山崎 雅之 理事長の独自取材記事
山崎診療所
(東大阪市/長瀬駅)
最終更新日:2025/09/12

近鉄大阪線・長瀬駅より徒歩1分。近畿大学に近く、学生の町としてにぎわう長瀬にある「山崎診療所」。60年以上前から地域の人の健康を支えてきた長い歴史のあるクリニックだ。理事長を務めるのは、父からクリニックを継承した2代目理事長の山崎雅之先生。患者に慕われ、信頼される先代の理事長の姿勢に共感し、目標としている。山崎理事長は、大規模病院の消化器内科で内視鏡検査や消化器系のがん治療など多くの経験を積んだ後に同院を継承。先代の誠意ある診療スタイルを大事に守る一方で、新しい検査機器を導入するなど、地域のかかりつけとしてさまざまな患者の要望に応えられるよう努力を続けている。誠実な姿勢と温かい人柄が魅力の山崎理事長にクリニックのことや診療の方針などいろいろと話を聞いた。
(取材日2022年12月5日)
患者に慕われる父の姿を見て、継承を決意
こちらのクリニックはいつ、どのように開業したのですか?

もともとは先代の理事長である父がやっていたクリニックで、開業したのは60年以上前になります。父は今もまだ定期的に診療にあたっていますが、私が継承したのは2003年です。継承してからも診療体制など変えたところはほとんどありません。ただ、昔は小児科と性感染症内科も標榜していましたが、今は性感染症の種類も多く難治化していますので、当院だけで完結できないケースも増えてきました。そのような場合は、泌尿器科などのより専門的なクリニックを紹介することもあります。小児科に関しても、新型コロナウイルス感染症が流行してからは、お子さんは小児科専門のクリニックに行かれることが多くなったという変化があります。なので、現在は一般内科、慢性疾患の患者さんがほとんどですね。あとは発熱者専用の外来もしていますので、新型コロナウイルスをはじめ、風邪やその他の感染症の患者さんも来られています。
いずれはクリニックを継承するつもりだったのでしょうか?
幼い頃から働く父の姿を見ていて、「いずれこのクリニックの後を継ごう」と思い、高校生の時に医師になろうと決心しました。父は本当に真面目を絵に描いたような人で、常に診療や患者さんのことしか考えておらず、他に遊ぶようなことや発散するようなことがまったくありませんでした。母は父のことを「真面目すぎて面白みに欠けるくらい」と言っていましたし(笑)、真面目すぎるのが必ずしもいいというわけではないのでしょうが、その真面目さが患者さんには響くところがあるのだと思っています。そんな父の姿を間近で見ていると、父のような医師になり、このクリニックの後を継ぎたいと自然に考えるようになっていました。
理想の医師像は、お父さまでもある先代の理事長先生なのですね。

父は、「医師」というより「お医者さん」といった感じで、患者さんにとても慕われています。また、患者さんの家族構成から、家族のどの人がどういう人かまで知っていて、患者さんのことを本当によくわかっています。なので、父を見習うところは多いですね。診療の中でいろいろ聞きながら覚えていくと思うのですが、時にはそこまで話し込めない時もあります。そのため、記憶力も良く、名前を言えばコンピューターのように症状から家族構成まで出てくる父は、本当にすごいなと思っています。ただ、もちろん患者さんのプライベートも尊重したいと思っていますので、患者さんの事情にどこまで踏み込んでいくのかは日々悩むところです。すべての患者さんのことを深く知ることは難しいかもしれないですが、患者さんのことを真に理解しようとする診療姿勢は取り入れたいと思います。
その日、その日で一人ひとりに適切な診療を
診療で気をつけていることがあれば教えてください。

診療方針として「これだ」ときっちりと決めていることはありませんが、とにかく患者さんの話を徹底的に聞くということです。いつも診療では、患者さんのお話をずっと聞いて最後に少しだけアドバイスをしています。「こうしなさい、ああしなさい」と私が言うことは基本的にはなく、聞くことばかりではないでしょうか。その日その日で、その患者さんごとに合わせた診療をすることで自然と必要な情報を得られることも多いですね。
院内処方を行っているのですね。
そうですね。院内処方はいろいろな面で大変なこともあるのですが、患者さんからの要望があるので継続して行っています。もちろん置いていない薬もありますし、院外処方も行っています。ただ、薬を変えてでも院内処方を希望されるという方もいらっしゃるので、やはり当院では必要だと思っており、これからも続けていくつもりです。
貴院をかかりつけとする患者さんが多いそうですが、かかりつけ医の役割はどんなことだとお考えですか?

かかりつけ医は、何か困った時に診てもらう場所であるのは当然ですが、かかりつけ医のところですべて完結できるわけではありません。当院でできる検査はすべて行いますが、できない検査もありますし、この症状はうちでは解決できないということもありますので、そういうときに適切な医療機関へつなげていくのが、かかりつけ医の役目だと思っています。「何科に行けばいいのかわからない」などの場合はご相談いただければ適切な医療機関を紹介できると思います。いつも定期的に来てくださっている患者さんに関しては、様子もよくわかっているので、私たちにとっても患者さんにとっても、かかりつけがあるのはとても意味があることだと思います。
感染予防に配慮し2つの動線を確保
発熱者専用の外来の際は動線を分けられているのですね。

建物の造りとして、以前から別の入り口があり、もともと完全に隔離できる動線がありました。これまでは違う使い方をしていましたが、発熱者専用の外来を行うにあたって、院内感染防止の対策の面で動線を分ける使い方をするようになりました。ただ、感染者が大幅に増加したときは、患者さんごとの診療時間の調整が難しくなることがあります。それでも、ピーク時は随分遠方からの患者さんも来られて「どこにも診てもらえなかった」という声をよく聞いたので、そんな患者さんを当院でも診てあげられるよう、私たちができることがあれば可能な限り対応させていただきたいなと思っています。当然できないこともありますが、診療時間が過ぎても連絡があれば診させていただいています。今は発熱者専用の外来だけでなく、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状のご相談も多いです。中でも咳が止まらないという方が多く、エックス線を撮って確認するようにしています。
エックス線のほかにはどんな検査を行っているのですか?
私は、当院を継承する前は大学病院や大規模病院などで勤務した後に現在の大和郡山病院の消化器内科に8年ほど勤めていました。内視鏡検査も数多く経験してきましたので、患者さんに胃の内視鏡検査が必要な場合は、上部消化菅内視鏡検査も行っています。ほかにもエコーと心電図も置いていますので、一般的にクリニックで行えるような検査は当院でも行うことができます。検査について聞きたいことや相談したいことがあれば、いつでも言っていただければと思います。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

当院はスタッフも少ないので、新しくどんどん手を広げていくことは難しいかもしれないですが、今できることを患者さんや地域の方々に届けていけたらいいなと思っています。その代わり、当院でできる範囲のことは、誠心誠意させてもらいたいですね。もし、内科的に気になる症状があれば、どんな相談でも乗らせていただければと思っています。当院でできる検査や治療は精いっぱいさせていただきますし、専門的な検査や治療が必要と判断すれば、適切な専門機関への紹介をさせていただきますので、気軽にご相談に来てくださればうれしいです。