山田 和紀 所長の独自取材記事
新堂診療所
(富田林市/富田林駅)
最終更新日:2026/02/05
近鉄長野線・富田林駅南口から徒歩約7分の立地にある「医療法人同愛会新堂診療所」は、内科・糖尿病内科・眼科を診療し、長年地域医療を支えている。1960年に開設され、2025年に65周年を迎えた同院で所長を務めるのは、北海道大学医学部卒業後、大阪大学大学院で医学博士号を取得し、糖尿病内科を専門とする山田和紀先生。「地域の健康寿命を延ばしたいです」と語る山田所長は、骨粗しょう症や腎臓疾患などに幅広く対応し、健康寿命の延伸をめざすことを診療の大きな柱としている。広い院内と充実した設備を生かし、地域のかかりつけ医としての役割を担う山田所長に、これまでの歩みと診療への思いを聞いた。
(取材日2026年1月5日)
内科と眼科が連携し専門性を生かす診療体制
2025年に65周年を迎えられたのですね。開設の経緯やその後の歴史を教えてください。

もとは地域のための診療所として開設されたのだそうです。その後、内科の医師が所長を務める体制が続いてきましたが、長い期間同じ医師が在籍するという形ではなく、数年単位で所長が交代する時期もあったようです。私が大学院を修了した時、非常勤医師としてこちらで診療に携わるようになったのですが、ちょうど後継者がいない状況だと知りました。学問の道に進む予定がなかったこともあり、「地域医療に関わりたい」と思い、所長を引き継ぐ決断をしました。一度、別の病院に移っていた時期もあったのですが、診療所の継続が難しくなっていると聞き、再び戻ることを選びました。この富田林で長く続いてきた診療所を守り、次の世代につなげていきたいという思いで、今も日々診療に向き合っています。
現在は内科と糖尿病内科、そして眼科を主軸に据えていますが、その理由を教えてください。
私自身が内科医で、特に糖尿病を専門にしていることが大きな理由です。糖尿病は全身に影響を及ぼす病気ですが、目の合併症が起こりやすいことが知られています。視力に関わる問題は、生活の質に直結しますので、眼科と連携しながら診療できる体制があることは、糖尿病の患者さんにとって大きな安心につながると考えています。以前は小児科や外科、整形外科なども診療していましたが、地域のニーズや医師体制の変化を踏まえ、内科と眼科に集約されていき、現在の形になりました。内科と眼科での情報共有がスムーズにできますから、患者さんが複数の医療機関を行き来する負担も減らせますし、病気の早期発見や継続的なフォローにもつながっていると思います。
デイサービスやケアプランセンターも併設されているそうですね。

長く診療を続けていると、病気そのものだけでなく、生活の中での困難も抱えている方が非常に多いことを実感することがあります。特にご高齢の方は、通院することが難しくなっていったり、骨折や認知症をきっかけに生活が大きく変わったりしてしまうことがあります。そのため、当院では糖尿病や骨粗しょう症、腎臓疾患などの生活習慣病に注力してきた経緯があるのですが、医療だけで健康寿命を延ばすのではなく、介護や生活支援と連携することにも力を入れてきたのです。そこで、デイサービスやケアプランセンターと連携し、医療と介護が切れ目なくつながる体制を整えてきました。当院で行っている通院が困難な方への送迎サービスも、その一環です。地域の方が住み慣れた場所で安心して暮らし続けられるよう、私たちでできる支援を続けていきたいと考えています。
「健康寿命」を延ばすため、生活習慣病の治療に注力
どのようなきっかけで医師をめざされたのですか?

私が医師をめざすようになったきっかけは、子どもの頃の自分の体験にあります。小さい頃から喘息があったので、高校生くらいまで長く発作に苦しんでいました。息苦しさや強い不安を抱えながら通院する中でも、しっかりと私の話を聞いてくれて、丁寧に治療してくださる医師がいて、その存在にとても救われたことを覚えています。また、治療を受けることで症状の緩和を図りながら、日常生活に復帰した経験は、今でも強く心に残っています。実は、北海道大学へ進学し、生活環境が変わったことで喘息も一気に改善していったのですが、病気で苦しむ人の力になりたいという思いはもちろん変わりませんでした。そんな自然な流れの中で、医師という道を選びました。
喘息ではなく糖尿病を専門に選んだ理由を教えてください。
私が大学で学び始めた頃には、喘息などの疾患はすでに治療法がある程度確立されていました。しかし、糖尿病は現在でもまだまだわからないことが多く、研究の余地が大きい分野だと感じたのです。また、患者数が非常に多い点や、生活習慣や日常の過ごし方が病状に大きく影響する点にも関心を持ちました。糖尿病は、目だけでなく全身に影響するような、命に関わるさまざまな合併症を引き起こすことがあり、医師として責任の重い分野ではありますが、その分、治療や指導を通じて患者さんの人生に長く関われるところにやりがいを感じました。研究と臨床の両方に取り組める点も魅力で、学び続けられる分野ではないかと感じたことから、糖尿病を専門に選んだのです。
糖尿病以外に、骨粗しょう症や腎臓疾患などの生活習慣病にも注力されていますね。

糖尿病は全身に影響を及ぼす病気で、合併症によって生活の質や健康寿命が大きく左右されます。長く診療を続ける中で、目が見えにくくなるなど、日常生活が制限されてしまう方を多く見てきました。骨粗しょう症の場合は、骨折をきっかけにそのまま寝たきりになり、認知症が進んでしまうケースも少なくありません。そうした現実を踏まえ、日本骨粗鬆症学会が推奨する骨密度検査の機器を取り入れ、できるだけ精密な診断と治療を行うようにしています。腎臓疾患についても、近年は治療薬の選択肢が増えており、早い段階から介入することで進行を抑えることが期待でき、人工透析に至るまでの期間を延長できることが望めるようになりました。生活習慣病を予防するための食事や運動だけでなく、薬物療法も含めて無理のない治療を提案し、元気に生活できる時間「健康寿命」を少しでも延ばすことをめざしています。
日常を大切にする姿勢を診療の土台に
休日の過ごし方や先生ご自身が健康のために取り組んでいることを教えてください。

休日や診療の前後は、妻と一緒に食事に出かけたり、ゆっくり話をしたりして過ごすことが多いですね。少量ではありますが、お酒なども楽しみながら、気持ちをリラックスさせる時間を大切にしています。時には旅行に出かけることもあり、日常から少し離れることで気分転換を図っています。健康面では、医師として患者さんに生活指導を行う立場ということもありますから、自分自身の体調管理にも気を配っていますね。食事の量や内容には特に注意していて、患者さんにお伝えしている基準を、自分でも意識して実践しています。医師自身が健康でいることが、患者さんへの説得力にもつながると思っていますので、無理のない形で続けることを心がけています。
どのような目標を持っていらっしゃいますか?
壮大な目標を抱く……というよりも、今取り組んでいる診療を丁寧に積み重ねていくことが一番大切なのではないかと考えています。地域の方ができるだけ長く、自分の足でしっかりと歩き、おいしいものを「おいしい」と感じながら、人間らしい生活を送れるよう支えていきたいです。そのために、糖尿病をはじめとした生活習慣病や骨粗しょう症、腎臓の病気など、健康寿命に関わる分野を総合的に診療することでサポートし続けていきたいと思っています。医療の進歩によって、できることも年々増えてきていますので、新しい知見にアンテナを張り、できる限り取り入れながら、地域の方々に還元していく……その積み重ねが、結果として地域全体の元気につながればうれしいですね。
地域の方々や読者へのメッセージをお願いします。

糖尿病の治療は1つの方法だけではなく、患者さん自身の状態や生活スタイルに合わせてさまざまな治療法の選択肢があります。また、当院には内科と眼科がありますから、幅広い提案ができることが強みだと考えています。今後はさまざまな生活習慣病やがんの原因となる肥満治療も頑張っていきたいと思います。ご自身の体のことで、少しでも気になることがあれば、早めに相談していただければと思います。早い段階で体に向き合うことで、私たちと一緒に健康寿命を延ばすことをめざしましょう。

