清原 あずさ 院長の独自取材記事
早川医院
(京都市中京区/丸太町駅)
最終更新日:2025/07/08

京都市営地下鉄烏丸線・丸太町駅から徒歩3分。京都御所からほど近い、風情ある町並みにたたずむ「早川医院」。早川久仁子前院長から娘の清原あずさ院長へと継承され、2025年にはリニューアルオープンした。京都府内の総合病院などで、重症の外科手術にも対応するなど、20年以上にわたって研鑽を積んできた清原院長。その経験や知識を生かし、近隣住民のかかりつけ医院をめざすべく、日々診療にあたっている。母と2人、今後もクリニックの歴史を紡いでいきたいと語る清原院長に、これまでの経験や継承の背景、注力する診療などについて聞いた。
(取材日2025年6月6日)
母に憧れ医師の道に、家族の後押しを得て継承を決意
まずは、医師をめざしたきっかけからお聞かせください。

私の母であり、現在も当院で診療にあたる前院長が、この地で当院を開いたのが1980年です。実家も同じ場所にありますので、働く母の姿を見てきたことが、やはり医師をめざした最初の動機だと思います。身近に頼れる医師がいる安心感といいますか、患者さんから感謝されている声も聞いていたので、そんな存在に自分もなりたいと子どもの頃から考えていました。私には兄と弟がいますが、医師になったのは私だけです。母から勧められたことはありませんが、私が医師の道を志すと伝えた時には、喜んでくれたと思います。
これまでのご経歴を教えてください。
兵庫医科大学を卒業後、京都府立医科大学の皮膚科に入局し、その後は洛和会丸太町病院や京都岡本記念病院などで経験を積みました。特に現在の診療には、京都第二赤十字病院の部長との出会いが大きく影響していると思います。あまり皮膚科の医師にはいないタイプといいますか、とても個性的で豪快であり、それでいて診療経験の豊かな先生でした。大学病院では難治性や悪性の患者さんが多いのですが、京都第二赤十字病院では、町のクリニックでよく診る症状の方が来ることもあり、このケースではこんな対応をするというような、こまやかな指導をたくさんしていただきました。私自身が若かったので、何でも聞けたのでしょうね。外来も担当したので、1人の患者さんの経過を長く追って診ることができました。
2025年に院長に就任されました。継承に至った背景は何だったのでしょうか?

きっかけは、2021年に父が亡くなったことです。外科の医師だった父は長らく勤務医をしていましたが、晩年は当院で、母と2人体制で診療にあたっていました。両親ともに元気だったので具体的な話をしたことがなかったのですが、急に母だけになってしまい「このままであれば、閉めざるを得ない」と言われて……家族に相談したところ、夫と息子が背中を押してくれました。40年以上地域の方を支えてきた当院ですので、その灯を絶やしてはいけないと思い、すぐに継承を決断しましたね。2021年1月から非常勤として勤務し、2025年2月には院長になり、リニューアルオープンしました。
丁寧な対話を心がけ、皮膚症状のかかりつけ医をめざす
リニューアルで建物も生まれ変わりました。どのような所にこだわりましたか?

以前は少し狭く、診察室も1つしかありませんでした。美容皮膚科の診療には時間がかかるものもあるため、スペースを広げて処置室と施術室を新設しました。施術室は個室になっているのでプライバシーにも配慮しつつ、診察と施術を同時進行で対応できます。温かみを感じられる木目調で全体をまとめ、キッズスペースも新たにつくりました。自由に書ける黒板がお子さんに人気なんですよ。もともとは高齢の方が多かったのですが、夕方の診療時間にお子さん連れの方が増えてきたので、キッズスペースを設けて良かったなと思っています。
診療の際に心がけていることはありますか?
とにかく丁寧に見て・聞いて・説明することを心がけています。時には採血や皮膚生検などの検査を勧めたり、次に何ができるかを提示したりと、一人ひとりに合わせて進めていくようにしています。「何か大きな病気だったらどうしよう」「痕が残ったらどうしよう」と不安を抱えて来られる方も多いので、まずは「大丈夫ですよ」とお伝えして、安心感につなげるようにしています。反対に「こんなことで来ても良いのかな」と悩んで受診をためらう方もいるので、あまり構えずに来ていただけるような雰囲気づくりに気を配っています。特に女性の患者さんには、同じ女性としてお伝えできることも多いです。「また来ても良いんだ」と思っていただければうれしいですね。
注力している診療についてお聞かせください。

現在は、悩まれている方が多いニキビなどに注力しています。これらの疾患は腰を据えて治療に取り組むことで改善をめざせる一方で、通院を継続できない方が多いことが課題です。そこで、治療経過のイメージを持ってもらえるよう図を使って説明しています。「根気強く頑張りましょう」と話して、次回の予約も取って帰ってもらうようにしています。途中で脱落せずに来てくれる方が増えるように、この調子で続けていきたいですね。また、勤務医をしていた頃は皮膚がんの切除ややけどの植皮など、外科手術を経験してきました。さまざまな患者さんを診てきたからこそ、悪性かどうかの見極めなどもできますし、必要であればすぐに提携する医療機関にご案内することも可能です。患者さんに近い場所で、何でも相談できる「皮膚のかかりつけ医院」をめざしたいですね。
両親の築いた歴史を守り、これからも母とともに
皮膚科や美容皮膚科に加え、外科も標榜されています。

以前は父が外科を担当していましたが、継承のタイミングで母と相談し、私の経験を生かして引き続き対応していくことを決めました。指を切った・転んだ・何かが刺さった・腫れているなどのご相談は以前からあったんです。聞くと「どの診療科に行けば良いかわからない」という方が多いんです。父が診療をしていた時からの患者さんは、当院に外科のイメージを持っている方も少なくないのかもしれません。ほくろやイボ、粉瘤の切除などにも対応していますので、気軽にご相談いただきたいですね。
スタッフや早川前院長について教えてください。
スタッフは、受付の2人を除き、今回のリニューアルで新たに加わってくれたメンバーです。穏やかな方が多く、患者さんが構えずに来ていただけるような空気感につながっていると思います。キッズスペースとは別に、美容関係の知識や商品のアピールのために黒板を設置したのですが、どう使っていこうかと悩んでいたところ、看護師がかわいく仕上げてくれました。毎月変わる絵柄と手書きの文字で、温かみのあるカフェのような雰囲気がお気に入りです。現在も一緒に診療している早川前院長は、娘の私も驚くほど元気な人ですね。能の楽器や舞を習いに行ったり寺社仏閣をめぐったり、とても社交的ですね。待合スペースに置いている本は早川前院長が選んだものです。かなり歴史のある物や新しい世界が広がるようなラインナップで、読むのを楽しみに来る患者さんもいらっしゃるんですよ。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

両親が40年以上この地で紡いできた歴史を守り、今後もあえて大きく変える必要はないと考えています。和の文化が好きな母と、西洋のクラシックが好きな私と、正反対な部分も多い親子ですが、一緒に当院を盛り上げていきたいですね。また、私も中学生の息子を持つ母親なので、お子さんの肌トラブルなどに驚いたり悩まれたりされている方に、寄り添った治療ができると思っています。赤ちゃんから高齢の方まで、皮膚のことで困ったら気軽に相談できる場所をめざしていますので、お気軽にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とはイボ・ほくろ除去/6000円~