井戸口 孝二 院長、井戸口 理恵 副院長の独自取材記事
いどぐちファミリークリニック
(箕面市/桜井駅)
最終更新日:2025/03/13

箕面市半町の「いどぐちファミリークリニック」は、この地域に長く根差して診療してきた「和久本医院」を継承して開業。井戸口孝二院長は、外科診療に長く携わり、救命救急センターでの経験も通してさまざまな分野に精通。また妻の井戸口理恵副院長は発達障害の専門性を持つなど、それぞれの医師が専門性の高さを持つ心強いクリニックだ。だからこそ専門性の高さを生かしてめざすのは「可能な限りクリニックで完結する医療」。「病気の予防・健康維持を大切にし、健康寿命を延ばせるようにお手伝いします」という医院の理念の実現のため、患者の多種多様な症状についての相談を受けつけ、地域の窓口を担っている。和気あいあいとした明るい雰囲気の2人に、診療方針や患者に対する向き合い方などについて聞いた。
(取材日2025年2月15日)
救急医療での診療経験を地域のために役立てたい
医師を志した理由や、これまでのご経歴について教えてください。

【孝二院長】高校生の頃、進路を考えたときに「子どもたちのために何かしたい」という思いが強く、小児医療で実績のある大学へ進学しました。その後、子どもから大人まで幅広い年齢層の外科診療に携わり、さらに約20年間、救命救急センターで昼夜を問わず重症患者の救急医療に従事しました。24時間365日、命と向き合いながら診療を続けた経験は、現在の医療にも大きく生かされています。
【理恵副院長】大学卒業後、大阪大学の小児がん診療に力を入れている関連病院で、一般小児科や血液疾患などの診療を学びました。私の専門はてんかんや神経疾患で、大阪母子医療センターの小児神経科などにも勤めました。約20年前からは一般の小児科の傍ら、発達障害を中心にさまざまな患者さんを診てきました。
地元での開業には何か特別な思いがあったのでしょうか。
【孝二院長】救命救急センターでの勤務を通じて、病気を早く見つけて早く治療する「予防医学と早期治療」の大切さを実感し、いつかは地域の中でそれを推進できるように自分の経験を役立てたいと思っていました。夫婦ともども医師人生の最後は地元の北摂に根づいた医療がしたいと思っていたところ、ご縁があってこの地に開業することになりました。
【理恵副院長】和久本先生のアドバイスもあり、この辺りにはもともと小児科が少なかったことから、私もここで小児科をすることになりました。幼稚園や保育園、学校も近くにあるので、保育園などで子どもさんが熱を出したら帰りに来院いただくことも多いです。
医院の周辺の地域はどんな印象ですか?

【孝二院長】この地域はご近所付き合いが多く、昔ながらの温かい下町の雰囲気が残っているのが魅力ですね。
【理恵副院長】患者さんはフレンドリーで、礼儀正しくきちんとされている方が多い印象です。また、アドバイスしたことにも熱心に取り組んでくださる方も多いですね。「お隣さんが調子悪いから診てあげて」と連れて来られることも。おじいちゃんおばあちゃんからお子さん夫婦、お孫さんまで、3世代でここに通う方もいらっしゃいます。
0歳から100歳超まで専門の枠を取り払った診療体制
地域のファミリークリニックとしてどのような役割を担っていますか?

【孝二院長】当院は内科や外科の診療を行い、特に血管内治療(カテーテル治療)に力を入れていますが、それ以上に「どんな症状でもまず相談できる窓口」であることを大切にしています。0歳から100歳超まで、けがをしても、急におなかが痛くなっても、とりあえず相談に来てもらえれば診させていただきますし、ここで初期対応をしてから専門の病院をご紹介することもできます。「何科に行けばいいのかわからない」という患者さんが気軽に相談できるような存在でありたいと思っています。
【理恵副院長】自分の判断で専門的な病院に行くことができる人もいますが、そうではない人もたくさんいらっしゃると思います。患者さんが適切な治療を受けられるように、クリニックで的確に判断し、「窓口」としての役割を今後も担っていきたいですね。
外科的な治療もご対応いただけるそうですね。
【孝二院長】下肢静脈瘤や外科疾患をはじめ、当院では専門的な技術を生かし、多くの治療を日帰りで対応できます。また、病院で治療を受けた方の抜糸や消毒なども、小児を含め幅広く対応しています。もともと、救急医療の前線で突然の重篤な状態に直面する患者を診てきたことで、限られた時間や環境の中でも適切な診断・処置を行う力が身につきました。そういった経験を生かし、クリニックでは対応が難しい症例にも幅広く対応することで、大きな病院の負担も患者さんの負担も減らしていけたらと考えています。自分の経験や五感をフルに使って診断・治療にあたり、もちろん病院への紹介が必要かどうかの見極めもしっかりと行いますので、安心してご相談いただければと思います。
小児の発達相談について詳しく教えてください。

【理恵副院長】初診の場合は30分ほど時間をかけて発達歴などをじっくり聞いていきます。その後も何度か診る中でその子に合った育て方を見極められるようにフォローしていきます。まずは、親御さんや学校の先生、周りにいる人たちがその子の特性を理解することが大切です。また、親御さんが悩みを抱え込まないように寄り添うことも大切にしています。不安やお悩みを取りこぼさないよう、一人ひとりに寄り添った診療を続けていきたいです。また、小児科に通えるのは15歳までですが、一人前の社会人になるまでが子育てであり、そこまで来たらやっと「卒業」だと考え、長くお付き合いしながら、お子さんや親御さんと伴走していきたいですね。
なんでも相談できる「よろず相談所」として
医院の理念にもある「健康寿命」についてどのようにお考えですか?

【孝二院長】健康というのは持病のあるなしに関係なく、その人が普通に社会生活を送れるということだと思います。例えば、高血圧の人でも、きちんと薬を飲んで合併症も起こらないよう適切に管理しながら元気に過ごせれば、それはある意味「健康」といえるでしょう。もちろん、そもそも高血圧にならないように食事などに気をつけて予防していくのも大切ですので、市民健診などもできるだけ受けてほしいと思っています。会社などの健診結果をお持ちいただければ、生活習慣病を防ぐための食事や運動についてアドバイスすることもできます。そうやって健康寿命を延ばし、元気に80歳、90歳、100歳を一緒にめざしていきたいですね。
患者さんが話しやすいように工夫していることはありますか?
【孝二院長】患者さんが緊張しないように、ざっくばらんに話して、なんでも聞いてきてくださいという姿勢を大切にしています。また、私に話しにくいことでも女性のスタッフになら話しやすい場合もあるでしょうから、患者さんが話しやすい雰囲気をクリニック全体でつくっています。
【理恵副院長】私自身、話すことが好きなので、患者さんとよく世間話をします。すると何げない会話の中で症状に関する大事な内容を話してくださることがあるので、そうした情報をできるだけしっかり聞き取ることを大切にしています。
今後の展望について伺います。

【孝二院長】患者さんには医院の専門にこだわらずできる限りのことをする。そして、専門的な治療が必要な人にはしかるべきタイミングで病院にご紹介する、という今のスタンスを今後も長く続けていくことで、地域の方々に普段から頼りにしていただけるような存在でありたいです。当院は昔で言う「よろず相談所」みたいなもの。何か症状が出ていきなり大きな病院に予約を取るのが大変な時や、どこの科に行ったらいいかわからない時の第一歩として、気軽に相談していただきたいと思います。
【理恵副院長】小児科に通っていたお子さんが大きくなり、今度はご両親が診察に来られることも増えてきています。地域の方々が気軽に通えるクリニックとして、通院のハードルを下げながら、患者さんの健康を支えていきたいです。