いのは、救急車で搬送されその後足の切断に至ったある少年です。治療はなんとか施せたものの足への血流不全により片足の切断が余儀なくされました。しかし、その子は人工呼吸器が外れて目覚めた時、悲観せず底抜けに明るい笑顔でリハビリを頑張ってくれました。その姿を見ると、患者さんに向き合うときには、自分が選択した治療に一点の後悔もないよう徹底して考えるきっかけになりました。医師は患者さんの命を預かる、健康を預かる身です。新しい知識をアップデートし続けることが患者さんの人生に直結するのだと常に意識しています。

一人ひとりの背景に寄り添い包括的な診療を

診療で大切にされていることは何ですか?

中村仁院長 中村医院3

患者さんの背景をできる限りすべて把握するようにしています。誰と住んでいるのか、お子さんはどこにいるのか、食事は誰が作っているのか、デイサービスにどれぐらい行っているか、趣味は何かといったことです。伺ってみると、患者さんの生活は一人ひとり本当にさまざまです。ですから、理想ばかり押しつけてもうまくいくわけがないんですね。例えば糖尿病のコントロールが悪い70代の高齢の方がいたとして、ご自身で食事管理するのは難しいのであれば、宅食を勧めたり、運動不足の方で趣味の水泳に近頃行けていないなら、コミュニティーをつくるよう促したり。それぞれの背景に沿ったアドバイスが大事だと思っています。あとは必ず目を見て、誠実に話を聞くことを意識しています。

この地域は高齢化が進んでいるとのことですが、どういったことに力を入れているのですか?

高齢の方は病気が一つではないことが珍しくありません。女性なら骨粗しょう症、男性なら前立腺肥大、めまいといった、いろいろな病気や症状を併発することが多いのです。しかし、相談事に合わせて耳鼻咽喉科に行ったり、泌尿器科に行ったり、整形外科に行ったりするのは大変なこと。そのため、日常的なトラブルは基本的にすべて包括的に診られるようにしています。ただ自分の知識を過信しないよう、専門的な部分には近隣の医療機関と連携して対応しています。「どこの科に行ったらいいかわからない」という相談も含めて、何でも科にこだわらず相談できる。それが当院のような地域医療の役割だと思っています。毎週土曜には整形外科の先生に来てもらい、腹部超音波検査などの専門的な検査を行う臨床検査技師さんにも月2、3回は来てもらっています。

患者さんへの説明で工夫されていることはありますか?

中村仁院長 中村医院4

聞くより書く、文字より絵、絵より動画のほうがわかりやすいと思うんです。例えば心房細動のことを口だけで「心臓がドキドキする病気です」と説明しても、わかりづらいのではないでしょうか。そこを動画で説明すれば、電気信号がたくさん出ることで心臓がブルブル震えて、それによって血液がよどんで血栓ができてしまい、血栓が頭に飛ぶと脳梗塞になるというつながりも、わかりやすく伝えられます。そのため当院では、診察室に大きなモニターを設置し、動画を使った丁寧な説明を心がけています。超音波検査の時も「これがあなたの心臓ですよ、ここがこう動いています」とお伝えしたときに、患者さんが直感的にわかるようにセカンドモニターも設置しました。

訪問診療や交流会など文字どおり地域に密着した存在に

地域との関わりについて教えてください。

中村仁院長 中村医院5

月に1回、コミュニティーセンターで地域の皆さんと交流会を開いています。年2回は大ホールで40~50人規模の講演会、それ以外は10人ほどのこぢんまりとした会です。当院の患者さんではない方も来てくださいます。さつき野は地域のつながりが強くて、コミュニティーセンターの方が声をかけてくださると毎月違う顔ぶれが集まってくれるんです。この2年で、200人近くの人とお話しすることができました。隣近所に住む人の名前も定かではないということは今では珍しくないことですが、ここでは皆の助け合いや情報共有がしっかりとあります。私も夏祭りには看護師と一緒に医療スタッフとして参加しますし、小中学校の校医と保育園の園医も務めています。これからも地域密着型の医療を大切にしていきたいですね。

今後の展望を聞かせてください。

高齢化は待ったなしです。通院が難しい方がどんどん増えてきます。今も訪問診療をしていますが、これから需要がどんどん拡大してくるだろうと思っていて、そこをもっと強化したいと思っています。ただ、訪問診療だけでは不十分。訪問看護やデイサービス、ご自宅で生活ができなければ施設との連携も必要になるでしょう。健康はサポートできても、掃除や買い物のサポート体制がなければ意味がありません。車に乗れなくなったら、一気に生活が立ち行かなくなる方も多いはずです。病診連携の体制は充実してきましたが、患者さんをトータルでサポートするためには、診療所や病院以外とも連携し体制を構築することが大事になってくると思います。

地域の皆さんへメッセージをお願いします。

中村仁院長 中村医院6

皆さんのことをトータルでサポートしたいと思っています。風邪でも、普段の健康上の悩みでも、何でも大丈夫。特にご高齢の方はいろいろなトラブルを抱えている方が多いです。「どの診療科に行ったらいいかわからない……」というご相談を含め、分野にこだわらず何でもまずは気軽に相談してもらえればと思っています。繰り返しになりますが、それが地域医療の役割だというのが私の考えです。健康で笑顔あふれる日々を送れるようサポートするという理念のもと、困っている人を助けたいという思いで診療しています。些細なことでも気になることがあったら来てください。普段健康診断を受けていない方、離れて住む親御さんがこの地域にいるご家族の方も、当院に関心を持っていただけましたら幸いです。

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