上田 修司 院長の独自取材記事
上田内科・循環器内科医院
(大阪市福島区/福島駅)
最終更新日:2025/11/04
大阪環状線福島駅から徒歩8分。「上田内科・循環器内科医院」は働く世代から高齢者まで内科を幅広く診察している。特に、上田修司院長の専門である循環器内科はエコーや心電図など一通りの検査設備を備え、加えて近隣病院との連携によりCT検査を受けられる体制を整えている。上田院長は1990年代から関西医科大学附属病院でカテーテル治療に取り組み、友愛会松本病院の循環器科立ち上げに参画。開業した現在でも、勤務医時代に命を救った患者が遠方より来院するそうだ。「親切にやっていきたい」と語る上田院長。動悸や息切れなど気になる症状、病院との連携、麻酔科での研修経験など、じっくり聞くことができた。
(取材日2018年6月27日)
動悸、息切れの原因を早めの受診で見つける
どのような患者さんがいらっしゃいますか?

幅広い世代の方にお越しいただいています。開院当初は高齢の方中心でしたが、近隣に新しいマンションの建設が進み30代や40代など働く世代の受診も増えてきました。平日は19時まで診察していますので、梅田周辺で勤務されている方が終業後にお越しになることも多いです。症状としては風邪から胃腸・呼吸器のトラブルまでさまざまですけれども、最近は当院の専門を認知いただいて、高血圧、高脂血症、動悸、息切れなど循環器のご相談が増えてきました。
循環器のトラブルではどういう症状で受診すべきでしょうか。
今は健康についての情報が豊富で患者さんの意識が高まっているので、胸の痛みがあれば迷わず受診されると思います。一方で、放置されがちなのが動悸や息切れです。ご自身は原因が心臓にあると気づかず、肺が悪いからだとか、足腰が弱っているからだと思っていることが少なくありません。診察ではそういった患者さんの症状を「不整脈があるから息切れするんですよ」「弁膜症があるからですよ」ときちんと見分けて、お薬で適切にコントロールしていきます。なるべく患者さんが入院しないで済むようにしていきたいですね。患者さんにとってはご自宅で過ごせるほうがいいでしょうし、病床のある病院にとっても入院するのは心筋梗塞などの危険な病気の方だけにしないとパンクしてしまいますから。反対に安定した症状の心不全の患者さんは病院から当院に紹介してもらうなど、連携を推し進めていきたいです。
動悸や息切れは通院での治療が可能なのですね。

そのとおりです。ただし、放っておくと心不全を起こし入院が必要になることがありますから、早めに受診していただきたいです。また、循環器ではない原因が潜んでいる場合もあります。働く世代に多いのはメンタルの不調。過労や不安が多い時代ですから、精神的なことから動悸が起きている場合があります。それから若い女性に多いのが甲状腺の疾患です。当院では血液検査で甲状腺機能を確認するようにしています。もっとも、こうしてお話しするとどの科を受診すべきか悩むかもしれませんが、緊急を要するのは心臓の疾患ですので、動悸や息切れを感じたらまずは循環器内科を受診してスクリーニングを受けるのが良いと思います。当院でも必要に応じて心療内科など他科を紹介しています。
心電図やエコー検査の結果によっては病院と連携
設備について教えてください。

エコー、ホルター心電図、心電図など必要な物はそろえているので、危険な病気かどうかの診断ができるようになっています。ホルター心電図とは患者さんに1日中装着してもらい、心臓が異常な動きをしないかを見るものです。当院にあるのは新しいタイプの物ですので小さくて目立たず入浴もできますから、装着中も普段とあまり変わらない生活をしていただけます。また、従来の物だと検査後に解析センターへ出すため結果がわかるのが1〜2週間後でしたが、当院の機械は院内のコンピューターで解析してその日のうちに結果を伝えることができます。万一、命に関わる重大な病気だとわかった場合には、ホットラインを利用して地域の病院の循環器の先生に連絡し、受け入れてもらっています。
ホットラインとはどのようなものですか?
関西電力病院、大阪病院、住友病院、桜橋渡辺病院など、地域の大きな病院の循環器の先生と24時間直接話せるようになっているのです。「すぐに心電図を送ってください」となって患者さんの情報を相手に送り、受け入れてもらえるのでスムーズです。桜橋渡辺病院についてはCT検査の空き状況を共有してもらっていて、当院のパソコンから予約を取ることができます。当院で用意しているエコーなどの検査に加えて病院との連携があるので、開業医でも病院の外来と同じことができる体制が整っていると思いますよ。福島区は病診連携に積極的な地域です。私自身も患者さんを大きな病院に紹介することがありますが、入院した人のもとには必ず伺うようにしています。幸い近いので自転車ですぐに行けますし、患者さんには病気に対する不安な気持ちもあるでしょうから。
開業の経緯を教えてください。

こちらはもともと、関西医科大学の先輩にあたる先生が1988年に始めた医院でした。継承する形で2010年に開業したのが当院です。私は近くにある友愛会松本病院で勤務していたため地域の先生とのつながりがあり、開業してからも病診連携はスムーズだったと思います。実は当院のスタッフは以前の勤務先で一緒に働いていた人たちなんです。すでに退職していた看護師や事務スタッフが、開業にあたって集まってくれました。お互いの人柄がわかっているので非常にやりやすいですし、患者さんへの私の説明が足りなかったことをフォローしてくれたりして助かっています。
心臓手術の説明に生かされる麻酔科での経験
勤務医時代は麻酔科にいらしたこともあるそうですね。

大学卒業後1年目に内科で研修していた時、慢性白血病の患者さんを担当しました。自分と同世代の若い患者さんです。ところがある日急変しまして。私はまだ研修医で救命処置を何もできず、上の先生に頼ることしかできませんでした。関西医科大学は当時としては珍しく、内科のいろんな科を回って研修できる施設でしたが、それでも救命や麻酔科には行きません。救急にも対応できる医師になるため全身管理を一から勉強しようと、2年間麻酔科にいたのです。やはり行って良かったですね。さまざまな手術に立ち会い、胃がんや胆石、心臓疾患、そして脳出血や動脈瘤などの麻酔も経験しました。内科の医師でありながらいろいろな手術を見られたことは今、患者さんを病院に紹介するときに役立っています。どういう手術でどういう予後を送るのかを説明することで、患者さんの不安を少しでも軽くできればと考えています。
麻酔科での経験を経てどのようなご経験を積まれたのでしょうか。
麻酔科での学びを最も生かせる循環器内科に改めて入局しました。そして大学の関連病院に出向になり、心臓内科でカテーテル部門のスタッフとなりました。当時はカテーテル治療の黎明期。従来は内科の医師が心筋梗塞の患者さんにできることはなく、外科に紹介するしかなかったのですが、カテーテル治療の登場でそれが変わりましたね。私はカテーテルをぜひ学びたいと思い、カテーテル部門に進みました。その後松本病院が循環器内科を立ち上げるのに合わせて同院へ行きました。開業後うれしかったのが、勤務医時代にカテーテル治療をした人が来てくれることです。当時は深夜2時、3時に呼ばれることも少なくなくて大変だった分うれしいですし、医師冥利に尽きますね。
最後に読者へのメッセージをいただけますか。

何でも相談していただきたいと思います。循環器の患者さんが増えていると言いましたが、循環器に限らずいろんな患者さんに気安く来ていただきたいです。また、在宅医療にも対応していますのでご相談ください。私が心がけているのは、かかりつけ医としてなるべく親切に手厚くやりたいということ。紹介先の病院まで訪問するのもそういう気持ちからですが、親切にされて嫌がる人はいないと思うんです。勤務医時代もどんなに忙しくても病室まで行っていましたけれども、寝ているのを起こしてしまっても「うるさいな」という人はいませんでしたし。開業医の今はなおのこと、かかりつけ医として近くで親切に手厚く診療していきたいと思っています。

