命の危険にもつながる生活習慣病
重症化を予防して健やかな人生を
松村内科クリニック
(堺市東区/初芝駅)
最終更新日:2025/03/21


- 保険診療
本人の自覚がないまま進行し、やがては生命のリスクにまで進展する可能性のある高血圧症や糖尿病。かつては成人病と位置づけされていたが、単なる加齢によるものではなく、食習慣や運動習慣、喫煙、飲酒など、その人の普段の生活が大きく関与することが現在は周知されつつある。こうした生活習慣病のリスクを重視し、診断や治療に力を注ぐ一人が「松村内科クリニック」の紙森公雄院長。生活習慣病はどのようにして起きるのか、どのような方法でリスクを回避すればいいのか、日本循環器学会循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医の立場から、そのメカニズムや改善方法などを詳しく解説してもらった。
(取材日2024年12月18日/更新日2025年3月17日)
目次
受診によって自分の体の状態を知り、早期のうちに対策していくことが健康寿命を延ばす第一歩
- Q生活習慣病とは、そもそもどのような病気ですか?
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A
▲丁寧な口調で説明してくれる紙森院長
生活習慣病とはその名が示すとおり生活習慣によって引き起こされる病気の総称で、代表的なものとしては高血圧症や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などが挙げられます。いずれもありふれた病気で自覚症状が乏しいことが特徴ですが、人によっては動脈硬化が進んで狭心症や心筋梗塞といった心臓病、あるいは脳卒中などの脳血管障害などを発症。生命や将来的な健康寿命を縮めるケースもあるため、決して軽んじるべきではありません。年齢に関してはやはり中高年以降が中心で、特に動脈硬化性の病気は男性に多いといわれています。ただし年齢を重ねると男女差はなくなる傾向にあり、女性も閉経後は生活習慣病のリスクが高まるので注意が必要です。
- Q生活習慣病の原因を教えてください。
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A
▲生活習慣病が引き起こすさまざまな病気の予防と治療を行う
高血圧の一番の原因となるのは塩分の過剰摂取で、脂質異常も食べすぎや高カロリー食などが原因の一つ。つまりは食生活が影響していると考えられます。もちろんその人の体質もあるので原因は食だけとは限りませんが、少なくとも関与していることは間違いありません。糖尿病に関しても後天性の2型は肥満が原因であるケースが多く、多くの場合は高血圧や脂質異常、糖代謝異常などによってインスリンの働きが低下するインスリン抵抗性と呼ばれる状態が引き金となっています。肥満症やメタボリック症候群の主な原因は過食や運動不足といった生活習慣にありますから、糖尿病が生活習慣病と呼ばれる理由にも納得いただけるのではないでしょうか。
- Q放っておくと、どのようなリスクが考えられますか?
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A
▲早期に生活習慣のコントロールや正しい治療を受けることが重要
血圧値や血糖値、LDL(悪玉)コレステロール値が高いまま放置していると、いずれ動脈硬化が起こります。その結果として血管の狭窄や閉塞が進み、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを発症するリスクが高まります。こうした症状は必ずしも徐々に進行するとは限りません。何の前兆もなくいきなり血管が閉塞して命を落とすケースもありますし、一命を取り留めたとしても心不全の治療で入退院を繰り返したり、脳梗塞の場合は永続的な麻痺が残ることもあります。また、高血圧症や脂質異常症は糖尿病と合併しがちで、2つ、3つと重なることで相乗的にリスクが高まるため、重篤化を防ぐためにも早期のうちに医療介入していくことが重要といえるでしょう。
- Q高血圧や糖尿病には、どのような検査・治療を行いますか?
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A
▲一人ひとりに合わせた治療内容を提案、丁寧にサポートをする
血圧にしても血糖値にしても、健診で数値が高いだけでは診断とはなりません。すぐに投薬を始めるのではなく、問診や再検査などを経て、その方に応じた生活指導や治療をご提案するのが当院のやり方です。検査については血液検査やエックス線、エコーによる診断はもちろん、手足の閉塞性動脈硬化症などを調べるABI検査や、不整脈を24時間記録するホルター心電図などを用意し、糖尿病の評価に有用なHbA1c検査は15分程度で結果が出ます。また、狭心症や心筋梗塞のリスクにつながる睡眠時無呼吸症候群の簡易的な検査も可能です。結果次第ですぐにCPAP治療を導入できるケースもありますので、症状のある方はぜひご相談ください。
- Q生活習慣病の予防や改善に大切なことを教えてください。
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A
▲気軽な相談にも親身に応じる
まず高血圧に関しては、とにかく塩分の取りすぎに気をつけましょう。適量と思っていても調味料にたくさん含まれていることがあり、ご高齢になると塩分の排出機能も低下するので一層の注意が必要です。また、脂質異常症や糖尿病を回避するには過食やカロリー過多な食事を控え、甘い食べ物や飲み物もなるべく避けてください。次に運動療法ですが、適度な運動はあらゆる生活習慣病の改善に効果が期待できます。ご高齢であれば張り切りすぎて足腰を痛めない程度に、なるべく歩くことを心がけましょう。こうした適切なアドバイスを受けるには、やはり医師による診察が大切です。ご自身の体の状態を知るためにも、ぜひお近くの医院を受診してください。