紙森 公雄 院長の独自取材記事
松村内科クリニック
(堺市東区/初芝駅)
最終更新日:2025/03/24

南海高野線・初芝駅から徒歩2分のところにある「松村内科クリニック」。東大阪市にある酒井医院の分院として、2024年にリニューアルオープンした。院長を務めるのは、日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医である紙森公雄先生。大学病院の循環器内科などで活躍してきた心臓の専門家で、現在は生活習慣病、呼吸器疾患を含めた幅広い症状を診療している。「地域の方々のお役に立ちたい。まだ十分にできているかはわかりませんが」と謙虚に話す紙森院長は、一つ一つの質問に丁寧に答えてくれる優しい人柄のドクター。真摯に地域医療と向き合う紙森院長に、同院の特徴を詳しく聞いた。
(取材日2024年9月30日/更新日2025年3月17日)
循環器内科を中心に幅広く診療
こちらの院長に就任された経緯を教えてください。

もともと東大阪市にある酒井医院で診療していたのですが、2024年1月にこちらのクリニックを私が引き継ぐことになり、同院の分院としてリニューアルオープンしました。同年3月に改修工事を行い、院内も新しくしています。酒井医院にも私が担当する患者さんがいらっしゃいますので、現在は火曜のみ酒井医院へ出向いており、その日は酒井宏純理事長が代わりに当院で診療されています。診療は酒井医院と同じく、一般内科、循環器内科、呼吸器内科に対応しています。
それ以前はどちらで診療されていたのですか?
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部を卒業後、同大学病院の第一内科へ入職し、連携施設である東住吉森本病院や府中病院、大阪市立総合医療センターの循環器内科にて診療を続けてきました。大学病院では病院講師や助教を務めていたこともあります。長年、心臓の病気やそれに関連する症状を専門としてきましたので、健康診断で引っかかった方や大きい病院で治療を終えたばかりの方のお役に立てればと考えています。また、心臓の病気は生活習慣病とも深い関わりがありますから、糖尿病、高血圧症の方や、病気の一歩手前の方にも早い段階から介入し、生活改善のアドバイスや薬の服用を通じて健康維持をサポートしていきたいです。
こちらのクリニックに来られる患者層や、対応している検査などについて教えてください。

リニューアル前から通っていらっしゃった患者さんが多く来られますね。高血圧症・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病の方が最も多いです。それからここは駅近で住宅街にも近いので、近隣に住む働く世代の方もよく立ち寄ってくださいます。当院は幅広い検査に対応しており、例えば血液検査では糖尿病の状態を示すHbA1c値や、心不全の指標となるBNP値、炎症や感染症に関わるCRP値、白血球数を示すWBCの値を測ることができます。また血管の狭窄の度合いを調べるABI検査も行っています。これらの数値をご覧になると、患者さんもご自身の体がどのような状況なのかよく理解していただけます。それから心臓を調べる心臓超音波検査や不整脈について調べる24時間ホルター心電図計、喘息の検査に用いる呼気一酸化窒素測定装置、肺機能を検査するスパイロメーターも用意していますので、気になる症状があればぜひご来院いただければと思います。
「息苦しさ」の原因を多角的に検査し診断
先生はなぜ、循環器内科を専門に?

そもそも医師になったのは、子どもの頃に病気をして、同じように困っている人の役に立ちたいと思ったのがきっかけでした。循環器を専門に選んだのは、重い症状で入院した患者さんが、笑顔で退院される姿を目の当たりにした時、大きな喜びを感じたから。心臓の病気は生命に直結する疾患ですが、病気を乗り越えられる患者さんを見る度に、とてもやりがいを感じます。これまでは病院で重い症状の患者さんばかりを診てきましたから、これからは地域で症状の悪化を未然に防ぐお手伝いができればうれしいです。
注力されている治療を教えてください。
高血圧症、糖尿病などの治療・管理を通じて、深刻な症状に発展させないことが今の私の役割なのかなと思っています。重い症状の改善を図ることも重要ですが、一番いいのはその前段階で悪化を食い止めることです。それからもちろん、大きい病院で循環器疾患の治療を受けた後、維持・管理のための通院を要する人のお役にも立てます。これまでの経験から、治療を受けた後、どんな経過をたどるのかよくわかっていますから、安心して頼っていただければと思います。また私は勤務医時代に呼吸器の症状も診てきましたから、隠れた気管支喘息を見つけるのも得意としています。気管支喘息は症状が出たり落ち着いたりするので自分では気づきにくかったりもしますが、咳が長引く場合は一度検査を検討してほしいですね。
循環器内科と呼吸器内科どちらにも対応されていますが、患者さんにはどのようなメリットがありますか?

例えば「息苦しい」という症状で来られた場合、心臓が原因である可能性と呼吸器疾患の可能性、その両方があります。足がむくんでいたら心不全などの兆候である可能性が考えられますし、エックス線検査で明らかな異常がないのに咳をしている場合は喘息が疑われます。循環器と呼吸器の両方を診ることで診断がつきやすくなるのがメリットでしょう。呼吸器疾患で症状が重い場合や、より精密な検査が必要な場合は適切な医療機関へご紹介しますので、まずは来院してご相談ください。
病気の早期発見のため「話しやすさ」を重視
先生が診療で心がけていらっしゃることは何でしょう。

患者さんの訴えをよく聞いて、丁寧な診療を行うことです。何に困っておられるのかよく話を伺って、安心していただけるような医療を提供したいと考えています。ご自分から具体的な症状を詳しく言っていただけるとありがたいですが、表現が難しいこともあると思います。そんなときは私のほうから「それはこういうことですか?」と深掘りして聞き出すように心がけています。患者さんとコミュニケーションを取るには、雰囲気づくりも大切です。当院では診察前にまず看護師が患者さんに話しかけて情報を集めてくれるので助かっています。
スタッフさんとの連携も大切にされているのですね。
そうですね。現在、受付は常勤が2人、パートが2人、看護師は常勤3人、パート1人が在籍していますが、看護師は皆、リニューアル前から勤めている人ばかりなので、患者さんとも顔なじみなんですよ。ですから患者さんも安心してリラックスしながら話されていますね。私を含め、お互い抜けているところはフォローし合いながら一つのチームとしていい医療ができるように心がけています。コミュニケーションはよく取れているほうだと思いますし、そうあるように努力しています。
お忙しい毎日かと思いますが、お休みの日は何をされていますか?

昔からインドア派で本を読んだり音楽を聞いたりするのが好きで、休日は家でゆっくり読書したり愛犬と戯れています。しっかり休まないとエネルギーをチャージできませんから、体を休めることは大切です。診療の合間の休み時間は、リフレッシュも兼ねて近くのお弁当屋さんにお昼を買いに行っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
医療を通じて地域の方々の役に立ちたい。それに尽きますね。地域の皆さんに信頼していただけるクリニックにしていきたいと思っています。当院は予約制を取っていますが、困った症状があれば予約外でも随時受診できるように調整しますから、事前にお電話の上、ご来院ください。発熱患者さん用の陰圧隔離スペースも用意していますので、安心してご利用いただければと思います。これからも丁寧な診療を行い、気軽に頼っていただけるクリニックをみんなでつくっていきます。