松尾 智央 院長の独自取材記事
松尾つるはしクリニック
(大阪市天王寺区/鶴橋駅)
最終更新日:2024/12/23

鶴橋駅より徒歩3分にある「松尾つるはしクリニック」は、1979年の開業以来、場所を移転しながらも地域の人々のための診療を提供しているクリニック。現在はクリニックを開業した松尾孝彦理事長が現場を退き、息子である松尾智央院長が継承。松尾院長は、父の診療スタイルを継承すべく、専門の皮膚科はもちろん、内科や救命救急でも経験を積み、さらには日本東洋医学会漢方専門医の資格を取得するほどに漢方への学びも深めてきた。「当院は皮膚科を中心に、内科・漢方内科・泌尿器科と全身の問題について相談できる場所。病気はもちろん未病も含めて、心と体のつらさを相談できるクリニックでありたいです。」そう話す松尾院長の瞳には、地域の人々の愛と父が紡いできたクリニックに対する誇りがあふれていた。
(取材日2024年12月6日)
1979年の開業以来地域のかかりつけ医として貢献
まずはクリニックの成り立ちから教えてください。

当院は、私の父で現在理事長を務める松尾孝彦が1979年4月に内科・皮膚科・形成外科・泌尿器科として地域医療に貢献するべく開業したクリニックです。私は幼い頃から診療する父を見て育ちましたので、自然に「いつかは自分がこのクリニックを継ぐんだ」と思っていました。父から「医師になれ」と言われたことは1度もないのですが、地域の方々に愛され、頼られている父の姿を子ども心にも尊敬の念を抱いてみてきました。その思いは自分の将来を考えるタイミングでも変わることがなかったので、医学部を受験し、無事に関西医科大学に合格。医師になってからは、このクリニックを引き継ぐためのスキルをつけるべく皮膚科を中心に、内科や救命救急でも研修を受けました。その後、いくつかの大学附属病院勤務を経て、無事に院長を引き継ぐことができました。
クリニックの特徴は?
皮膚科・内科・漢方内科・泌尿器科を標榜していますが、患者さんの相談は多岐にわたっており、専門性の高いクリニックというよりも地域の皆さんがなんでも相談できるいわゆる「かかりつけ医」です。実際、受診される患者さんの年齢層も幅広く、理事長とともにこの地で年齢を重ねてこられた患者さんもたくさんいらっしゃいます。私が就任したばかりの頃は「理事長先生はいらっしゃらないの?」と不安そうに聞かれる患者さんが多くて、その度に理事長が築いてきた信頼の大きさを痛感していました。しかし理事長は今年、惜しまれながらも診療を引退しましたので、これからは理事長と、このクリニックを大切に思ってくださっている皆さんの気持ちごと、私が大切にしていきたいと考えています。
診療の際に心がけていることはありますか?

地域のかかりつけ医として、あらゆる患者さんの訴えに対応できるように努めています。そのために自身の研鑽を積んできたつもりです。私の漢方の師匠は心療内科の専門家でしたので、心身相関や全人的医療の視点も学ばさせて頂きました。心理社会的要因はおおいに患者さんに影響します。時にはそこに踏み込むこともあります。私だけでも、患者さんだけでも、治療はうまくいきません。特に難治性皮膚疾患や慢性疾患の場合には治療が長期にわたることも多いので、よい医師患者関係を築き、ともに考えていくことを大切にしています。私を信頼してくれる患者さんには誠心誠意、できる限りのことをしたいと思っていますが、当院で対応できないと考えた場合は、迅速に適切な高次施設に紹介することも心がけています。
難治性の皮膚疾患に紫外線療法で取り組む
患者さんの主訴はどんなものが多いですか?

一番多いのは、ニキビやアトピー性皮膚炎、じんましん、イボ、水虫、乾癬をはじめとする皮膚科の相談です。切開処置や小手術も対応します。ピアスの相談やAGA治療などにも対応しています。次に多いのが内科で、風邪や腹痛などの急性疾患の相談、それから高血圧、糖尿病、脂質異常症など慢性疾患の管理で受診される方も多いですね。予防接種も行っていますので、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス、帯状疱疹のワクチンを希望される方もいます。どれか一つだけで受診されるというよりも、とりあえず当院にと来てくださることも多いので、どんなことでもまずは相談頂ければ、紹介も含めて対応します。
紫外線治療に注力されているそうですね。
私がお世話になった教授が紫外線治療の専門家でしたので、紫外線治療については深く学んできました。そこで当院では全身型の機械を導入し、アトピー性皮膚炎や円形脱毛症、乾癬、白斑、掌蹠膿疱症などの難治性皮膚疾患に対する治療に取り組んでいます。これらの皮膚疾患で多くの患者さんがQOLの低下に苦しんでいる姿を見てきました。症状が全身に広がっていれば薬を塗るだけでも膨大な手間がかかりますし、毎日続けるのは大変なことです。ナローバンドUVB療法は紫外線を当てますが、ほぼ痛みもありません。最初は週に2〜3回照射するため通院が大変かもしれませんが、状態によって徐々に治療間隔を延ばしていくこともできます。
どんな人でも受けられるのですか?

基本的にはお子さんや妊婦さんにも適応可能です。ただし、全身型の場合は密室に入ることになりますので、閉所恐怖症の方や小さなお子さんには不向きです。また日光過敏症の方や膠原病の方、皮膚に悪性腫瘍がある方、免疫抑制剤の内服を使用している方は安全のために適応外となりますのでご注意ください。ただ、一般的に全身型のナローバンドUVB療法は総合病院や大学病院でしか受けられないことがほとんど。せっかくクリニックにあるのだから、その気楽さを生かした治療をしていけたらなと考えていますので、ひとまずご相談いただければと思います。全身型が難しい患者さん、病変が限局している患者さんにはハンディ型のエキシマライトでの治療も可能です。また、最近では生物製剤による全身治療の導入も積極的にしています。慢性難治性の皮膚病もあらゆる手段を用いることでほとんどが寛解維持が期待できる時代になりました。
病気から未病まで、心と体に寄り添える場所へ
漢方治療もまた、このクリニックの大きな特徴ですね。

そうですね。患者さんのあらゆる訴えに耳を傾ける中で、父も必然的に漢方治療の必要性を感じたのだと思います。当時漢方治療にそこまで力を入れていたクリニックはなかったでしょうね。当院のエントランスには父の寄贈された貴重な生薬がずらりと並んでいるので是非ご覧になってください。患者さんの中にはいくら検査をしても原因が見つからないのに「具合が悪い」患者さんがいらっしゃいます。漢方治療は西洋医学的治療がうまくいかない時に使用できたり、西洋医学的に対応できない虚弱体質や疲労感、冷え、のぼせなど「未病」と呼ばれる状態の改善を図るために役立ちます。漢方を学ぶことで、患者さんに対応できる幅が間違いなく広がったと思います。
どんな形であれ、患者さんの力になりたいという思いが感じられます。
病院はどこかが悪い時、つらい時に「どうにかしたい」と思って行く場所です。あらゆる手段をもって病気を治すことはもちろんのこと、患者さんの心と体に寄り添い、信頼関係を築き、ここに来るだけで安心して元気が出る、と言ってもらえるようになりたいですね。実際、父はそのような患者さんを数多く抱えていましたが、その境地に達するにはまだまだ修業が必要です(笑)。
それでは最後に、今後の展望やメッセージをお願いします。

開業以来、理事長が紡いできた思いごと引き継いだと思っています。今後はそこに、私自身の色も加えていけたら。先ほどお話しした紫外線療法や漢方治療は専門的に勉強してきましたので、以前よりもパワーアップした形で地域の皆さんにお届けできるのではないかと思います。また、常に知識のアップデートに努め、患者さんに適切な医療を届けるべく精進していきます。これまでなかなか改善しなかった皮膚疾患や体の不調にお悩みの方がいらっしゃれば、とりあえず聞かせていただければうれしいです。状態によっては専門家を紹介することもできますし、私たちにできることがあれば誠心誠意努めさせていただきます。寿命が延びた今、健康で元気に過ごすことはとても重要なこと。病気に悩む人はもちろん、病気になりたくない人のための場所にもなっていけるように頑張っていきます。
自由診療費用の目安
自由診療とはAGA治療(1ヵ月分)/6600円~ ※初診処方料3300円、2回目以降処方料1100円
ピアスの穴開け(両耳)/1万1000円