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太田 俊輔 院長の独自取材記事

太田医院

(堺市東区/北野田駅)

最終更新日:2025/01/27

太田俊輔院長 太田医院 main

南海高野線・北野田駅から徒歩2分の場所に位置する「太田医院」。地域住民のかかりつけ医として、1975年に開業したクリニックだ。2009年に同院を引き継いだ太田俊輔院長は、父の代から通っている高齢患者の通院が難しくなってきたことから訪問診療を開始するなど、患者に寄り添う診療を行っている。訪問診療は、当初一人で始めた取り組みだが、現在はケアマネジャーや訪問介護員など、他職種と連携を取りながら在宅医療を望む患者を支えている。地域住民の健康寿命延伸のため、栄養教室の開催や太田医院通信の発行など、さまざまな活動を行う同院。地域医療に日々尽力する太田先生に、チーム医療や訪問診療、緩和ケアなどについて熱い思いを語ってもらった。

(取材日2023年10月24日)

「TEAM太田医院」で、地域医療に取り組む

こちらを引き継がれてから10年以上がたちますが、変化したことなどはありますか。

太田俊輔院長 太田医院1

地域の他職種の方々との連携を大切にしているのですが、そのためにはまず自分たちがまとまっていなければと思い、事務長を迎えることにしました。事務長さんを中心に「TEAM太田医院」として、一つの志に向けてみんなで協力して取り組んでいます。得意分野が異なる人間が集まっていますので、私が対象だと思っていないこと、視野に入っていないことに対して取り組んでくれるため、伸び代が大きくなりました。みんなで紡いでいくというか、みんなの中で湧き上がってくることが大事なんだろうなと思っています。試行錯誤の部分も大きいのですが、どんどん失敗していこうという方向でいます。

管理栄養士も在籍されていますよね。

外来で栄養指導をしてくれたり、「最期まで食べる食支援」という活動を一緒にやってくれたりしています。また、食べることで得られるのは栄養面だけでなく、一緒に食べる人とのつながりというのもありますよね。そういうところにも注目してくれていて、始めたのが健康サロンです。健康の勉強をするための会なのですが、皆さんおしゃれして来られるんですよ。それって、人に会いに来ているからなんですよね。また、積極的にサロンに関わろうと、お手玉を作ってきてくれる方がいれば、先日などは「食べることが弱い方のために“やわらかおせち”を作りたい」と話したところ、さっそくレシピを作って持ってきてくださった方もいらっしゃいました。生きがいづくりにもなっているようで、その方の生活とつながってきている感じがしています。

チームをつくり上げていくのは大変でしたか?

太田俊輔院長 太田医院2

途中、新型コロナウイルス感染症の流行もあり、体や心が弱ってしまって辞めてしまうスタッフもいました。本人だけでなく、家族が弱っていくケースもあって。やっぱり身内がそうなっていくのは、すごくつらいですよね。そのつらさ、切なさの中で仕事に集中できなくなってしまったのでしょう。人で構成しているので当然あることですし、今後も同じようなことがあると思います。だから、そうした課題に適応できるよう足を止めて、丁寧に対応する努力をしています。

患者の病気だけでなく、患者のすべてと向き合い支える

訪問診療・緩和ケアについて、先生のお考えをお伺いできますか?

太田俊輔院長 太田医院3

生と死は裏表ではなく、長さのある生の最後の一区切りが死です。だから、死をサポートするというのはあり得ません。長かろうと短かろうと、サポートをするのは生です。そこに気づくことができれば、どれだけ手前からサポートすることができるかということになります。ただ、それは人によって異なります。その方がどういう人で、どういうことのために生きていらっしゃるか、ということがわからないと支えられません。病気だけではなく、患者さんの体すべて、生活、ひいてはご家族とも向き合い、チームとして支えていけるのが訪問診療の良い点だと思っています。

患者さんやご家族と深いお付き合いをされるのですね。

外来診療と訪問診療の両方をしていますので、患者さんとのお付き合いは病気が深刻になる前からです。長い人生の丸ごとに関わらせていただいているようなものですよね。お看取りをさせていただいた後も、その方のお子さんを診療することもありましたし、場合によってはお子さんのお看取りもさせていただくということもあります。家族ぐるみのお付き合いという感じです。またお看取りというのは、残される方にとってとても記憶に残るものです。良い看取りをすることで、大切な思い出にすることができると考えます。大切な思い出になれば、語っていただけるようになる。語っていただけるようになれば、地域の在宅医療普及のクチコミになります。だから、いろんなところで当院のお話をされているという噂を聞くと、うれしいですし財産だと思っています。

高齢患者の診療を通して思うことはありますか?

太田俊輔院長 太田医院4

他職種との連携の部分につながるのですが、役割が違うと見えるものも違ってきます。ホームヘルパーさんや看護師さんは患者さんについて私が知らないことをたくさん知っています。それを話してもらえるような関係づくりをこれからもしていきたいですね。また要支援・要介護の認定がありますが、要支援で最後まで過ごせる方はどれくらいいると思いますか? 男性で1割、女性ではなんとゼロといわれているんですよ。筋力があるためか、男性がやや多いんですね。女性は男性より長生きですが、その分、体は自由に動かせない、歩行器や車いすが必要な方が本当に多いんです。車いすの方が遠出する場合、介護車両での移動になることが多いのですが、車に揺られるとそれだけで消耗してしまうので、当院では普通乗用車に電動リフトを取りつけ、快適な移動がしたいというご希望に添えるようにしました。

地域住民の生活向上のために医療ができることを続ける

診療する際に気をつけていることを教えてください。

太田俊輔院長 太田医院5

人間対人間という関係を意識して、目の前の患者さんにとっての本当の幸せはなんなのかを毎回真剣に考えています。患者さんから「薬が欲しい」と言われることは少なくないのですが、そんなときに「はい、どうぞ」と渡してしまえば楽です。でも、そうしていると薬は増える一方です。きちんと説明をして、今の症状にこの薬は不要だとわかってもらう。患者さんのニーズや希望は細かくヒアリングしますが、うわべだけではない、正しい判断が必要です。また患者さんの行動を変えることも、重要な医師の仕事の一つです。例えば、食べすぎが原因で糖尿病が悪化している場合、「食生活を変えましょう」と言うだけでは不十分で、患者さんご自身が「変えます!」というところまで持っていかなくてはいけません。人間誰もが弱いので、意思はぶれやすくて当然です。でも自力ではできない軌道修正を寄り添いながらしていきたいと思っています。

座右の銘はありますか?

女性政治学者緒方貞子さんの「時代の要請に従ったに過ぎない」という言葉が好きです。私たちが頑張って地域医療に取り組む理由も、必要だから、他にできる人がいないからなんですよ。超高齢社会すら過ぎてしまった現代では、これからも外来患者さんは減り続け、入院患者さんが増え続けていくことになります。病院のキャパシティーはすでにオーバーしており、行き場のない患者さんがどんどんあふれていくことは明白です。そうなると、私たちのようなクリニックがけん引していく必要があります。他職種の方々と協力し、地域や行政、医師会のような団体も巻き込むということも不可欠です。地域のみんなで在宅医療の幅やクオリティーを上げていくことがすごく大事だと思っています。そのためにも、今チームとなりつつある私たちの力をもっと伸ばしていきたいですね。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

太田俊輔院長 太田医院6

当院はこれからも患者さんの病気だけではなく、生活やご家族も生涯にわたって支えられるクリニックをめざしていきます。お困り事に対して医療ができることが何かないかと思われた際は、ぜひ当院にお越しください。例えば、仕事を続けながら親や祖父母世代を支えたい、あるいは、ご自身の病気の療養と仕事を両立したいという方には、両立支援のサポートをしています。運動と栄養の関わりについても勉強していますので、そういったお話やスポーツのお悩みに対応することもできます。患者さんの伝えたいこと、訴えたいことは丸ごとお伺いするようにしていますので、他のクリニックで聞けなかったこと、検査結果の詳細や治療についてなどもご相談いただければと思います。医療を通してこの地域をより良くすることが私の願いです。

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