渡邊 尚代 院長の独自取材記事
中村耳鼻咽喉科
(高槻市/富田駅)
最終更新日:2026/02/25
真摯に医療に取り組む母の姿に抱いた尊敬の念、それが子どもの頃から医師をめざしたきっかけだったと話す渡邊尚代院長。その母から患者を託され継承後、現在の場所へ移転し14年を迎えるという「中村耳鼻咽喉科」は、阪急京都本線・富田駅から徒歩15分ほどの場所にある。大学院に通いながら診療と子育てにも奮闘。気力・体力を要する中、免疫学の学位を取り、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医の資格も取得した。常人には及びもつかないバイタリティーと信念の持ち主だ。「最近やっと一人ひとりにじっくり向き合う診療ができるようになってきた」と、真っすぐな瞳で語る渡邊院長に、これまでの経緯や医院の診療について話を聞いた。
(取材日2018年9月7日)
「お前に頼むから」カルテに託された母の想い
早くから医療の道をめざされたそうですね。

耳鼻科の医師だった母を見ながら育ち、12歳の時にはすでに志すようになっていました。当時は男女雇用機会均等法などなく女性の就職難が続いていた時代です。歯科医師であった私の祖父は娘を医師にすると決めて育てたようで、母の姉たちも医師になっていました。女性の社会進出が厳しい頃に、医師という職業に就いていた母や叔母たち女傑ぞろいの中で育ちますと自立心も旺盛になりますね。中高と学校は京都の同志社女子校に通い、母たちが通った大阪女子高等医学専門学校、今の関西医科大学に入ります。卒業後すぐは教授に無理をお願いして8ヵ月間小児科を診させてもらい、その後、耳鼻咽喉科での研修に入り、扁桃腺や甲状腺、副鼻腔の手術なども担当し研鑽を積みました。出産を機に大学院に入学し、免疫学、つまりアレルギーについての勉強を始めました。
その後、医院を継承されたのですか?
母が突然体調を崩し、間もなく他界したのは大学院で学んでいた頃でした。私は一度も診療に入れないまま患者さんのカルテと医院を引き継ぐことになりました。勤務医をしながら大学院に通い、子育てもあったので全診療時間を開けることはできず、半分は休診せざるを得ない状況でしたが、やっぱり続けていた研究は必要だったと今でも実感しています。患者さんの症状の原因と結果、適切な治療法を検討するにあたって脈絡立てた考え方ができますから。そうした一連の流れがつかめることにより「見逃しのない的確な診療・診断」につなげていくことができるのです。
医院名はそのままで今の場所に移転されたのですね。

前の医院は老朽化が気になっていましたから。そして選んだこの場所は偶然にも3科の診療所が集まり医療モールになりましたので、それぞれに動物キャラクターを設けて関連性を持たせました。隣の歯科はクマ、上の階の皮膚科はネコ、当院はうさぎです。ここに来て14年、母から「お前に頼むから」と託された患者さんの診療を続け、まだ小さかった子たちが結婚してお子さんを連れて来てくれるようになり、今は開業医ならではの喜びを感じさせてもらっています。
生活背景を知るための丁寧な問診が疾患要因を解明
アレルギー科も標榜されていますが、どういった患者さんが来られますか?

春先に鼻がムズムズするからと来院される方のほとんどは、ご自分の症状をアレルギー性鼻炎、花粉症だと思われているのですが、実は違っていることがあります。それは環境の変化により引き起こされるアレルギーに極めて似た症状で、例えばPM2.5や黄砂の影響で、アレルギー性鼻炎や花粉症とまったく同じような症状が出るのです。だからそれまで他院で抗アレルギー薬を処方してもらっていたけれど効かなかったという場合、検査をすると原因は花粉でもアレルギーでもないことがよくあります。4~5月の黄砂の時期やPM2.5に対してご家庭で気をつけてほしいのは洗濯物を外に干さないこと。他にも、予防・対策として生活スペースを整える必要がある症状、ダニアレルギーをお持ちの方などにも、総合的な生活環境の改善としてお勧めする「三種の神器」があります。
三種の神器ですか? ぜひ教えてください。
良い空気清浄器、掃除機、ダニを寄せつけない布団やクッションカバーの3つです。ダニアレルギーをお持ちの方はほこりアレルギーも持っている割合が高いですし、PM2.5などの大気汚染対策にもなりますから、空気清浄器はまず備えるといいですね。あと、咳が止まらないなどの原因の一つになりますので、家庭内での化学物質の使用も控えていただきたいところです。こうした生活環境が要因となるものについては、丁寧に問診を重ねていくことでわかってきます。生活背景を知って症状を引き出していく。すると思ってもみないことが浮上し解明につながっていきます。その要因となるものを引き当てた時は、とてもうれしいですし、やりがいを感じる瞬間でもあります。
これまで印象に残る患者さんはいらっしゃいますか。

アレルギー性鼻炎と喘息、そして鼻の中には常に鼻茸(はなたけ)が充満していて蓄膿症(副鼻腔炎)も抱えておられる本当につらい状態の方がおられました。子どもの頃に蓄膿症の手術をされたのですが治ることはなく、術後、においを感じることもできなくなったそうです。その患者さんの診療を通して、副鼻腔炎の治療だけでなくアレルギー治療も併用することの大切さを教えていただきました。
ストレスが体に及ぼす影響を軽んじないことが大切
風邪をひくと内科と耳鼻科で迷いますが、アドバイスはありますか?

特に風邪をひいた後の注意が必要なので、治りかけには一度耳鼻科を受診してほしいですね。風邪で鼻を悪くしたことが原因で知らないうちに副鼻腔炎になっていることがあるのです。風邪の後に粘液がたまりやすい箇所は頬の空洞の部分で、そこは自覚症状がありません。そのために炎症を起こした粘液がずっとたまったままになり、変な咳が続いたり痰が増えたりします。痰が体に流れ続けて良いことはありませんし、副鼻腔炎は喘息を発症しやすいですから、長引く咳のときは内科で胸のエックス線写真を撮った上で、耳鼻科に来ていただきたいですね。風邪は治りかけが肝心です。
お子さんへの診療に工夫があるそうですね。
褒めたほうがいい子もいれば、泣いちゃってどうしようもなくて治療はまた今度という子まで千差万別ですが、気持ちを切り替えて出直してもらったほうが結果的に良いケースもあります。子どもにとって病院は怖いところですから。だけど年の近い子が平然と治療を受けているのを見て、私も大丈夫だと思うきっかけになることもあります。それで時々「怖くないよ」っていうところを見せてあげてほしいとお母さんにもお願いして、先に治療を済ませた子どもさんにモデルになってもらうのです。大人が「怖くないよ」と言うよりはるかに効果的で良い連鎖が生まれます。
リフレッシュできる趣味はありますか?
膝の調子が優れないこともありここ最近は様子を見て休んでいますが、子育てを終える頃に始めた社交ダンスがいいリフレッシュになります。3歳から18歳までずっとバレエを習っていたので踊ることは好きなのです。今通っているスクールは女性ばかりなので、私が男性役も務めているんですよ(笑)。面白いことに男性役を担当すると女性役がわかりやすくなるんです。パートナーが何を要求しているのか、気持ち良く踊れるようにくみ取りながら呼吸を合わせてリードしていきます。やはりサポートは得意なのかもしれませんね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

年齢に関係なく気をつけていただきたいのは、ストレスです。リラックスを心がけるようにアドバイスしながら、お薬は不安感を抑えるためのものを処方するのですが、ストレスが人の体にいかに影響を及ぼすかがよくわかります。ですから、仕事も家庭もと過重労働になりがちなお母さんには、手を抜けるところは抜いて頑張りすぎないように心がけてほしいですね。 感染症の流行で、受診をためらう方もいらっしゃるかもしれませんが、当院では感染予防用の人体に無害な紫外線照射装置を設置しております。これのおかげで、飛沫感染ウイルスのみならず、耐性菌も防御しています。感染症対策もしっかり行っていますので、気になることがありましたらお越しいただきたいと思います。

