藤原 康典 院長、藤原 玲子 先生の独自取材記事
藤原医院
(京都市山科区/東野駅)
最終更新日:2024/08/06

京都市営地下鉄東西線・東野駅より徒歩6分、住宅街の一角にある「藤原医院」。藤原康典院長こだわりの四季折々の草花が楽しめる庭園に囲まれた同院は、1993年に開院。30年以上の間、地域の健康を支えてきた。「常に最前線の医療を患者さんに施し続けたい」という藤原院長の思いのもと、多彩な機器をそろえ、検査や手術にも対応。娘の藤原玲子先生の他、5人の非常勤医師とともに、多くの視点で患者の見立てを行う。努力を惜しまず勉強し続けてきた院長と、その姿を尊敬し支えたいと勤務を決意した玲子先生に、医院の強みやこだわり、患者への思い、今後の展望について聞いた。
(取材日2024年5月30日)
努力を続ける父、その姿を見て支える決意を固めた娘
医院の前のお庭が印象的ですよね。まずは、医院づくりのこだわりからお聞かせください。

【康典院長】私も妻も花が好きなので、「森の中に車を止めるイメージにしたい」とオーダーして、庭・駐車スペースをつくりました。患者さんに和んでもらいたいという思いでベンチを置いているのですが、天気のいい日には座って庭を眺めている方もいらっしゃいますね。
【玲子先生】病気自体がハッピーなことではないので、せめて行きたいと思ってもらえるような場所でありたいと考えています。院内にも随所に季節の花を飾り、クリスマスやお正月にはデコレーションをすることも。楽しみに来ていただいている患者さんも多いんですよ。
2023年で開院30周年を迎えられました。医院の歩みについて教えてください。
【康典院長】私は洛和会音羽病院で長年勤務しており、よく知っている山科で自分のクリニックを開こうと考えました。1993年に開業し、30年以上たちましたが、開業時から通っていただいている方や、そのご家族の紹介で来られる方も多いですね。「医療は日進月歩で発展している。常に最前線の医療を患者さんに施し続けたい」という信念を持って、診療にあたっています。そのため、30年間絶え間なく勉強を続け、多彩な機器も駆使しながら、“小回りの利く診療”を心がけてきました。
そんな院長の姿を見て、玲子先生も医師をめざされたのでしょうか。

【玲子先生】開業以来、父も母もとても忙しそうでしたが、患者さんが喜ばれている姿を見て子ども心に「いい仕事だな」と感じていた記憶があります。父は、良くも悪くも頑固な性格。もともとは心臓血管外科の専門でしたが、大きく内容の違う内科から皮膚科、整形外科の分野についても勉強を続け、現在も努力を重ねている姿は、尊敬してやまないところです。実は、専門や職種が細分化されているのが当たり前の時代に、これだけ幅広い診療をしていることに、正直大変そうだなと感じていたんです。しかし、30年かけて両親が築いてきたものであり、頼ってくださる患者さんがたくさんおられる中で、私も精いっぱい支えたいと思い、当院で働くことを決めました。
家族だからこそ生まれる会話の時間が大きな強みに
診療の特徴や強みを教えてください。

【康典院長】当院では、高血圧やコレステロール、糖尿病などの生活習慣病についてのご相談に加え、エックス線やエコー、胃カメラなどの検査、皮膚のできものやペースメーカーの埋め込みなどの日帰り手術など、幅広い診療を行っています。これは、勤務医時代から感じていた、一つのことだけをするのではなく、医療レベルを高いところで保ちながら診療するべきだという思いから。診療科によって今日はあちらへ、検査が必要なのでこちらへと、いろいろな医院に通うことは患者さんにとって大きな負担になるはずかと思います。まずは、どんな症状でも「藤原医院に行けばいい」と思っていただける医院にしたいですね。
玲子先生の思う、医院の強みは何でしょうか。
【玲子先生】現在は私の姉と妹も当院の診療に携わっていますので、家族同士が顔を合わせている間は、ずっと患者さんの話をしています。情報共有に使える時間が長いことは、大きな強みだと思います。というのも、24時間といっても過言ではないほど、常に患者さんのことを大切に考え、責任感を持って向き合う両親の姿を、私たちは子どもの頃からごく当たり前に見てきました。スタッフも開業当時から勤務している方が多く、患者さんの状態をしっかりと把握し、一丸となってサポートできていると感じています。
現在は、院長と玲子先生の他、5人の非常勤の医師がいらっしゃるとお聞きしました。

【康典院長】はい、循環器をはじめ呼吸器や脳神経内科など、さまざまな専門を持つ先生に来てもらっています。メリットは、多くの視点で見立てができること。診療が偏ることなく、幅広い可能性を念頭に置いた対応が可能です。特に、検査の結果を「これどう思う?」と相談し合えるので、注力しているがんの早期発見、脳梗塞などの予防に役立っています。また、玲子先生は優しく考え方がスマートなところが、私とは違う。本人も話していたように、なかなか決断するまで時間がかかりましたが、当院で働いてくれるようになり、本当にうれしいです。彼女の存在が強みになっていくでしょうね。
父娘が協力し、患者の生涯の健康をサポートする
あらためて、大切にされている思いをお聞かせください。

【康典院長】痛みを訴えている間の一時だけではなく、相手の生涯の責任を持たなければいけないと思いながら、患者さんに接しています。その一つとして、通えなくなった方も最後まで診られるよう訪問診療に対応。30年通い続けてくださっている方から「最後は先生に看取ってもらいたい」と言っていただくこともあり、できる限り応えていきたいですね。
【玲子先生】私は患者さんにはとにかく楽しく生きてほしいと思っています。病気になればつらいですし、元気な人がうらやましく感じますよね。苦しい思いを抱える期間をできる限り短くしてあげたいし、病気は早く見つけてあげたい。そうやって患者さんがハッピーに生きて、一生を終えられるようお手伝いすることが、地域の医師の役目なのかなと考えています。
かなりお忙しいと思いますが、お二人の健康の秘訣は何でしょうか。
【康典院長】私はとにかく頭を使わない時間をつくることです。なんでも割りきって、必要ないことを無駄に考えすぎないようにしています。それから、孫の存在は元気の源。よく玲子先生が医院に連れてくるのですが、「こんなにかわいい生き物はいない」といつも思いますね。
【玲子先生】私は子育て中なこともありますし、当院での仕事について考えることもあり、自分に割ける時間は取れていないのですが……。子どもたちにとって、ここは母親の職場であり、なんでも許してくれる祖父がいる家でもあるので、ありがたい環境ですね。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

【康典院長】一番は、診療のレベルが下がらないよう、協力しながら多くの目で患者さんを診ていくことです。その上で、これまで私一人で診てきた患者さんたちが、玲子先生をはじめ当院の医師との相性の良さを感じてもらえれば、引き継いでいけるのかなと考えています。
【玲子先生】まだ私は地域医療に関わるようになって日が浅いので、ここでの診療に慣れることが第一ですね。また、これまで心臓リハビリの勉強をしてきたので、体力が落ちてきた方のリハビリができるような環境をつくりたいと考えています。父がしてきた診療をすべて引き継ぐことはできない分、私や姉ができる新たな道を検討していきたいですね。