春田 友佳 院長の独自取材記事
ゆか耳鼻咽喉科
(大阪市東住吉区/北田辺駅)
最終更新日:2024/07/12

近鉄南大阪線の北田辺駅西出口からアーケードの続く商店街の一画。閉院された加藤耳鼻咽喉科を継承し2024年6月に開院した「ゆか耳鼻咽喉科」は、小児から成人や高齢者まで、幅広い世代を対象とする地域かかりつけの耳鼻咽喉科クリニックだ。院長を務めるのは、大学病院で豊富な経験を積んだ春田友佳先生。妹で呼吸器内科を専門とする副院長や先輩医師、10人のスタッフたちとともに、一般診療から専門的な外来診療まで、幅広い患者のフォローに心血を注ぐ。家に帰れば2児の親の「ゆか院長」に、新たなクリニックに寄せる期待や患者に対する思いなど、熱い心の内を語ってもらった。
(取材日2024年7月4日)
一般的な耳鼻科診療から治療後のフォローまで幅広く
まずはご開院の経緯をお聞かせください。

ここには、つい最近までご夫婦で診療されていた加藤耳鼻咽喉科があり、当院はそこを継承させていただきました。加藤先生ご夫妻は、大阪公立大学病院の先輩にあたります。私はそれまで長く大学病院などに勤めていましたが、実は5年ほど前に一度開業しようとしたことがありました。その時は予定していた物件の話し合いが急に白紙になって見送りとなってしまいましたが、今回、奥さまである匠子先生から「ここで開業はどうでしょうか?」とお声がけをいただき、そのご縁で開院する運びとなりました。女性医師のクリニックと一目でわかるように自分の下の名前を冠したこともあり、時々加藤ご夫妻の親族と間違われます。親族ではありませんが、先輩であり尊敬する存在ですね。匠子先生には月に2回、ここでの診療にも加わっていただいています。
かわいらしく、ソフトな雰囲気が感じられる内装ですね。
受付周辺を改装して待合にキッズスペースを設けたり、診療室に壁を設けて一般診察と呼吸器の外来診療に分けたりと、少しリニューアルさせていただきました。診察室の奥にはネブライザーのある処置室やエックス線室、聴覚検査室の他、医療機器もいろいろとそろえています。診療内容としては中耳炎やアレルギー性鼻炎、喘息など、一般的な耳鼻科診療のほとんどに対応し、睡眠時無呼吸症候群などの診療も行っています。ドクターは私の他に、妹で呼吸器内科が専門の濱田彩佳副院長と、耳鳴りが専門の加藤匠子先生が非常勤で診療に加わります。スタッフは常勤・非常勤を含めて10人。前の医院からの引き継ぎの人から未経験者まで、いろいろな人材がオープニングを支えてくれています。一人でできることには限りがありますから、みんなで力を合わせて励んでいきたいですね。
北田辺の町の印象はいかがですか?

開業して初めて北田辺の町とご縁ができたのですが、患者さんもご近所の皆さんも良い人ばかりで、下町らしいぬくもりを感じます。また、前の医院からの患者さんにも引き続きお越しいただき、非常にありがたいですね。大学病院などとは違い、開業のクリニックの良いところは患者さんとの距離が近く、治療後までしっかりアフターフォローができること。そんな診療を希望して開業したのですから、皆さんと積極的にコミュニケーションを取って信頼関係を築き、末永くお付き合いできればと考えています。ここは商店街で、駅前からアーケードがあるので通いやすいでしょう。新しいクリニックに気づいてもらい、気軽に足を運んでいただければうれしいですね。
めまい・耳鳴り、咳・喘息には特に専門性を発揮
先生が耳鼻咽喉科の医師になったきっかけは?

祖父が小児科、父が消化器内科の医師で、母は薬剤師という、親族のほとんどが医療機関勤めの環境で育ちました。医療の仕事が身近にあったのは事実ですが、きっかけとなったのは高校の時に突然耳が聞こえなくなる突発性難聴を発症したことです。父が自分の勤める病院に連れて行ってくれて、そこで耳鼻咽喉科の先生の治療を受けました。先生のスムーズな対応に、耳鼻咽喉科はすごいと思いましたね。あと、私も思春期でしたから親に反発することも多い時期でしたが、病院で初めて父の白衣姿を見てかっこいいと感じたものです。そこから気持ちが晴れて目標が生まれ、耳鼻咽喉科の医師をめざして近畿大学医学部へ進むことになりました。
大学病院では耳鳴りが専門だったそうですね。
耳鼻咽喉科は外科系の診療科です。喉頭がんや舌がんの手術に24時間かかることもあるんです。体力的にはとても男性医師にはかないませんし、出産と子育てがあると当直や土・日の出勤が大きな負担となります。大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部附属病院で自分の居場所に悩む私に、仲の良い後輩から『耳鳴外来を私達と一緒にしませんか』と誘いをうけました。耳鳴外来に飛び込み、そこで上司として出会い優しく指導してくださったのが加藤耳鼻咽喉科の奥さま、匠子先生でした。耳鼻咽喉科にもめまいやメニエール病、耳鳴りといった内科的な領域があり、「その方向であれば女性も活躍できるはず」と。実際の診療現場には、苦しむ患者さんが大勢いらっしゃり、多くの先生方が懸命に治療に取り組む姿を目の当たりにしました。少しでも症状の改善を図り、患者さんに明るい生活を送っていただく。そのお手伝いが今も私の大切なテーマの一つとなっています。
妹さんの濱田副院長は呼吸器内科がご専門ですね。

はい。彼女も私と同じ近畿大学医学部の出身で、毎週月曜の午前はここで咳・喘息の外来を担当しています。呼吸器疾患にまで対応している耳鼻咽喉科クリニックは多くはありませんが、風邪がきっかけで喘息を発症するケースも少なくありません。鼻の症状だと思っていたら今度は咳が止まらず、改めて内科を受診するようでは二度手間になってしまいます。耳鼻咽喉科診療からそのまま呼吸器の診療につなげていくことで、より重層的なフォローができることが当院の特徴と自負しています。院内には呼気NO(一酸化窒素)濃度測定装置や呼吸機能を検査するスパイロメーターをそろえ、胸部エックス線撮影で肺炎などの思わぬ病気も隈なくチェックを図れます。早めに診断がつけば治療を進められますので、気になる症状があれば、まずは耳鼻咽喉科診療から受診してみてください。
地域の健康や生活をバックアップしていきたい
お二人のお子さんがいらっしゃるそうですね。

子どもは中学生の2人兄妹です。長男は幼稚園から低学年にかけて滲出性中耳炎を発症し、アデノイドをとる手術や鼓膜にチューブをいれる手術を何度も繰り返しました。小学校も入ってもなかなかプールにも入れず楽しみが制限され本人も苦しんだと思いますが、親も大変なんですよ。ですから親御さんたちの気持ちがすごくわかります。ただでさえ子育ては大変なのに、お子さんに慢性的な病気があると負担はとても重くのしかかります。だからこそ早く治療してお子さんを楽になるよう導いてあげるのはもちろん、保護者の肩の荷を少しでも減らしてあげたいと常々思っています。ちなみに夫は西成区で眼科を開業しています。現在は互いの通勤を考えて大阪市内のマンションに、親子4人とトイプードル2匹とが一緒に暮らしています。
そういえば、クリニックのロゴマークもワンちゃんですね。
うちはみんな犬好きなんですね。子どもが中学生になったからでしょうか、夫も家に帰るとすぐにワンちゃんたちとたわむれて、心の奥底からかわいがっています。妹も自宅でトイプードルを飼っていて、当院のロゴマークは妹の発案なんです。まだあまり聞かれることはありませんが、「なぜワンちゃん?」と聞いてもらえればうれしいです。妹は私の3つ年下で昔から仲が良く、いつも私の後ろをくっついてくるような子でした。今もこうして姉妹で診療ができるのは幸せなこと。大切な家族のためにも頑張らなきゃと思いますね。
最後に、地域の皆さんへ向けてメッセージをお願いします。

耳鼻咽喉科には長く通うケースが多いですから、まずは皆さんに来ていただき、地域の健康や明るい生活をできる限りバックアップしていきたいと考えています。せっかく前医院の先生方が築いてきたベースもありますから、それをしっかりと生かしつつ、今後は私たちなりの特質もどんどん発揮していきたいですね。風邪にしても耳のトラブルにしても、症状があればとにかく耳鼻咽喉科を一度受診してみてください。当院は女性ばかりのクリニックです。症状や不安を和らげることを第一に患者さんをお迎えいたします。ちょっとした相談や、お子さんの鼻吸いや耳かきでも構いません。いつでも気軽に通えるクリニックとしてお付き合いできれば幸いです。