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井上 美佐 院長の独自取材記事

北原医院

(守口市/大和田駅)

最終更新日:2025/03/03

井上美佐院長 北原医院 main

大阪府守口市にある「北原医院」は、開院から60年以上、2代にわたり地域医療を支えてきた。院長を務める井上美佐先生は、2008年からは、膠原病・リウマチ・感染症などの診療に力を入れる。新型コロナウイルス流行時には、早い時期から感染症の外来を設置。遠方からの患者や発熱している患者を受け入れるなど真摯に対応した。「診断をあいまいなままにせず、原因を突き詰める」をモットーとしたその姿勢は、患者からの信頼を集めている。院長自ら認知症カフェを立ちあげるなど、地域の交流の場づくりにも積極的に取り組む。

(取材日2025年2月7日)

免疫学の研究医から実家の後を継ぎ、臨床医に

60年以上の歴史がある医院ということですが、後を継ぐことは医学部入学時から決めておられましたか?

井上美佐院長 北原医院1

いいえ。もともと私は研究医をめざしていました。和歌山県立医科大学卒業後、大阪大学大学院第三内科を修了しました。今の呼吸器・免疫内科学教室ですね。当時の免疫学分野ではステロイド治療など、免疫を抑制することに重点が置かれていたのですが、一方、臓器移植では免疫を寛容にして、他者の臓器を受け入れることが重要となります。それらの仕組みや、免疫反応を調節するHLA(ヒト白血球抗原)の発現やコントロール機構を解析したり、抗体産生が病気を引き起こすメカニズムと制御方法を研究したりしていました。昔からそういうパズルが好きといいますか、類推からパズルのように論理を組み立てて仕組みを解明していく、ということが面白く、親には「医院は継がないからね」と公言していました。自分は基礎研究をずっとやっていくんだ、と当時は思っていましたね。

どのような経緯で医院を承継されたのでしょうか?

先代院長が病気になったことがきっかけとなりました。当時、私は近畿中央病院に勤めていたのですが、退職して入院中の一時的なヘルプのつもりで戻ってきました。先代院長は当初「閉院する」と言っていたのですが、閉めずに戻って続けられるようにしておこう、という思いでした。それまでも、勤務の傍ら週1回、超音波検査の読影に来ていたので、医院の雰囲気や患者さんの様子もわかっていましたから、患者さんたちもスムーズに受け入れてくれたのだと思います。先代院長が退院してしばらくの間は2人体制で診療を行ってから、「北原医院」の名を継ぎ、院長として医院を継承しました。

先代の院長の時と比べて、診療内容はどのように変わりましたか?

井上美佐院長 北原医院2

先代院長は外科出身だったので、私が小学生の頃までは手術ができる設備がありました。そこから一般内科中心となり、「超音波検査をやりたい」と言うので私が週1回通うようになったのです。その後、私が院長になってからは、それまでの専門を生かして、膠原病やリウマチといった免疫系の疾患も診るようになりました。リウマチなど免疫系の疾患の治療ができる医院は多くないので、基幹病院や中核病院から紹介して来院される患者さんも一定数います。他に変わったことといえば感染症の外来ですね。新型コロナウイルスが流行しだした頃に専用の検査ブースを作るなど、患者さんたちが安心できるような地域医療の提供に努めました。

逆に変わらず受け継がれていることはありますか?

地元の方々とのつながりは変わらないですね。ご家族で通う患者さんが多く、それは先代院長から現在まで変わりません。幼い頃は、医院の敷地内に自宅もあったので、私の幼い頃を知る患者さんも少なくありませんでした。あとは、薬が院内処方であること。患者さんの経済的、身体的な負担が減らせると思いますし、医師としても責任を持って処方した薬を管理できるという点でメリットがあると思います。やはり血圧を下げるための薬と一口に行っても、例えば脈の速いケースはこの薬、それとは違う血圧のケースならこれ、というように処方を考えますからね。コミュニケーションが取れている関係性の中で薬を管理できるので、院内処方は変えていません。

地元密着型の医院として、地域に貢献したい

地元密着型の医院として、力を入れていることはありますか?

井上美佐院長 北原医院3

情報発信を積極的にし、情報交換や交流の場を提供できるようにしています。例えば、医院の待合室にはモニターで毎月、季節の健康に役立つ情報を発信しています。以前は私が手書きした壁紙新聞のようなものを貼っていたのですが、それを見た業者の方に提案いただいて導入しました。健康に関する情報は私がパソコンで作成し、心に響く格言などをピックアップして流しています。私は医院の隣地に集いの場を設けており、それらの情報も発信しています。

認知症の外来も行っているそうですが、その背景を教えてください。

精神科の専門ではありませんが、月1回認知症の外来も行っています。認知症の予兆がある方で、自ら認知症の検査をしてほしい!という方は少ないと思っています。そんな中でどのようにそういった患者さんやご家族に無理なく来院していただくかを考えた時に、一番距離の近い内科の医師が第一段階として地域でスクリーニングをできたらいいと考えました。そのために、基本的な認知症のガイドラインを勉強し、地域でサポートできるようにしたんです。いきなり大きな病院に連れて行くことに抵抗があったり、連れて行くとなるとご家族の負担も大きくなるため、少しでも患者さんと近い距離にあるクリニックで診られたらと。もちろん、必要に応じて専門的な病院なども紹介しています。

地域の方々と一緒に治すというスタンスで治療をされているのですね。

井上美佐院長 北原医院4

まず大事なことは、病気の治療というのは自分の体の状態を正しく理解をしていなければ治療がうまくいくものはありません。お医者さんだけが頑張って治すものではないということです。なので、自分の状態や対処法を理解してもらえるように説明することを大切にしています。例え話をすることで、患者さんが身近なものでイメージしやすいお話をするようにしています。例えば、下痢の方に「水分をしっかり取ってくださいね」と言うだけではなく、「一気に吸収ができないので、1回につき3口くらいを目安に飲んでくださいね」と伝えます。それでも首をかしげる人がいたら、「植木鉢に水をたくさんあげると流れ出てしまうのと同じで、腸も一気に吸収ができないから少しずつ摂取することが大事なんですよ」となるべく具体的にお伝えします。必要な知識を提供して、二人三脚で患者さんと一緒に治していったり、いい状態を保って行くことが私のスタンスなんです。

医学の知識を常に更新し、病気と正面から向き合う

「継ぐ気はなかった」とのことですが、臨床医として今はどのように医療と向き合っておられますか?

井上美佐院長 北原医院5

結果的に私にとっては、どちらも同じやりがいを感じています。例えば、発熱で来院する患者さんの中には、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ以外の疾患の方も当然、混じっています。それらをきちんと診断するには、幅広い視野を持ち、初めから決めつけないことが重要。もちろん検査キットは使いますが、それ以前の問診、視診、聴診でアタリをつけ、検査結果はあくまでそれを確認するものという考えです。「ただの風邪」と言われたが、実はマイコプラズマ肺炎だったとか、腰に痛みがあり変形性脊椎症と診断されたが後から腫瘍が見つかったなどといったケースはありますからね。とにかく違和感を見逃さず、原因を突き詰めるようにしています。結果的に研究も臨床も同じ。原因がわかったときは胸がすく思いです。ただし、臨床は人間が相手なので、診断は突き詰めるけれど、治療については本人の意志を尊重します。

診断を突き詰めるために日頃から心がけておられることはありますか?

常に知識はアップデートするようにしています。毎年夏休みに、トレーニング問題に取り組んでいるのですが、その問題を解くために専門外の知識も取り入れるようにしています。例えば、普段の診療ではCTの読影はしませんが、テストに回答するためには調べて勉強するしかない。専門領域では勉強会にも参加し、スキルアップは常に意識しています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

井上美佐院長 北原医院6

何か不調を感じたら、「年だから仕方ない」と思わず、遠慮なく相談に来てください。「診断を受けたのだけれど、違う気がする」というご自身の違和感も大切にしてください。診断をあいまいにせず、原因を追求するのが当院のモットーです。不調の原因というパズルを解くことで、患者さんが元気になってくれたら何よりうれしいことです。「こんなこと相談していいのかな?」と思わず、気軽に来てください。

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