長谷川 英雄 院長の独自取材記事
長谷川整形外科医院
(大阪市平野区／出戸駅)
最終更新日：2025/12/16
出戸駅より徒歩6分。地域で30年以上親しまれてきた「長谷川整形外科医院」は、新たに長谷川英雄院長を迎え、「はせがわ整形外科運動器エコークリニック」として2026年1月より再スタートを切る。これまで同様、体の痛みに向き合う専門家として、患者の痛みやつらさに寄り添う姿勢を重視しつつ、長谷川院長の専門分野である手外科領域にも注力。一般整形外科では診断が難しい症例にも、専門的な知識と技術で対応できるのが特徴だ。幼少期から縁ある平野区に、自分の持てる知識と技術を還元していきたいと語る長谷川院長に、詳しく話を聞いた。
（取材日2025年12月2日）
手外科の専門治療を提供するべく継承
まずはクリニックの歴史から聞かせてください。
当院は私の父が開院したクリニックで、30年にわたって地域の皆さんとともに歩んできたクリニックです。幼少期から高校まで平野区の学校に通っていたので、平野はなじみのある土地です。また、父を迎えに来たりしていましたから、このクリニックにもたくさんの思い出があります。奈良県立医科大学へ進学し、卒業後も大学で整形外科医療の最先端を追求するなかで、ご縁があり父のクリニックを継承し開業することとなりました。「大学病院レベルの最先端医療を地域に」という使命を実現し平野区に貢献できることをうれしく思っています。
クリニックの特徴を聞かせてください。
父の代から変わらず、骨・関節・筋肉・神経などの体を動かす部分、つまり運動器の痛みや不調に対し対応しています。私が引き継いだことで2つの特徴が加わりました。1つは私が手外科に精通していることです。平野区には手外科を専門とする医師が少なかったので、今後は複雑な手の症例にも対応していけたらと思っています。そしてもう1つは運動器超音波検査を活用した診療を行っていることです。超音波は多くの診療科で用いられていますので、皆さんにとってもなじみのある機材かもしれませんね。近年は整形外科分野での活用が目覚ましく、世界中でさまざまな活用方法が広まってきました。こちらも活用しながら診療をしていきたいと考えています。
手外科について教えてください。
手外科とは手・指・肘・手首などの疾患やけがに対して専門的な治療を行う診療科です。手は、関節の数が多く複雑な仕組みであるだけでなく、繊細な動きが求められる部位です。そのため、治療においては神経や腱、関節などを扱う高度な技術が求められます。私はそんな手の治療に大きな魅力を感じて、手外科分野において先進性のあるフランスにも留学し、手関節鏡を中心に国際水準の知識と経験を積んできました。また、大学ではマイクロサージャリーと呼ばれる顕微鏡を使った微細な手術にも取り組み、切断された腕や指の再接着手術なども多く経験しています。診断・治療が難しい症例にも多く携わってきましたので、これまでなかなか改善されなかったつらい症状を我慢している方にも一度相談に来ていただけたらなと思います。
ばね指など、切らない低侵襲の日帰り手術にも対応
手外科では、どのような症状が対象となるのでしょうか？
骨折や脱臼などの外傷はもちろんですが、手の痛みやしびれ・こわばりなど、手に関することはなんでも相談してください。例えば腱鞘炎やばね指、手根管症候群、肘部管症候群、ドケルバン病、ガングリオン、関節リウマチによる手の変形などさまざまな症例に対応可能です。また、テニス肘などスポーツによる手・肘の障害の診断・治療も得意としています。当院では運動器超音波検査装置を用いて、筋肉や腱、関節の状態をリアルタイムで確認することで、体への負担が少なく、より精度の高い診断と治療をめざしています。エコーは痛みもなく、特別な準備の心配も不要です。また、必要があれば当院での切らない日帰り手術や提携病院での手術が可能です。もちろんリハビリテーションを含む保存療法を希望される場合にも、さまざまな方法を提案しています。
日帰り手術についても詳しく教えてください。
当院では、ばね指の切らない低侵襲の日帰り手術を行います。手術は超音波検査装置を用いますし、手術後の抜糸の必要もありません。術後3日で手を洗うこともできます。ばね指は手の使いすぎや糖尿病、女性ホルモンの低下などが原因となって起こりますが、これまでの手術では皮膚を数センチ切開する必要があり、術後1週間程度は安静が必要でした。そのため患者さんによっては、家事などを理由に「そんなに休めないから」と手術を先延ばしにする人が多く、長く放置した結果関節が固くなってしまうことも。日帰り手術であれば、従来の手術より肉体的にも精神的にも負担が少ないだけでなく、保険適応なので費用の心配も少なくて済みます。
保存療法についてはいかがですか？
手術を急いだほうが良いケースもありますが、保存療法が劣っているわけではありません。当院では、心身への負担をできる限り軽減することを重視していますので、ブロック注射や漢方薬の処方、運動療法などを取り入れ、お一人お一人の痛みやつらさに寄り添った治療を心がけています。また、テニス肘やゴルフ肘といった腱付着部症には、保存療法と手術の間の選択肢として、超音波乳化吸引装置を用いた治療にも対応しています。超音波ガイド下で特殊な器具を用い、損傷した腱組織を選択的に除去する治療で、負担を抑えながら症状改善をめざせます。治療法は一つではありませんので、ライフスタイルと合わせて検討していきましょう。
専門家として最後まで並走する
他にも注力している治療はありますか？
更年期に起こる手指の痛みやこわばり「メノポハンド」に対して、専門的な診療と幅広い治療法を提供しています。メノポハンドは閉経前後の女性に多く見られ、朝のこわばりや関節の痛み、指の動かしづらさが主な症状です。日常生活に影響が出ることもあり、早期の対応が重要ですが、手を専門とする医師でなければ診断が難しく、症状を我慢してしまう方も少なくありません。当院ではまず、ほかの疾患が潜んでいないか丁寧に評価し、必要に応じて漢方による体質改善や温熱療法、ストレッチなどのセルフケア指導を組み合わせ、多角的なサポートを行っています。「年のせいだから仕方ない」と諦める方は多いのですが、現代はさまざまな方法で改善を図ることができます。
医師としての心がけやこだわりはありますか？
手外科の専門家として、何があっても決して投げ出さないことです。当院を受診される方の中には、長年つらい症状に悩み、遠方から足を運んでくださる方も少なくありません。それは私が手の専門家として診療しているからだと思います。しかし、どれだけ学び続けても、どうしても改善できない症状や原因が特定できないことがあります。そんな時にどう対応するかが、専門家としての矜持。「わからない」と投げ出してしまえば患者さんの行き先はなくなってしまいますから、症状が改善しない場合でも、専門家として患者さんのつらさに寄り添い、並走することを最も大切にしています。もちろん、必要に応じて適切な医療機関に迅速につなぐことも重要です。その際も必ず気持ちに寄り添い、突き放すことのない対応を心がけています。
それでは最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。
私の地元である平野の町に、これまで学んできたすべてを還元したいと考えています。これまで同様、どんなことでも気軽に相談していただければうれしいです。特に、これまで診断や改善が難しかった手の症状があれば、ぜひご相談ください。「つまむ」という動作ができるのは人間だけであり、それほど手は繊細にできています。そんな繊細な手の診断・治療には、専門的な知識と技術が欠かせません。当院では運動器超音波検査装置を活用し、患者さんが見て納得できる診断・治療を提供します。また、日帰り手術に興味のある方には、まず説明を受けていただくことで、手術へのイメージが変わるはずです。皆さんの痛みを改善し、日常生活をより快適にすることが私たちの使命です。どうぞ気軽にご相談ください。
