商業地と宅地が混在する四ツ橋界隈で地域に根差した医療に取り組む「四ツ橋診療所」は、1989年に安井潔院長が先代からバトンを受け継いだ歴史の長い内科医院だ。「3分診療」などと診察時間の短さを指摘される医療の現場において、安井院長は患者の要望をつかむために、主訴の奥に潜む心情にまで目を向け、思いを共有している。患者の話にじっくり耳を傾ける中、介護や在宅医療など現代社会が抱える切実な問題に直面する場面も少なくないという。「私が提供できるのは、ごく一部の医学的な知識だけ。患者さんから学ぶことのほうが多いです」と、ゆったりとした口調で語る安井院長。この言葉から旺盛な探求心や謙虚さとともに、患者に寄り添う優しさがひしひしと伝わってきた。

（取材日2017年5月19日）