荻野 瑠美 院長、荻野 舞 副院長の独自取材記事
荻野レディースクリニック
(大阪市北区/北新地駅)
最終更新日:2024/04/30

大阪メトロ四つ橋線西梅田駅より徒歩3分ほどにある「荻野レディースクリニック」は、大阪市において早くからレディースクリニックとして開院したクリニック。駅から近く便利な立地に加え、母娘である2人の産婦人科の医師が診察していることが特徴だ。長年の経験をもとに明確な治療方針を定める荻野瑠美院長と、患者の意向を最大限に考慮した診療スタイルを貫く荻野舞副院長。一見正反対ながら、情報共有と意見交換を行いつつ、力を合わせ女性の健康を守り続けている2人に、婦人科医療やクリニックの特色について聞いた。
(取材日2024年4月16日)
患者一人ひとりと真摯に向き合う
通いやすい雰囲気のクリニックですね。

【瑠美院長】1995年の「荻野レディースクリニック」開業時、届け出た大阪府から「レディースクリニックという名称は聞きなれない」として、荻野産婦人科や荻野医院に変更するように求められました。嘆願書を提出し何度かの交渉の末、「レディースクリニック」の許可を得ることができましたが、なぜ名称にこだわったかというと、当時の婦人科は女性にとっても行きづらい場所であり、とてもマイナーな診療科だったから。既存のイメージを変え、プチレディからシルバーレディまで、あらゆる年代の女性が気軽に立ち寄れるクリニックをめざしていたからなんです。より利便性の高い表通りのビルに移転後した今もその思いは変わらず、仕事や学校の帰り、お買い物の“ついで”にお越しいただける敷居の低い場所であるよう努めています。
クリニックのコンセプトを教えてください。
【舞副院長】コンセプトの一つは「病院らしくない」ことです。病気と診断されれば気持ちが暗く沈んでしまうかもしれませんが、悩みなどを吐き出して、少しでも明るくポジティブな気持ちでご帰宅いただけるような場所でありたいと考えています。当院は婦人科ではあるものの、女性特有の臓器や病気だけを診るわけではありません。どの診療科を受診したらいいかわからないときにも気軽にご来院いただける「女性のためのクリニック」として、頼ってもらえたらうれしいですね。レディースクリニックでは珍しい色であるグレーをポイントにしているのは、「女性がより引き立つ空間に」という院長の思いから。開業当時から予約制を採用しているため混み合うことはありませんが、待合室は広く確保し、患者さん同士がなるべく接触しないよう配慮しています。感染症対策も含め壁向きに配置した席も設けていて、患者さん同士が顔を合わせずに済むようにしています。
診療の際に気をつけていることはありますか。

【舞副院長】私は患者さんのお話をよく聞いて、あらゆる治療の選択肢をご提案し、メリット・デメリットをお伝えして患者さんご自身に選んでいただくようにしています。特にお薬は短期間飲んで終わりではないケースがほとんど。しっかりと治療を続けていくためには、費用も重要な要素になります。そのためご説明時には薬価なども具体的にお伝えし、患者さんがご納得の上で治療を進めます。
【瑠美院長】これまでの経験からわかる「近道」を提示するのが私の診療スタイルです。もちろん治療の選択肢はご説明するものの、「あなたの場合はこの治療です」ときっぱりお伝えしていますね。副院長と異なるスタイルで、特に若い人にはあまりなじみのないタイプかもしれません。ただ私が苦手なら副院長の診察も選べますし、副院長の患者さんでご自身では決めきれないという方は私の外来を受診可能です。自分に合った診療にタイプを選べるのも当院の強みだと思います。
些細なことでも相談できるクリニックに
お二人で交互に診療されているそうですね。

【瑠美院長】月・水・金と火・木・土で週3日ずつ、曜日を分けて私と副院長の2人で診療しています。曜日で決めて通われる方も多いのですが、お薬を受け取るときは私で説明を聞くときは副院長など、それぞれの診療スタイルを見極めて受診される方もいらっしゃいますよ。顔が似ていないので気づいていない患者さんもいらっしゃいますが、私と副院長は親子で、産婦人科の女医同士の開業医院という割と珍しいパターンなんです。
【舞副院長】実は今も一緒に暮らしているので、「今日あなたの患者さんが来たけれど、何であの薬を選んだの?」「それはこういう理由があって」など、日常的に自宅で意見交換しています。診療日は違っても毎日顔を合わせているので、意思疎通や情報共有がしやすいのも利点の一つ。あとは私が仕事の日は子どもの面倒を母が見てくれるので助かっています(笑)。
スタッフさんはどのような方々ですか?
【瑠美院長】開業時から在籍している人をはじめ、勤続10年超えのスタッフばかりです。人生は面白くなければ意味がありませんから、受付事務で入職したスタッフにも一緒に診療しているような気持ちで楽しく業務にあたってもらってきました。その結果、知識量は本職の看護師さんにも負けないほど。疑問に思ったことを指摘してくれたり、診療室外から察知して次に行う検査を用意してくれていたりと、本当に優秀な人材がそろっています。
【舞副院長】長く勤めている人ばかりなので、患者さんも驚いていますね。結婚・出産を機に別の医療機関に転職したものの、「患者さんに寄り添えるここに戻りたい」と帰ってきてくれたスタッフもいます。受付でも患者さんと世間話をするなど、すごく明るくて親しみやすいんですよ。
最近はどのような相談事が多いのでしょうか。

【舞副院長】若い方に多いのは、子宮頸がんワクチンの接種についてのご相談です。中高生など学生さんはもちろん、20代・30代の方からもご質問を受けることが少なくありません。公費の負担はなく自費にはなりますが、20代・30代でも接種による効果がある程度期待できます。高価なバッグを買う前に、まずご自身にワクチンを贈ってあげてほしいなと思います。
【瑠美院長】40歳を過ぎたくらいの方からは、症状がある方もない方も、更年期障害に関するご質問が多くなっています。すでに症状がある方など更年期障害の方にはプラセンタ注射治療も可能です。年齢や病名により健康保険の適用がありますので、お気軽に相談ください。このほかピルの相談や、医療外ですが酸素カプセルの利用、美容関連のご相談も多いですね。
何でも話せるかかりつけを持ち安心した生活を
適切な診療のためには、自分のことをよく知ってもらうことも大切だとお考えだそうですね。

【瑠美院長】とても重要です。婦人科以外の別の診療科でも構いません。何かあったらまず相談できる医師・医院を持つことが、すべての人にとってとても大切なことだと思います。気の休まる場所、話していて落ち着ける先生だと思える環境が、その人の健康を守る場所になるでしょう。
【舞副院長】女性には月経がありますが、問診で生理周期を尋ねるのは基本的に婦人科だけですし、内科など他の診療科でお話することに抵抗がある方もいるかもしれません。女性特有のことも、そうでないところも、すべてご相談いただけるのが婦人科の強み。婦人科のかかりつけを持つことも重要ではないかなと思います。
これまでの診療で印象に残っていることはありますか?
【瑠美院長】最初はピル服用のためにお越しいただいた患者さんも、その後も不妊治療、妊婦健診、更年期障害の治療と長く通院していただけるクリニックです。そのため、勤務医時代から含めて、3世代で診ている患者さんもいるんですよ。
【舞副院長】医療関係のお仕事をしているという患者さんが「ここで働きたい」と言ってくださったことがあります。その理由は、何年通ってもいつも同じスタッフだからとのこと。そんな医院で働いてみたいと言われたのは印象深いです。
今後の展望とメッセージをお願いします。

【舞副院長】相性のいいクリニックを見つけるのはとても難しいことだと思います。しかし行ってみないとわからないことがたくさんありますから、まずは体調不良がなくても、検診などで気軽にご来院ください。受診の際のコツは、些細なことでも気になることは何でもお伝えいただくこと。そのお悩みに沿った検診などをご案内します。
【瑠美院長】悪い所が見つかると、多くの人はショックを受けるでしょう。しかし見つからないまま進行するほうがよほど怖いんです。見つかったら怖いではなく、「見つかって良かった」「見つかってラッキー」という考えで受診してください。当院の門をくぐるということは、そこに悩みを置き、パワーを得て帰っていくこと。そういう場所を提供できるよう努めていきます。