松本 有史 院長の独自取材記事
松本医院
(高槻市/高槻駅)
最終更新日:2024/06/06

JR京都線・高槻駅から徒歩2分にある「松本医院」は、約40年の歴史あるクリニック。開業当初からステロイドを使用しないアトピー性皮膚炎の治療に取り組み、リウマチや気管支喘息などステロイド治療の適応がある疾患についても、ステロイド以外の選択肢を用意し、数多くの症例に取り組んできた。2019年に院長に就任した2代目の松本有史先生が「根本治療に特化している医院」と語るように、同院は患者の治療への“覚悟”を問う医院で、「自分の体は自分で治す」という気概を持った患者のみが通う。「私自身が患者になった時に受けたい治療のみ行い、受けたくない治療は一切しない」と断言する松本院長に、診療理念や病気への考え方、同院の生活習慣改善に向けた指導について語ってもらった。
(取材日2024年5月15日)
アトピー性皮膚炎の根本治療をめざす
クリニックの歴史や特色について教えてください。

約40年前に実父である先代の院長が開業した当院は、ステロイドを用いないアトピー性皮膚炎治療の専門医院としてスタートしました。そこから関節リウマチや気管支喘息など、ステロイド治療の適応がある他の疾患の患者さんも徐々に増え、さまざまな症例に対してステロイド以外の選択肢を用意し、根本治療を追求し続け、現在に至ります。私は、2013年に当院に副院長として入職し、2年勤務した後に大阪大学大学院へ。免疫学の研究に4年間従事した後、2019年に当院に戻り院長に就任しました。現在もアトピー性皮膚炎を中心に、リウマチや喘息の他、さまざまなお悩みに対応する医院として幅広い世代の方の治療に取り組んでいます。
診療理念を教えてください。
「自利即利他」です。「自利」とは自らの悟りのために修行し努力すること、「利他」は他の人の救済のために尽くすこと。「自利即利他」は、自利と利他を同時に実践することで豊かな人生を送ることができるという仏教の教えであり、その精神のもとで診療を行っています。ですから私は「患者さんのために治療をする」という言い方を好みません。すべては私のためにやっていることであり、私が受けたいと思える治療のみを提供しています。私は自分が受けたくない治療は一切しないという方針で、使う必要のない薬はできる限り使いません。そのような信念の治療を提供することで患者さんにも喜んでいただけて、それが巡って私のためになるという考えがベースにあります。この理念を当院で治療をされる患者さんにもしっかりとご理解いただきたいと思っております。
こちらを受診する際にはどのような心構えが必要なのでしょうか。

第一に「自分で治したい」という思いがあるかどうかです。それまで使っていたステロイドをやめると、症状が増悪する恐れもあります。しかし、それを乗り越えて根本治療をめざすためには、ご自身の体づくりを考え、生活習慣や環境も大きく改善しなければなりませんが、その困難な道のりをご自身で乗り越えようという気概がなければ、当院での治療は続かないでしょう。医師や薬に頼らずに自分で治したいと心から考えている人とのみ、根本治療に取り組みたいと考えています。例えば、アトピー性皮膚炎で肌のかゆみを抑えて「症状がなくなって良かった」という治療でいいのなら、他の医療機関を受診されるといいでしょう。この考えはリウマチや喘息など他の疾患でも同じで、徹底して根本治療をめざしたいという方に受診していただきたいですね。
生活習慣、環境、メンタルなど多角的な視点でサポート
生活習慣や環境の改善についての指導とはどのようなものですか?

当院の診療は、生活習慣、生活環境の「コンサルティング」をすることにとても重きを置いています。例えば、当院でお勧めしている食事を紹介する他、運動、睡眠、対話や助言によるメンタルケアなど、何か一つに特化するのではなく、さまざまな観点から体全体のバランスを保ち、改善していくための指導を行っています。環境面でも、季節により屋内外の温度差や湿度差が大きく、こうした過酷な変化は皮膚に与える影響はとても大きいんです。なるべく自宅の環境を一定に保つようにお伝えし、リフォームの際には断熱材を使用する、トリプルサッシにするなど住環境のアドバイスも行っています。患者さんには、生活習慣・環境を改善することなく根本治療はかなわないことをまず理解していただきます。
患者さんに必ずお伝えしていることはありますか?
初診で来院された方に必ずお話ししているのが、「医師や薬が病気を治すわけではない」「病院に行って病気が治るわけではない」ということです。当院に来られる患者さんは免疫が落ちている人しかいないといっても過言ではないほどですが、根本治療をするためにはご自身の免疫力を高めていく必要があります。まずは免疫力が落ちる原因が何なのかを対話の中から突き止め、その原因にアプローチして改善へとつなげられるよう努めています。また当院は、出された薬を飲んで終わり、飲み終わったら薬を取りに来るだけの医院ではありません。ご自身の体づくりを学んでいただく場として機能できるよう、参考書籍や資料などをご用意し、自由にお読みいただける環境を整えています。
漢方の利点はどんなところにありますか?

漢方医学では、生命活動を維持するための要素である「気・血・水」で健康が保たれていると考えられており、漢方治療ではその「気・血・水」のバランスを整えることを重要視します。また、同じ症状に対しても、漢方薬の選択肢は一つではありません。症状や病態、体内環境など、その人の状態を診ながら処方することができるバリエーションの豊富さは、漢方薬の大きなメリットだと考えています。当院では主に煎じ薬を取り扱っており、ほぼすべての種類が保険適用となります。また希望される方には粉薬をお出しすることも可能です。
「自分の力で病気を治したい」その思いを徹底サポート
最近、増えている症状などはありますか?

明らかに増えていると感じるのは、風邪をひいた後の長引く咳を訴える患者さん、咳喘息の方です。特に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まってから、感染後に咳が続くという方は増えましたね。免疫力の低下が原因だろうと考えていますので、アトピー性皮膚炎治療と同様に、力を入れて取り組みたいと考えている分野でもあります。また、新型コロナウイルスの流行下においては、ワクチンに関することも含め、素早い情報発信に努めてきました。こうした情報収集力や発信力は当院の強みの一つでもあります。今後、もし新たなパンデミックが起こったとしても、最新の情報や病気への備えなどを患者さんに提供をしていければと思っています。
医療の在り方もどんどん変化しています。
これからの時代の医療は、必要最低限のコンビニ的対応と、体づくりのためのコンサルティングなど個別の医療・指導を行うテーラーメイド対応の二極化が進むと考えています。当院でも「AI問診票」を導入しておりますが、それに頼り切るわけではなく、問診から得られた背景から改善点を見出しています。将来的にはさらに進化し、診断から処方までAIが行う時代が来る、いえ、もうすでに来ているのかもしれません。薬をもらって飲んで終わりならAIで事足りるわけです。しかしそれは根本治療にはつながらないと考えています。私は、今後どのような時代が来ても現在のスタンスを守り、根本治療をめざせる場所であり続けたいと思っております。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

今後さらに注力していきたいと考えているのが、原点に回帰した、ステロイドを用いないアトピー性皮膚炎の治療です。もちろんアトピー性皮膚炎に特化するわけではなく、その他の疾患に対しても、これまで40年にわたって積み重ねてきたステロイド以外の選択肢も加味した治療のノウハウを活用しながら、さらに進化させ、一人でも多くの患者さんに還元できたらと思っています。ステロイド以外の治療法を試したいけれど、診てくれる医療機関がないなど、困っている患者さんはたくさんいるでしょう。この高槻エリアだけでなく、北海道から沖縄まで、全国各地にいらっしゃるステロイドを使わない治療を望むすべての方にお越しいただけたらと思います。当院は「ご自身で病気を治したい、そのためのヘルプをしてもらい」という方のための医院です。そこをご理解の上、ご来院ください。