中村 道子 院長、花谷 望都子 副院長の独自取材記事
中村医院
(茨木市/JR総持寺駅)
最終更新日:2025/06/13

JR京都線・JR総持寺駅からバスで10分、近鉄バス・太田停留所下車すぐにある「中村医院」。昭和初期から地域に根差した医療を提供してきた歴史ある医院で、現在は初代院長の孫である中村道子院長が小児科を担当し、中村院長のいとこである花谷望都子(もとこ)副院長が内科を務めている。周辺地域は幅広い世代が住んでいるため、小児科と内科がそれぞれ専門性高く診療しながらも、家族全員を診るファミリークリニックが必要として医師2人体制で診療をリスタートさせたという。「アットホーム以上の和気あいあいとした医院です。医療面だけでなく、生活面でも患者さんにとって身近な存在となれれば」と語る中村院長と花谷副院長に、同院の診療方針や診療体制について話を聞いた。
(取材日2025年5月26日)
小児科と内科の二診体制で新たなスタート
こちらのクリニックは100年近い歴史があるそうですね。

【中村院長】私の祖母が開院し、昭和初期からこの場所で医療を提供してきました。当初は産婦人科、小児科、内科を標榜していましたが、母が継いだ時に産婦人科を外し、小児科と内科を診るようになったと聞いています。現在は私が小児科、花谷副院長が内科を診療しています。
【花谷副院長】私たちはいとこ同士。こちらの医院は私も小さな時から知っています。今でも開院当初からの患者さんが通っていらして、中には4世代そろって通院してくれているご家族もいます。それだけ信頼してくれているのかと思うと、本当にうれしく、また改めて気が引き締まる思いです。
ご継承のタイミングで医師2人体制にされたそうですね。
【中村院長】現代の患者さんの多くは、専門性高く診てもらうことを求めておられるかと思います。私自身、長く小児科の医師として勤めて専門性を高めてきましたし、きちんと患者さんと向き合っていくには、内科は専門とする方にお任せしたほうがいいと思って、花谷副院長にお声がけをしました。
【花谷副院長】声をかけていただいた時、基幹病院で膠原病内科の医師として勤務しておりました。いずれは地域医療に携わり、「町のお医者さん」になりたいと思っていましたので承諾しました。周辺は駅を中心に新しい住宅地が広がってきている一方で、少し離れるとまだまだ畑があって昔からお住まいの方も多い地域です。新旧の世代を支えるためにも、これからは医師2人体制で、2人の思い出の地域に医療を通じて恩返ししていきたいと考えています。
小児科と内科があるメリットは?

【中村院長】ご家族皆さんで安心して通っていただける点でしょうか。お子さんが風邪を引くとご家族にもうつりやすいです。当院であればご家族まとめて一緒に診察することができます。また、お子さんが成長してからも、かかりつけ医院を変える必要がないため、長年の信頼関係を大切にしながら、安心して通院を続けていただけるかと思います。
【花谷副院長】ご家族皆さんで通院いただいているので、お子さんの診療で来た娘さんに「おばあちゃんがこんな具合なんです」と、他のご家族の相談を受けることも少なくありません。「ちょっと心配だけど、医療機関にかかる必要があるのか不安」と考えられている方も多いと思います。遠慮なく聞いていただき「いつでも相談できる場所がある」と、地域の皆さんが安心して暮らせる一助になっていればうれしいですね。
相談相手になって、患者と家族に寄り添う
常にアップデートを心がけておられるとか。

【中村院長】昔ながらの診療所といった雰囲気は残っていますが、2人とも最近まで総合病院で勤務していましたし、検査機器などはいくつか新しく導入しました。医師が2人いることで、診療方針をしっかり相談・確認しながら進められるので、患者さんにも安心していただける体制です。診療科は違えどともに切磋琢磨しながら、より良い治療をできるだけ早く患者さんに届けていきたいと考えています。
【花谷副院長】一方で、これまでの診療スタイルを変えていないところもあります。院内でお薬手帳を拝見することで、きちんと用法・用量を守って飲めているかも気づきやすいですし、他の医療機関で処方されたお薬との飲み合わせも考慮できる面もあります。
中村院長は、診療時にどのようなことを大切にしていますか?
【中村院長】お子さんやご家族から悩みを引き出し、質問に対して的確に答えることを大切にしています。また子育て中はお悩みが多いもの。病気のことだけでなく、発達、離乳食の進め方、スキンケア指導、ご家族の健康状態など、あらゆる相談相手になるのも小児科の大事な役割です。またそういった一見すると何でもない相談が気軽にできるのも当院の魅力です。「診療のついでに鼻の吸引をしてもらえた」「予防接種のスケジュール確認ができた」とか、何か一つでも「ああ、来て良かった!」と思ってもらえるように心がけています。また、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患などにも対応しています。食物アレルギーでは血液検査のみでは判断せず詳細な問診を行いプリックテストなども行います。アレルギー性鼻炎では舌下免疫療法を、アトピー性皮膚炎では注射製剤など比較的新しい治療も取り入れています。
花谷副院長は、診療時にどのようなことを大切にしていますか?

【花谷副院長】内科の医師は、患者さんと長く付き合っていくことが大前提なんです。単なる診療に止まらず、社会背景や生活環境にまで寄り添って診療していくことを大切にしています。例えば、介護が必要であれば、相談先をご紹介したり、一緒に申請を手伝ったり。また健康って、病気を治すことだけでなく、つくっていくこともできますよね。例えば、高齢で高血圧、糖尿病、脳梗塞の既往などの患者さんには、普段の食事や治療、運動方法など本人へのアドバイスをお伝えし、ご家族さまにも参加していただけるように日頃から心がけています。早期から患者さんの健康管理に介入し、将来的に病気で困らないようにということを意識して診療しています。
クリニック一丸となって、地域の健康を支えていく
本当にアットホームなクリニックなのですね。スタッフさんの力も大きいとか。

【中村院長】母の代からもう10年以上勤めてくれています。お2人とも、ご自身が子どもの頃からここに通ってくれていた患者さんでもあるんですよ。私たち以上に患者さんの病気や家族構成を把握してくれていて、診察前に患者さんのお悩みや不安を聞き取っていてくれるので、スムーズに診療できているのはお2人のおかげですね。
【花谷副院長】患者さんが頑張った時には、「よく頑張ったね!」って褒めることを大切にしているんですが、その時もみんなで拍手して喜ぶんです。誰の患者さんとか医師とかスタッフとか関係なく、4人で患者さんを支えているって感じです。
お互いの長所や尊敬できるところを、教えてください。
【中村院長】花谷副院長は、本当に丁寧に患者さんのお言葉を聞き取っています。そんな花谷副院長だから適切な治療ができるのだと思いますし、患者さんをずっと支えていこうという覚悟も感じます。
【花谷副院長】中村先生は、診療が早くて適切ですね。やっぱり小さなお子さんって、じっとしていられないし、親御さんも忙しいと思います。そんなお子さんへの対応をしつつ、親御さんとしっかりお話をしていて、さすがの手際の良さだなと感じています。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

【中村院長】何かお困り事があれば、いつでも当院に来てください。より専門的な対応が必要な場合は、地域の医療機関をご紹介いたします。行ったことのない医療機関に行くのが不安という人もいるでしょうが、不安なことを傾聴した上で、安心していただけるようにサポートします。受診後に検査や治療の内容でわからないことがあれば、改めて当院でご説明させていただきます。
【花谷副院長】病気の治療ということだけでなく、健康の下支えができればと思っています。身近な存在としてライフステージに合わせてアプローチしていきますので、困ったことがあればまずはご相談ください。これからも変わらず、地域のお力になっていければと思っています。