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澤田 出 院長の独自取材記事

澤田整形外科医院

(堺市南区/泉ヶ丘駅)

最終更新日:2021/10/12

澤田出院長 澤田整形外科医院 main

堺市泉北ニュータウン竹城台の医療センターにある「澤田整形外科医院」は、デイケアセンターを併設する医院だ。ニュータウンができた1970年に外科として開業した同院。そのとき中学生だった澤田出(いずる)院長が、1993年に整形外科として再開業した。「1年のブランクがあったので、父の診ていた患者さんはもう来られないだろうと思っていたのですが、予想以上にたくさん来てくださって驚きました」と話す澤田院長。地域に密着し信頼されていた存在を引き継ぐように、患者のニーズに応え、高齢化に合わせた診療体制へ進化を続けてきた。専門である脊椎側彎症治療の経験も生かしつつ、デイケアセンターとも連携してリハビリテーションに尽力する。地域への思いや、日々の診療について詳しく話を聞いた。

(取材日2019年5月23日)

高齢者の健康寿命を延ばすため、運動療法に尽力

デイケアセンターが併設された整形外科医院と伺っています。

澤田出院長 澤田整形外科医院1

もともとは父がここで外科を開業しており、1992年に病気で亡くなったため一旦閉めました。1年間のブランクの後、周りの勧めもあって僕が整形外科として再び開業することにしました。最初は、引き継いだ院内を改装し、リハビリテーションの設備を整えていったのですが、充実させるために2003年にデイケアの施設を造りました。父の頃は当院の上に僕らは住んでいたのですが、今は上も奥もその施設です。整形外科の領域では、リハビリテーションが治療に大きな役割を果たします。高齢者は、国の制度として医療保険では長くリハビリテーションを続けられず、ある程度の期間が過ぎたら介護保険の適応に切り替えないといけません。保険制度が変わっても、場所や施術の中身は変わらずに、患者さんが継続してリハビリテーションを受けられるように、整形外科にデイケアセンターを併設したというわけです。

高齢化への対応を重視なさっているのですね。

当院の患者さんは、65歳以上の方が7割を超えています。変形性膝関節症・腰部脊柱管狭窄症・変形性股関節症など、高齢者に特有の病気が多いです。超高齢社会で平均寿命は延びているけれど、介護を受けずに自立して生活できる健康寿命は、必ずしも延びているわけではありません。これは国が抱えている大きな問題の1つで、健康寿命を延ばすためには、日ごろの運動やリハビリテーションが大きな役割を果たします。筋力は、瞬発力を出すものと持続力のためのものと2種類あり、年とともに瞬発力のほうの筋肉が特に衰えてくるので鍛えないといけない。強い負荷でなくて良いから、マシンや、ダンベル・ゴムを使ってのトレーニングが重要だと考えています。個別に理学療法士がついて指導できるように、そこに焦点をあてた診療体制にこだわっています。

健康寿命を延ばすことが、一番の目標ということですか?

澤田出院長 澤田整形外科医院2

もう1つ心がけているのは、要介護の状態になっても、その人らしい生活ができるように支えることです。その思いから、理学療法士が患者さんのお宅に行って訪問リハビリテーションを行ったり、僕自身が訪問診療をしたり、ずっと診ていけるシステムをつくりました。ほぼ寝たきりになって通院できなくなった患者さんも、こちらが出向き家の中での動きをサポートすることで、例えば、トイレに自分で行けるようになるとか、食事を自分でできるようになるとか、段差をうまく越えられるようになるとか。細かな目標を立てて張り合いを持って生活すると、患者さんのできることも増えてくると思います。最近は訪問リハビリテーションという認識も広がってきましたよ。

謙虚な姿勢で診療活動に臨む

先生のご専門はどの分野ですか?

澤田出院長 澤田整形外科医院3

脊椎側彎症です。大学卒業後は、大阪医科大学付属病院や京都の総合病院で勤務し、広く整形外科の疾患を診療してきましたが、教授から、専門の側彎症を究めたらどうだ、と勧められました。それで1989年から1年半、フランス政府からの給費を受けて留学していました。主にフランスでは、手術方法を勉強していたので、帰国後は大学病院で、比較的重い症状の患者への治療を中心に行っていました。そんな中、迷いもありつつ当院を開業したのですが、当院にも学校の検診で指摘された側彎症の患者さんがよく来られますよ。インターネットで検索して、堺市以外からでも来てくださっていますね。

では、お子さんの患者さんもいらっしゃるのですね。

そうですね、お隣の幼稚園の子がケガをして来ることもありますし、スポーツをされている若い方の外傷もあります。父が診療していた外科を、今も標榜していますから。ただ、開業した20年前と比べると、子どもの数も減っているからか、やはり少なくなってきましたね。骨折にしても、運動による子どもの骨折よりも、高齢者の骨粗しょう症が原因の骨折のほうが多いです。

お父さまと同じ外科ではなく、整形外科に進まれた理由を教えてください。

ダイナミックな治療に憧れていて外科系に進むことは決めていましたが、指導していただいた教授が整形外科で、その教授が素晴らしい方だったので影響を受けました。「医師とはこうあるべきだ」という考え方がしっかりされていて、医学的なことだけでなく人間的な面でも尊敬していたんです。決しておごらずに謙虚な気持ちで患者さんに接するように、とよく言われました。患者さんは「病気を治してもらおう」と思っておられるから、医師に対して下手に出られることが多いけれど、患者さんは、自分よりも人生の経験が豊富で人間的に立派な方ばかりなのだということを忘れるな、と。「『先生』と呼ばれても、そう呼ばれたあなたよりも、患者さんのほうが立派なんだよ」と、いつも言われていた言葉がずっと心の中に残っています。

その姿勢を、先生はモットーにされているのですか?

澤田出院長 澤田整形外科医院4

そうですね、謙虚に患者さんに接することは、一番大切にしていることです。他には、人それぞれ年齢も違えば、同じようなご高齢の方であっても生活の状況や環境が違うから、同じことを説明するにしても、その人その人に応じて適切な言葉で、わかってもらえるように話すようにしています。リハビリテーションにはスタッフが多く必要だから、全部で35名ほどの大所帯なんですね。だからスタッフとの間も、お互いコミュニケーションがしっかり取れるように気を配っています。

地域ぐるみでの高齢者サポートをめざす

読者へのメッセージをお聞かせください。

澤田出院長 澤田整形外科医院5

介護の必要な家族を抱えるお宅が増えてきていると思いますが、家族だけで介護をするのは大変なことです。そのために介護保険制度があるのですが、それをもってしても、やはり家族の役割は大きい。今後、ますます高齢者は増え、介護する人も高齢化してきたり、孤立したりすることもあると思います。介護側の若い人は減っていく一方だし……。非常に厳しいことですが、若い人がお年寄りを看ること、サポートすることは大事にしていかなくてはいけないことだと僕は思っています。地域の中でお互い支え合いながら、高齢者を看ていくことが必要です。そういう役割を意識しながら、住んでいる地域とつながっておいていただきたいですね。

地域での支え合いについて、医院として何か取り組まれていますか?

当院でできることの1つとして、「みんなで運動しましょう」という呼びかけをさせていただいています。当院の患者さんで、変形性膝関節症や変形性股関節症の手術を受けた人へのフォローと、地域に貢献したいという気持ちとで企画しているイベントで、月に1回、日曜日のノルディックウォーキングです。医院の前に集合して、目的地まで歩いて行って帰ってくる。毎回10~15名くらいの参加で、1時間半くらいですが、地域の人同士の交流にもなるし、楽しみにしてくださっている方もいらっしゃいます。これからも続けていきたいと思っています。

最後に、先生ご自身の今後の目標について教えてください。

澤田出院長 澤田整形外科医院6

自分自身も健康に気をつけて、長く診療活動をできるようにしたいと思っています。これは趣味でもあるのですが、もともと高校・大学時代に陸上の短距離走をしており、今も走っています。練習は朝、早く起きて時間を取るようにしていて、ときどき記録会などにも参加します。実は、2020年のオリンピックの翌年、「シニアのオリンピック」といわれる大会が関西であるんですよ。その大会で100mと200mでの出場を狙っていて(笑)。それが個人的な目標です。

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