佐々 成太郎 院長、佐々 仁美 副院長の独自取材記事
佐々医院
(大阪市西区/九条駅)
最終更新日:2025/10/08
中央大通りから安治川方面へ伸びる、にぎやかなアーケードを5分ほど歩くと左手に見えるのが「佐々(ささ)医院」だ。80年を超える歴史を持つ同院の3代目が、佐々(さっさ)成太郎院長。妻の佐々仁美副院長とともに、乳児から高齢者まで幅広い年代と向き合う。外来は副院長との二診制で実施しており、院長の専門である消化器内視鏡などにも柔軟に対応できるのが強み。さらに同院には、周辺のクリニックや総合病院とも、顔の見えるつながりがある。自らも九条で生まれ育ち、「困ったことがあれば、どんな症状でも何とか対応しますよ」と人懐っこく笑う院長と、「あそこに行けば元気になれる、と言われる医院が目標です」と語る副院長が、夫婦二人三脚で地域医療を支えている。
(取材日2019年7月19日)
歴史ある医院が二診体制でさらに充実
長い歴史があり、地域で親しまれてきた医院だそうですね。

【佐々院長】太平洋戦争より前の時代に軍医だった僕の祖父が、1938年に開業したと聞いています。戦時中も診療を続けていたそうです。以前は違う場所で診療していた時期もあったようですが、現在の場所になってから長いですね。また、僕の父は心臓外科の医師でしたが、祖父が倒れたのを機に診療を受け継いだそうです。その父も2017年に他界しました。僕と妻で診療を引き継いだのは、2014年からです。
いずれは医院を受け継ぐ心づもりで、医師になったのですか。
【佐々院長】医師の家庭に育ったので最初からどこかにその気持ちはありましたね。僕の専門は胃と大腸の内視鏡で、大学卒業後は同じ西区内の日生病院(現・日本生命病院)で研修を受け、その後は大阪ドーム近くの多根総合病院で勤務していました。設備の整った病院で、内視鏡を専門に先進的な医療を続けるかどうかは、最後の最後まで悩みましたが、やっぱり九条が好きでね、結局帰ってきました。
【仁美副院長】前の院長はかなりご高齢だったので、私は院長より少し前からここで診療をしています。私自身の専門は血液内科で、勤務医時代には抗がん剤で免疫力の低下した患者さんをサポートする機会が多かったですね。医師を志したのは、町のかかりつけ医、「あそこに行けば病気が治る」といわれる存在に憧れたから。複数の総合病院や大学病院で経験を積みましたが、ここで診療をすることで、目標に近づいたなと思いました。
診療内容を教えてください。

【佐々院長】内科診療が中心ですが、来られた患者さんは、どんな症状であれ診るのが当院のモットー。必要に応じて、他の医療機関につないでいきます。通常は僕と副院長の二診制で、来られた患者さんから順に入ってもらいます。ただ急な腹痛などで必要があれば、私が急きょ内視鏡を行うことも。なお、私は24時間365日連絡の取れる携帯電話を持っていて、時間外の問い合わせにも対応しています。
【仁美副院長】週に1回来られるエコーの先生には、腹部、甲状腺、乳腺、心臓、頸動脈などの検査をお願いしています。また、月に2回ほどは恩師の先生も診療に加わりますので、対応に苦慮するような症例も3人で検討する機会になっています。
胃・大腸内視鏡は日常的に実施、他院との連携も盛ん
どのような患者さんが受診していますか?

【佐々院長】生後2ヵ月の赤ちゃんから往診で診ているお年寄りまで、年齢も症状もさまざまです。大人なら、心臓や腹部の痛み、糖尿・高血圧・コレステロールの慢性期疾患は非常に多いですし、当院を定期的に受診されていない患者さんでは、急性期疾患もありますよ。最近も肝硬変、肝性脳症、吐血、虫垂炎などで救急搬送がありました。患者さんが症状から病名を判断することは難しいですから、具合が悪ければとりあえず来てくださいとお話ししています。
【仁美副院長】午前中はご高齢の方、夕方は仕事帰りの方や子どもが増えますね。乳幼児の予防接種もしていますので、幼児も結構多いですよ。大人と子どもの診察時間を分けたりはしていませんが、九条の方は子どもを温かく見守ってくれます。子どもは院内の雰囲気を明るくしてくれますし、子連れのお母さんとお年寄りの会話が弾んでいる様子を見ると、うれしくなりますね。
胃だけでなく、大腸内視鏡もされているのですね。
【佐々院長】胃の内視鏡は父の時代から行っていましたが、2014年に診療を引き継いだ際に院内を完全にリフォームして、大腸内視鏡と電子カルテを導入しました。それまで総合病院でしていた検査や治療を、ここでもできるようにしたのです。大腸ポリープの切除は、小さいものならここで日帰りで行いますよ。また、胃の内視鏡も日常的に使いますので、アニサキスなんかもよく見つけます。必要なタイミングで検査ができるので、早期の大腸がんや胃がんを見つけることも多いです。完治されて元気な姿を見守っていけるのは、かかりつけ医ならではの喜びですね。
他院との連携も、充実しているようですね。

【佐々院長】この近辺には総合病院が多く、多根総合病院や日本生命病院、大阪掖済会病院には僕がよく知る先生がいます。また少し足を伸ばせばJCHO大阪病院(旧・厚生年金病院)、住友病院、関西電力病院など、紹介先も豊富です。大きなポリープなどを多根総合病院へご紹介した場合には、私がそちらで内視鏡手術を担当することもありますし、病院側の内視鏡検査が混みあっているときには、こちらが検査を依頼されることもあるんですよ。
【仁美副院長】地域内の連携も盛んで、近くにある皮膚科、耳鼻咽喉科の医院とは頻繁に紹介しあっています。九条は、医療的に恵まれた環境だと思いますね。
やる気は患者がつくってくれる
明るくパワフルな先生方、元気の源を教えてください。

【佐々院長】この地域は、患者さんがみんないい人なんですよ。明るくて、子どもにも優しくて。一生懸命な気持ちで来てくれたのがわかるので、こちらも診療には熱が入ります。また、当院のスタッフは動きが早く、看護師も事務スタッフも診療に合わせて早めに対応してくれますし、動きや配慮が的確で、患者さんも僕もストレスがありません。長く勤めているスタッフが多く、患者さんの安心感につながっているのかもしれませんね。
【仁美副院長】患者さんの中には、うちの看護師さんに憧れたのか看護師学校に通っている方もいらっしゃいますよ。また患者さんはお互いに知り合いや親族が多く、おばあちゃん、お孫さん、結婚した息子さんのお嫁さんと家系図が描けるぐらい、一家で来てくださっています。アットホームな雰囲気があって、こちらも自然と笑顔になります。
仕事の疲れをリフレッシュするご趣味はありますか?
【佐々院長】11歳から続けているビリヤードですね。突き詰めてしまうタイプなのか、思いがけずはまってしまいました。今も地元のチームに参加しています。2年前には日本代表になり、ラスベガスでの招待試合にも参加させてもらいました。その間も診療を続けてくれていた副院長には、感謝しかありません(笑)。ビリヤードにはさまざまな職業、年齢の人が関わっています。僕は患者さんからよく「医師っぽくない」と言われて、気さくに話をしてもらえるんですが、ビリヤードで早い時期から世間を見てきたのが、良いほうに影響しているのかもしれませんね。
最後に、患者さんや地域の方へのメッセージをお願いします。

【佐々院長】医師は誰でもそうだと思いますが、患者さんと向き合うと、「治してあげたい」と診療に夢中になります。特にこの地域の患者さんは真心込めて僕たちと向き合ってくださるので、痛みや熱の原因を突き止め、楽にしてあげたいと思うんですね。うちは胃・大腸カメラやエックス線、エコーなど検査環境が整っていますし、24時間の問い合わせにも対応しています。とにかく困ったことがあれば、気軽に相談してほしいですね。
【仁美副院長】院長と同じように、「やる気は患者さんがつくってくれる」と思っています。皆さんに頼っていただくからには、「あそこに行けば病気が治る、元気になれる」という医院をめざして、これからも頑張っていきたいと思います。

