原 宏子 院長、原 斉 副院長の独自取材記事
井上内科
(大阪市東淀川区/上新庄駅)
最終更新日:2025/09/29

阪急京都線の上新庄駅周辺は、古き良き昔ながらの住宅街を残しながら、新しいマンションも立ち並ぶエリア。駅の南西から歩いて5分に位置する「井上内科」は、先代の頃から街の歴史と住民の健康を見守り続けてきたクリニックだ。父である先代から院長を継承した原宏子先生は、循環器内科を中心に内科・小児科の診療にあたる。副院長の原斉(ひとし)先生は、神経内科の医師としてさまざま経験を持つベテラン医師。夫婦それぞれの専門分野を生かし、地域のかかりつけ医として幅広い症状に対応する。「患者とともに笑い合える診察」をめざす2人に、クリニックの特徴やスタンスについて話を聞いた。
(取材日2019年9月18日/情報更新日2025年9月22日)
父が築いた地域の信頼を受け継いで院長に
お二人のご経歴を聞かせていただけますか。

【宏子院長】1962年に父が自宅に開業したので、63年近くになりますね。私は1980年に大阪大学医学部を卒業後、研修を経て、循環器疾患の専門病院である桜橋渡辺病院に3年間ほど勤務していました。その後出産したこともあって、大学に戻り、さらに主人の留学先であるカナダに滞在した時期も。帰国後、父と一緒に働き始めました。私が正式に院長を引き継いだのは2003年のことです。
【斉副院長】私も1979年に大阪大学医学部卒業、大学院に通った後に吹田市民病院、国立循環器病研究センターで働いていました。カナダ・アルバータ大学に留学してから国立循環器病研究センターに戻り、淀川キリスト教病院で働いてきました。現在は同院の顧問と兼務するかたちで週3日、当院で診察しています。
こちらで受けられる治療について教えてください。
【宏子院長】専門病院での勤務経験がありますので、循環器の疾患を中心に幅広く小児科を含む内科一般を診察しています。風邪などの感染症をはじめとした急性疾患はもちろん、高血圧、糖尿病などの慢性疾患の患者さんの生活指導も行っています。こちらは東淀川区の医師会も力を入れている分野でもありますから。他には、不定愁訴を訴える患者さんにも対応しています。
【斉副院長】私は神経内科が専門ですので、神経疾患を専門に2階で診察を担当しています。パーキンソン病のような変性疾患、頭痛やめまい、しびれなどを中心に、重篤な症状を診ることもあります。時間をかけてお話を聞くことにしていますので、予約制で診察しています。
在宅診療にも対応されていますね。

【宏子院長】先代である父は、地域のかかりつけ医として患者さんの健康に留意し続けてきました。その方針を引き継ぎ、私も地域医療に貢献すべく日々努力を重ねています。在宅診療もその一つで、父は往診というかたちで対応していました。父の代から20年くらい通ってきてくれている患者さんも高齢になり、通院するのが難しいケースもあります。そこで私が患者さんの自宅に出向き、診察させてもらうことにしました。具体的には、慢性呼吸不全などの疾患をお持ちで、総合病院などから在宅酸素療法の適応がある患者さんへの対応、糖尿病の方にはインスリン自己注射の処方などです。近隣の総合病院と連携し、適切な指示、アドバイスに努めています。看護師などスタッフは同行せず、私1人、自転車で出かけるスタイルです。そのため、多くの方に対応するのはなかなか難しいのですが。
患者との一期一会を大切に診察に臨む
診察で大切にしていることは?

【宏子院長】まずは患者さんの話に耳を傾けることが大事だと思っています。患者さんとの出会いは一期一会。一回一回の診察はその時だけのものとして捉え、できる限り患者さんの視点で話を聞けたらと。加えて皆さんのご要望に応えるためには、医師としての「up to date」も欠かせません。新しい情報を取り込んでそれを患者さんにどのように還元できるかも重要なポイントです。時間が許す限り、近隣で行われる勉強会や講演会などに出かけ、知識の更新に努めています。
【斉副院長】現在も地域医療支援病院で顧問をしていますので、新しい情報に接する機会は多くあります。そちらで得た知識を、当院や患者さんの診療に生かせるように心がけています。私も患者さんのお話をじっくり聞き、ともに考えるスタイルを大切にしています。
医師としてやりがいを感じる時はどんな時ですか。
【斉副院長】やはり、患者さんの「ありがとう」の一言ですね。元気なお顔を見られた時は、うれしさもひとしおです。勤務医時代は、患者さんのことが常に頭から離れなかったので……それがつらく感じられることもありました。でも最後はやはり、「放っておけない」と思ってしまうんですね(笑)。
【宏子院長】副院長は仕事熱心で、患者さんへの思いが強すぎるんです(笑)。重症の方や気になる方がいるとやはりどうしても気になってしまうようで。でも私も気持ちはよくわかります。そういった患者さんが元気なお顔でお礼を伝えに来てくれることが、医師としてのモチベーションを高めてくれますから。
スタッフの皆さんとも思いを共有されています。

【宏子院長】そうですね。看護師は4人、受付では3人のスタッフが働いていますが皆、長く勤務しているスタッフばかり。ですから、私や副院長の思いを上手にくみ取ってくれます。もちろん「こういう対応を心がけてほしい」とお願いすることもありますが、ほぼ気持ちは通じ合っていますね。普段から季節のイベントを通じ、私たちやスタッフ同士のコミュニケーションが図れているからかもしれません。患者さんに対してもとても優しく、穏やかに話を聞いてくれています。病気のことを話すとはいえ、私は患者さんと話をするのを楽しみにしているし、明るい気持ちで帰宅してもらいたいと考えています。気楽に通院できる、居心地良いクリニックでありたい。スタッフも皆、私たちと同じ気持ちで頑張ってくれています。
医師としても家族としても互いに尊敬し、支えあう
ところで、お二人が医師を志されたきっかけは?

【斉副院長】当初は工学部で学んでいたのですが、医学も勉強したいと大学院から医学部へ編入しました。そもそも生物化学に幅広く興味があり、それが医学への道につながりました。
【宏子院長】私は父も医師であり、3姉妹の長女でしたから自然と医師へのレールが敷かれている感じでした。「あなたは医師になるの?」と常に言われ続け、なるべくしてなったという感じです。
お互いを医師としてどう思われていますか?
【斉副院長】医師として、患者さんの話を本当によく聞いているなと。お子さんの対応も心得ていますし、夜遅くまで働く仕事熱心な医師ですね。患者ファーストで、家族よりも大切にしているのではないかと感じることもあるくらいです(笑)。
【宏子院長】先ほども言いましたが、副院長のほうがさらに熱心な医師だと思いますよ。勤務医時代は夜も遅く、休日も患者さんの様子を見に行っていたくらいですから。神経疾患、特にパーキンソン病などは薬の使い方が難しいですから、専門である副院長の判断に任せることができるので助かっています。すごく繊細な配慮ができる医師でもあり、「こういう検査をしておいたほうがいいのではないか」「この病気の可能性は考えられないか」という多面的な助言も参考になります。
最後に今後の展望、読者へのメッセージをお願いいたします。

【宏子院長】クリニックの3階には健康教育室があります。地域の皆さんにいろいろな治療を知ってもらい、健康管理に気をつけるきっかけをつくっていけるよう、今後は新しいイベントも企画していきたいですね。医療法人として、あらためて地域の方々の健康管理に携わっていきたいと思います。
【斉副院長】一般的な症状であれば、当院は予約なしで受診できます。気になる症状があればぜひ一度ご来院いただき、お気軽に相談していただければと思います。