尾崎 晋一 院長の独自取材記事
尾崎クリニック
(堺市東区/北野田駅)
最終更新日:2024/07/31

大阪府堺市にある「尾崎クリニック」は、内科・消化器科の診療をはじめ、各種検査、健康診断を行う地域のホームドクターとして1997年に開業した。尾崎晋一院長の専門は消化器内科で胃炎、胃潰瘍、慢性肝炎などのほか、生活習慣病の高血圧、糖尿病、高脂血症にも力を入れている。「内科は薬が命」という考えのもと、患者の自己負担を減らし、自らの診療と処方箋に責任を持つために院内処方にしているという尾崎院長に、医師をめざしたきっかけや開業に至った経緯、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2019年4月3日)
亡き父の意思を継いで開業医に
医師をめざしたきっかけは?

もともと私の父が大阪市住吉区で開業医をしていて、その環境で生まれ育ったので、物心ついた頃から自然と後継ぎになるものだと思っていました。父は内科だけではなく産婦人科や手術もできるジェネラリストで、なんでも診ていました。父は1926年生まれで、戦後のベビーブームの頃の日本はまだ病院も少なかったので、クリニックでお産もありましたし、在宅医療や往診などもやっていました。そんな父の姿に一番影響を受けましたし、中学生の頃に読んだ医療小説にも感銘を受け、名古屋の藤田医科大学に進学しました。
開業に至るまでの経歴をお話しください。
卒業後は生まれ育った大阪へ戻り、大阪大学医学部の第一内科に就職しました。大学の関連病院である新千里病院(現・大阪府済生会千里病院)の研修医として3年間勤務した後、大阪厚生年金病院(現・大阪病院)で4〜5年間勤務し、1997年11月7日に開業しました。大阪大学医学部の医局には現在も属しております。そのほか、堺市立登美丘西小学校の学校医なども務めています。
開業のきっかけは何だったのでしょう。

父の姿を見ていたので、自身も父のように開業したいと思っていました。実は、父は54歳で突然死してしまったんです。当時、私は浪人生、妹は高校生、母は専業主婦で、一家の大黒柱がいなくなってしまったことから住んでいた家を人に貸し、堺市に引っ越しました。堺市は母の実家があり、幼い頃からなじみがある場所でした。大阪市内には緑がほとんどなかったので、生前から父はクリニックと住宅を別にしようと考えて土地を購入し、私が大学に入って落ち着いたら引っ越すつもりだったそうです。そういった経緯から堺市で開業することになりました。クリニックは温かみのある木造建築で、パステル調の優しいイメージカラーにしています。BGMはスピーカーにもこだわり、クラシックなど癒やしの音楽を流しています。
専門分野だけでなく患者の全体を診療する
先生が専門とする診療についてお話しください。

大阪大学の第一内科の消化器グループに属し、消化器内科を専門にしています。私自身、胃の調子が悪かったので、弱いところを知りたいと思ったことがきっかけです。ただ父と同様、いざクリニックを開業すると、いろんな症状の患者さんが来るので、専門以外の症状を含め、体全部を診ています。例えば、専門の病院にかかっている患者さんが便秘などになっても専門の病院では薬をもらえないからと言って来られるケースもあります。地域に密接した地域医療というのは高齢者から若い人まで対応して診療するのが基本です。生活習慣、家族構成、高齢者と暮らしている、孫がいる、一人暮らし……いろいろな背景を知った上で診察すること、これが当院のスタイルです。
設備面や病診連携についてはいかがでしょう。
設備面では、心電図、エックス線検査、エコー検査など、内科的な部分をすべて診療できるくらいに設備が整っています。「体の具合が悪いけど、何科で診てもらえばいいかわからない」といった際の病診連携の体制も整えており、堺市立総合医療センター、大阪労災病院、ベルランド総合病院、近畿中央呼吸器センターなどの登録医となっております。ベルランド総合病院や堺市立総合医療センターにおいては、直接、ご紹介した患者さんの病室で診療させてもらえるのも良い点です。本来、病院のカルテは、その病院の先生でないと見ることができないんですが、登録医の場合は見ることができるため、入院中も患者さんの状態をホームドクターとして把握し病院まで往診し、退院後の治療にも生かせるのが特徴です。
患者さんを診察する際に心がけていることは?

近年は認知症の患者さんも増えていますので、家族全体を把握して診ていくことが大事と思っています。大きい病院の場合は、一つの疾患しか診ていないため、例えばお父さんはA病院、お母さんはB病院、息子はC病院と別々の病院であったり、主治医が異なるので、認知症があっても本人の自覚なく、家族から様子が変とかの情報が医師に伝わらないと、診断が遅れてしまいます。そのためにも診療の際には患者さんの訴えをよく聞くようにしています。医師になって良かったと思うのは、患者さんの命が助かったときや、症状が改善に向かい喜んでくれたときです。医師の使命というのは、少しでも患者さんのクオリティーオブライフを上げるということにあると考えています。
自身の診療に責任を持つホームドクターとして
こちらでは院内処方をされていますが、その理由を教えてください。

「院内処方」の良い点は、患者さんの自己負担が軽減できることです。「院外処方」では薬剤師さんの技術料が加わるので、同じ薬を処方されても患者さんの自己負担が増します。内科治療は、薬が命です。同じ効果の薬でも、同じ成分の薬でも、実は製薬メーカーによる差は存在しています。院内処方の良い点は、医師が自ら選んだ製品を、患者さんに処方できることなんです。院外処方の場合は、調剤薬局の在庫の関係で、同じ成分の薬でも医師の思っている製薬メーカーの商品を渡すかどうかは、わからないんです。また、患者さんによって「薬手帳」を複数冊持っている場合がありますが、できれば1冊にまとめ、処方の内容のシールを貼ってくれない場合は、自分で書くこと。飲み合わせによる副作用を防ぐためにも病院にかかる時は必ず「薬手帳」を持参するよう習慣づけていただきたいです。
今後の展望についてお話しください。
当院のポリシーは、クオリティーの高い医療を提供していくこと。この思いは開業時から終始一貫しています。そのためにも人材の確保やスタッフを大切にし、結果として患者さんのためになると考えています。現在は堺市医師会の活動として、地元の小学校の学校医として、児童だけでなく、保護者に向けての健康に関する講座も年2回ほど実施しています。児童の健診だけでなく、教職員の健康管理や指導にも力を入れています。休診時間を利用して、医師会の勉強会、学会、製薬メーカーの勉強会などにも積極的に参加しています。大学を卒業して20年以上たち、医学も変わってきていますので、常に先進の情報を取り入れていかねばなりません。また大阪大学の同窓会である学友会のネットワークを生かしながら、病院の医師と顔の見える関係を築き、病診連携をスムーズに行い、患者さんへの医療の質を上げていきたいと思っています。
読者へ伝えたいことはありますか。

なんでも相談できるホームドクターをぜひ一人見つけていただきたいということ、年に1回は必ず健診を受けていただきたいということです。堺市は「がん検診」に力を入れています。女性の場合は、乳がん検診、子宮がん検診、内科に関しては大腸がん検診、肺がん検診、胃がん検診などを受けることができ、バリウム検査と胃カメラ検査を選べるようになりました。「特定健診」では血液検査、尿検査、診察を行って生活習慣病の早期発見をしています。せっかくの権利である市の検診を利用しないのは、もったいないので、4月に郵送される受診券を、ぜひご利用ください。また、ホームドクターを選ぶヒントとして、特定健診で受診することで、診療所の雰囲気や医師を、自分で確認することができます。ホームドクターを決めることは、健康な生活を維持するために重要ですから、特定健診、がん検診を利用して、ぜひ自分のホームドクターを探してみてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはED治療/1500円前後~