松村 綾子 院長の独自取材記事
豊田眼科
(堺市北区/新金岡駅)
最終更新日:2025/04/09

大阪メトロ御堂筋線・新金岡駅から徒歩9分にある「豊田眼科」は地域密着型の眼科医院として近隣住民の目の健康を40年以上見守り続けてきた。2023年1月からは初代院長の娘の松村綾子先生がクリニックを継承し2代目院長に就任。先代がつくり上げてきた同院を大切に引き継ぎながらも診療時間の拡充や治療内容のさらなる充実に取り組んでいる。「患者さんに寄り添った診療」がモットーの同院では薬を院内処方するほかスタッフと連携しながら個別の事情に応じた丁寧な対応を心がけているという。勤務医としての経験も豊富な松村院長に医院の特徴や診療の際に大切にしていることなどを聞いた。
(取材日2024年7月2日/取材日2025年2月25日)
40年以上続く眼科医院の2代目に就任
クリニックの歴史について教えてください。

当院は1980年に開業して以来40年以上、地域のたくさんの方に親しんでいただきながら地域密着型で皆さんの目の健康を支えてきました。そして、2023年1月から私が2代目院長としてクリニックを引き継ぎました。一般眼科はもちろんのこと白内障や緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症など幅広く診療しています。継承前からの長いお付き合いの患者さんも多く最近では新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着き、昨年から午後診療を再開したこともあり働く世代や子育て中の方、小さなお子さんなど幅広い世代の方がお越しにくださるようになりました。眼鏡やコンタクトレンズの処方、ドライアイの治療、学校検診の再検診などのご相談も増えています。
これまでのご経歴を教えてください。
市立堺病院や大阪大学医学部附属病院に勤めた後関西労災病院に移りました。角膜疾患を専門的に治療する先生のもとで勉強し外来診療はもちろん、手術にも数多く携わってきました。2016年からは堺市立総合医療センター(旧・市立堺病院)と当院で働くようになり今も堺市立総合医療センターでの勤務を続けています。小さな頃から母が地域の方と心を通わせて診療している姿に憧れてきましたので開業医として患者さんと過ごす毎日は充実しています。一方で開業は自己の診断に偏りがちな面もあり、勤務医の仕事も続けることでさまざまな疾患や合併症について多く学ぶことができます。今後も勤務医としての活動は続け、地域の皆さんに先進治療や情報を届けることで還元できればと思っています。
診療で大切にされていることを教えてください。

患者さんお一人お一人に沿った診療を大切にしています。母の頃から変わらない診療ポリシーの一つです。例えば、お仕事の忙しい方には点眼回数の少ないお薬を処方したり足腰の痛いご高齢の方にはお薬を多めにお出しして通院回数を減らしたり。同じ症状や病気の患者さんであっても、その方のお仕事や生活などを考慮し、寄り添った診療を重視しています。また、目の病気の中には初期症状がないまま進行していく病気も少なくありません。中でも緑内障は少しずつ視野が狭窄し重症化すると失明のリスクのある病気で、厚生労働省の調査によると40歳以上の20人に1人が患っているともいわれています。花粉症やドライアイなど他の症状による受診であっても「ちょっと怪しい」なと感じたときには、合わせてOCT検査や視野検査など少し踏み込んだ検査をお勧めし早期発見・早期治療につなげられるよう心がけています
定期検診の大切さを発信し、早期発見・早期治療へ
先生は定期検診を積極的に呼びかけているとか。検診はなぜ必要なのでしょう。

当院が診療を行う白内障や緑内障など、目の病気には自覚症状が出づらいものもあり、発見が遅れてしまうことが少なくありません。そして40歳以降、年齢を重ねるにつれて白内障や緑内障などの発症率は高まっていくことが知られています。当院の患者さんの中には65歳以降のシルバー世代の方が多数おられますが、40歳以降という目安に照らすと、この世代の方々にとって検診を受けることは非常に大切。さまざまな目の病気の早期発見・早期治療につなげるために「40歳になったら定期検診へ」を心がけるようにしてくださいね。
40歳という年齢以外にも検診を受けるべき目安はありますか?
人間ドックや健診で引っかかったら、あるいはご親族に緑内障になった方がおられたら、視力や症状が安定していても1年に1回は定期的な検診をすることが大切です。最近はインターネットでコンタクトレンズを購入される方が多いですが大半の方が処方箋を受け取る時だけ受診し、以降は定期検診を受けていらっしゃらないようです。日頃、適切にケアできていないと角膜の感染症になって、最悪の場合は失明する恐れもあります。眼鏡に関しては低年齢のお子さんや眼疾患のある方、手術を受けた方などは、眼科で検査をした後に出された処方箋を、眼鏡店に持参して眼鏡を作製してもらうことをお勧めしています。特に小さいお子さんは調節力が強く、レンズや目薬で緊張をほぐしてから計測するなどの対応が必要になります。大切な目だからこそ一人ひとりが気軽に相談できる自分のかかりつけ医を持ってほしいですね。
患者さんの立場に立った診療を心がけているのですね。

目のお悩みはどの世代にもその世代特有のお悩みが生じるもの。どなたにとっても近視や緑内障、白内障といった病気のリスクはゼロではありません。例えばお子さんに近視のような病気があると、将来、網膜剥を弱くしたり、遠近両用のレンズや眼鏡を併用したりと、お悩みを自分事と捉えてより適切な方法をご提案していきたいと思っています。
院内処方で丁寧にフォロー。患者に寄り添う診療を実行
温かいアットホームな雰囲気も、クリニックの魅力ですね。

母の代から働いてくれているスタッフがほとんどで、皆さん本当に優しく患者さん思いです。ご高齢の方やお子さん連れの方が来られたら、手を引いたり荷物を持ったりと優しく接してくれています。当院はずっと院内処方を行っていますが、認知症のある方には点眼を忘れないよう窓口で再度お伝えしたり、点眼日を示した表を作ってお渡ししたりと個別に対応もしてくれています。また目の病気には糖尿病など全身疾患と深い関わりのある病気も少なくありません。処方の際には他のお薬の処方状況もしっかり聞き取り、診療に生かすこともあります。院内処方は手間がかかる面もありますが患者さんを責任を持ってフォローしていくためにも必要だと思っています。
日々の診療では、どんなことを心がけていますか?
患者さんが求めていることは人によって違います。時間をかけて相談をしたい方もいれば、短時間でピンポイントにお話を聞きたい方もいるでしょう。また、不安を抱く傾向にある方には過度な心配を与えたくはありませんし、逆にきっちり説明をし治療に対する意識を高めていただきたい場合もあります。患者さんの個性やニーズを見極めながら患者さんにとってより良い医療が提供できるよう日々心がけています。入院や精密検査が必要な時には近隣の病院をご紹介するのですが、患者さんの病態やご希望に合わせて、信頼できる病院の信頼できる先生におつなぎするようにしています。一般的に大きな病院では診療時間が短くなりがちです。白内障手術をお考えの方には、当院で先に手術についてご説明したり、一緒に眼内レンズを検討したり、大切な患者さんがご安心して治療が受けられるように努めています。
最後に、今後の展望をお願いします。

患者さんに安心してご来院いただける体制を、ますます整えていきたいと思っています。そのために扱う治療法も増やしていく予定です。堺市立総合医療センターでは角膜疾患の他、「メディカル網膜」とも呼ばれるレーザー治療や抗VEGF薬の硝子体注射についても経験を積んできました。当院でも、加齢黄斑変性に対して眼球内の硝子体に注射で薬を投入する治療などを取り入れていきたいと思っています。大きな病院に行かなくても、地域のかかりつけ眼科医院で受けられる治療法を増やすことで、患者さんの利便性や安心感につながればと思います。患者さんが気軽に相談することのできる眼科医院をめざして、これからも努力を続けてまいります。