藤永 卓治 院長、朱 庭蘭 さんの独自取材記事
寺川クリニック
(大東市/野崎駅)
最終更新日:2024/12/06
学研都市線の野崎駅より徒歩16分の地にある「寺川クリニック」は、25年以上続いた前医院の院長の急逝を受け、2015年に改称リニューアルし、その後2024年には移転リニューアルを果たした。同院では、各専門分野を持つ常勤・非常勤合わせて4人の医師がセカンドオピニオン・サードオピニオンにも対応可能な診療体制を敷くほか、内視鏡検査やリハビリテーション、デイケアを提供。送迎サービスや、予約不要の予防接種、患者にとって費用的・時間的メリットも望める院内処方を採用するなど、すべてにおいて患者ファーストの姿勢を貫いている。藤永卓治院長、そして前医院時代より医院の運営を支える朱庭蘭(しゅ・ていらん)さんに、同院の特色や患者と接する際に心がけていることなどを聞いた。
(取材日2024年10月31日)
より充実した地域医療実現のために移転
2024年に移転されたそうですね。
【藤永院長】26年にわたり地域健康を守り続けた旧医院「北村クリニック」の北村光生院長がご病気で急逝。そんな中、北村先生のお兄さんの後輩であった私にお声がかかり、2015年より当院の院長を務めています。2024年には、より患者さんにとって通いやすい場所へ移転リニューアルを果たしました。その際、正確な診断や早期発見をめざすべくCTを導入し、さらには、患者さんにとって身近なクリニックでデイケアを受けてていただけるようにとデイケア施設も併設しました。
【朱さん】私は旧医院でも経営に携わり、現在は理事として経営面も含めた医院運営に力を注いでいます。当院が所属する「医療法人光翔会」は、北村先生のお名前を頂戴したものです。地域医療に「光」が差し、多くの人へ広がってほしいと願い「翔ける」という字をあてました。新しく併設したデイケア施設も、多くの皆さんにとって光が差す場所でありたいと考えています。
医院の特色について教えてください。
【藤永院長】当院では常勤2人・非常勤2人の計4人の医師が診療を行っています。泌尿器科や消化器内科、内科などさまざまな専門分野を持つ医師が在籍しているため、セカンドオピニオン・サードオピニオンも気軽に受けられる点が、患者さんの時間的・費用的な負担を軽減するという意味でも最大の特色です。そしてへき地医療を長く経験した北村先生のめざした医療本来の姿である「総合診療」を引き継ぎ、病気だけでなく患者さんの家庭背景や心のケア、ライフステージなどすべてに配慮した診療を行っているのも当院の特色です。
【朱さん】藤永院長は、さまざまな分野、すべての疾患に関して学んでこられた「かかりつけ医」であり、当院の強みです。日々の診療で忙しい中、患者さんのために時間をかけて、さまざまな知識を修得されていることは本当に尊敬しかありません。
地域のかかりつけ医として、予防接種にも工夫されているそうですね。
【朱さん】予防接種では、お子さんはもちろんすべての患者さんがベストな体調の時に受けていただけるよう非予約制にしています。予約制だと体調が優れなくても無理に打ったり、再予約が1ヵ月後になってしまったりなど、患者さんにはデメリットだらけだと考えたのです。在庫管理はコスト面も含めて大変ですが、当院ではいつでも受けられるよう各種薬剤を常時ご用意してお待ちしています。また当院は、アクセス面において便利とは言いがたい地域にあります。そのため、患者さんの利便性を考えて、院内処方を採用しています。ジェネリック医薬品や漢方薬も含め数多くの種類の薬を準備し、必要に応じ取り置きや取り寄せも行っています。
送迎つき内視鏡検査など患者ファーストの取り組みも
どのような患者さんが多いのでしょうか?
【藤永院長】小さなお子さんからご高齢の方まで、全世代の方が満遍なく来られています。主訴もさまざまで、例えば、当院では眼科や皮膚科を標榜していないのですが、目の不調や皮膚のかゆみもまずは診てほしいと相談にいらっしゃることも。総合診療を提供する当院としては、初歩的な診療は行い、必要があれば連携する専門機関にご紹介するようにしています。「まずは寺川クリニックに」という患者さんにお会いする度、私たちに命を預けてくださっているのだなと実感しますね。
送迎サービスもある大腸内視鏡検査について教えてください。
【藤永院長】大腸内視鏡検査は負のイメージが強いものですが、それを少しでも解消できるよう、負担を少なくするための鎮静剤使用や酸素吸入などを導入するほか、若い方からご高齢の方まですべての方を対象に往復送迎を行っています。鎮静剤を使うため、検査後は車や自転車などの運転ができないので、その点でも喜んでいただけるサービスなのではないでしょうか。また、ご自宅で下剤を飲んでいただくので、リラックスしてご自宅で排便ができるのも大きなメリットでしょう。おなかが空っぽになったと感じたらお電話1本でお迎えにあがり、検査後は結果を聞いたらご自宅までお送りいたします。逆に、ご自宅での下剤服用が危険なご高齢の方は、院内で医師の見守りのもと前処置を行います。
土曜日の診療も増え、内視鏡検査も対応しているそうですね。
【朱さん】ええ。当院は月2回程度の休診日のみで、事前に予約は必要ですが、診察時間中はいつでも内視鏡検査を受けていただくことができます。大腸内視鏡検査というと、「40歳前後から始めるもの」とイメージされる方が多いかもしれません。ですが、高校生でも潰瘍性大腸炎が見つかる可能性があります。大腸の検査に恥ずかしさを感じてしまう人も少なくありませんが、いつでも受けられることで、一人でも多くの人の早期受診と重大な病気の早期発見につなげられたらと願っています。もちろん、検査時に病気が見つかった場合は当院で日帰りのポリープ手術も対応可能ですし、大きな手術が必要になるような場合は、迅速に連携病院をご紹介できる体制を整えています。
患者が安心できるよう、丁寧な説明と治療を提供する
リハビリテーションについてはいかがですか?
【朱さん】リハビリテーションには特に力を入れていて、腰椎けん引装置や超音波装置、高周波治療器、レーザー、ウォーターベッドなどを導入しています。リハビリテーションを継続して取り組むことにより、痛み止めや湿布などの減薬にもつなげたいと考えています。それでも痛みが和らがないという患者さんのために、月1回、ペインクリニック担当の医師が診療を行っています。ほとんどボランティアのような形で来てくださる先生で、地域医療への思いに頭が下がる思いです。もちろんリハビリテーションでお越しいただく患者さんも送迎いたします。
患者さんとの接し方で心がけていることはありますか?
【朱さん】旧医院時代から長く勤めているスタッフばかりですから、患者さんの生活背景は知り尽くしているといっても過言ではありません。例えば、認知症は脳の障害である一方で、コミュニケーション不足も原因の一つになり得ると考えます。ですので、その患者さんの得意なことを話題にしたり、冗談を言い合ったりするようにしています。もちろんそうした私生活の話題や雑談を好まない方もいらっしゃると思いますので、患者さんの個性を考慮しながら接するようにしています。
地域の方にメッセージをお願いします。
【藤永院長】地域医療は地域のためにあるものです。地域の方々が何を望まれているのかを一番大切にしながら、皆さんの役に立ち、心の底からの笑顔を見たい。その思いに尽きます。地域に支えられてきたご恩は、しっかり医療でお返しするのが私たちの役目です。今後も患者さんの笑顔をさらに増やしていきたいと考えています。
【朱さん】人生は足し算ではなくかけ算です。医院においては、医師の技術、医療機器、スタッフのこまやかな気遣いなど、さまざまな要素がありますが、一番大切なことは患者さんに寄り添える心と情熱だと思います。それが一つでも“0”ならかけ算では“0”になり、何も役に立たないものとなってしまいます。一方で、持っているものを最大限に発揮できれば最大値が出せるのがかけ算です。今ある資源を一つも“0”にしないように取り組んでいきます。