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大寳 あさ子 院長の独自取材記事

勝目医院

(京都市上京区/二条駅)

最終更新日:2024/09/27

大寳あさ子院長 勝目医院 main

世界遺産・二条城のほど近く、千本丸太町の交差点から徒歩3分の場所に立つ「勝目医院」。大寳あさ子(おおたから・あさこ)先生が、2018年に父親である故勝目紘(かつめ・ひろし)先生から院長職を継承し、長年地域住民から親しまれているクリニックだ。親子で専門にしてきた循環器内科を中心に、内科全般の診療に対応。さらに、2014年からは心臓リハビリテーションを実施し、近年問題になっている心不全患者の再入院予防に力を入れている。診察室からは手入れの行き届いた日本庭園を見渡すことができ、癒やしの作用にも一役かっているという。誰もが病気を理由に日々の生活を諦めることのないようサポートしたいという大寳院長に、父からの教えや注力している診療、患者への思いなどを聞いた。

(取材日2024年6月29日)

父の教えを継ぎ、理解と納得のための説明を重視

医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

大寳あさ子院長 勝目医院1

当院の前院長である父の影響が大きいですね。高校生の頃、倒れた家族に応急処置を施す父の姿を目の当たりにし、同じように社会貢献したいと考えるようになりました。循環器疾患は全身に影響を及ぼす一方で、治療後の患者さんの姿を見る喜びもあります。そこにやりがいを感じ、父と同じ循環器内科を専門とすることを決意しました。父は2018年に他界しましたが、遺品には医学雑誌の切り抜きや専門書がたくさんあり、常に勉強を続けてきた熱意が伝わってきました。父から学んだ「常に知識をアップデートして治療の必要性や薬を飲む目的などをしっかりと丁寧に説明し、患者さんに納得してもらう」という考え方は、今も最も大切にしている診療スタンスです。

全身に影響を及ぼすという循環器疾患について、詳しく教えてください。

「人は血管とともに老いる」という言葉があり、特に循環器内科で対応する疾患の多くは動脈硬化を原因として、全身のさまざまな病気を引き起こします。心不全や心筋梗塞など、最悪の場合は死に至るような病気と向き合っていく必要があります。高血圧症や脂質異常症、糖尿病は循環器疾患の発症リスクを高めるので、それらの管理をしっかり行い、血管の病気をできる限り回避することは、循環器内科医の役割だと考えます。例えば健康診断でコレステロール値の異常を指摘されていても、日常に支障が出ていなければ気にしない方もいます。その他のリスクも踏まえ、コントロールが必要と判断した場合は、先ほどの診療スタンスとつながりますが、なぜ生活習慣の改善が必要なのか、投薬が必要ならばどんな薬なのか、小さな積み重ねの大切さを理解してもらうための説明を重視しています。

早い段階からの積み重ねが重要なのですね。心臓リハビリを実施されていることも特徴ですね。

大寳あさ子院長 勝目医院2

心臓リハビリとは、慢性心不全や心筋梗塞、狭心症、心臓手術を受けた方などを対象に、保険適用で受けられるプログラムです。当院では、ストレッチ・有酸素運動・筋力トレーニングの3つを軸に、週に1度、1時間ほど、体の状態に応じてリハビリを実施しています。患者さんの些細な変化にもすぐに気づくことができ、食事や趣味、生活環境などの背景を理解した治療ができることも特徴です。父が院長をしていた2014年に導入して以来、多くの患者さんにご利用いただいています。また、リハビリ用のエルゴメーター(自転車)からは窓の外の庭を眺めることができます。日本庭園の鑑賞は心の癒やしにつながるという報告もあるので、体を動かしながら心もより元気になっていただければ、うれしいですね。

心不全患者の増加に伴い感じる、医師としての使命

注力されている診療についてお聞かせください。

大寳あさ子院長 勝目医院3

近年、高齢化などを背景に心不全の患者さんが大幅に増加しています。心不全は心臓のポンプが傷み、息切れやむくみ、疲労感などの症状を引き起こし、悪化すると入院治療が必要になります。当院に通院している心不全の患者さんに、入院が必要になるまで重症化しないでほしい。そして、そうならないためのお手伝いが当院の一つの大きな役目だと考えます。高血圧症や糖尿病が心不全の「ステージA」と捉えると、放置している間に進行してしまっている恐れがあります。心不全の症状が出るもっと前の段階で患者さんにリスクや治療の必要性を伝えることが、町のかかりつけ医にできることであり、私の重要な責務だと感じています。

心不全を進行させない、入院にたどり着かないようなケアを役割と認識されているのですね。

そうですね。それに加えて、心不全の患者さんの再入院の予防も大きな課題です。治療を終えて、せっかく退院しても1年以内に再入院してしまう患者さんが3割ほどいるといわれています。京都府では京都府立医科大学を中心として基幹病院と町の診療所が連携を取りながら心不全の再入院を予防する取り組みを進めています。私もさまざまな勉強会や情報共有会に参加し、ネットワークの一員として関わっています。心不全で入院すると、身体機能が大きく低下します。食事や運動などの生活指導や薬の量の調整を行い、できる限り日常生活を保ちながら、その人がその人らしく過ごせるようサポートをしつつ、心不全の重症化と再入院を防ぐために尽力しています。

先ほどの心臓リハビリのお話ともつながりますね。

大寳あさ子院長 勝目医院4

再入院の予防や予後の改善のためには薬での治療や日常生活管理とともに運動が大切ですが、どんなことをどこまでするべきかわからない患者さんも多いと思います。その人に合わせた運動を当院で一緒に行い、ご自宅でも続けてもらうことで、疾患があっても楽しく過ごすことができる「日常生活のレベルアップ」につながればと考えています。地域に心不全の患者さんの退院後の受け皿が少ないといわれています。また介護連携も必要な事態が多くあります。今後この取り組みの仲間がもっと増えて、京都府内全域で患者さんを支えていけるような環境をともにつくっていきたいですね。

病気と上手に付き合えるように「伝え続ける」

院長に就任されて6年がたちました。この間の変化や感じたことをお聞かせください。

大寳あさ子院長 勝目医院5

ここ数年は、心不全とはまた別の原因で脚が極度に腫れた、下肢静脈うっ滞の高齢者を診ることが増えたと感じています。新型コロナウイルス感染症の流行や猛暑で外出を控えることが増えたことも一因になっているのかもしれません。自宅で1日中同じ体勢で座っていることが、足のむくみにつながると考えています。あまり問題だと感じていない方も多いのですが、むくんでいると歩きづらくなり、それがさらに悪化するといったようにどんどん悪循環に陥ってしまうので、何とか対策を講じたいですね。運動は良い対策と考えますが、高齢の方に外に出て歩きましょうといっても難しいことが多く、「テレビを見ながら脚を動かしてみてください」「思い出したら椅子から立ち上がってみてくださいね」と、簡単に取り組めるアドバイスをしています。家にじっといることは孤立にもつながるので、高齢者サポート施設の方々とも連絡を取り対応を協議することも増えました。

循環器疾患や心不全の再入院予防、足のむくみに至るまで、やはり大切なのは運動なのですね。

筋肉も骨も動かすことで本来の機能を保つことにつながります。診察中は立ったり座ったり腕を上げたりといろいろ実践して見せるのですが、家に帰ったら忘れてしまう方もいらっしゃいます。だから、毎回お会いするたびに伝えているんです。患者さんからご自宅で頑張ったことを教えていただくと、とてもうれしくなりますね。運動の重要性を含めて、何ごとも伝え続けることが大切だと感じています。ちなみに、心臓リハビリをしている患者さんの隣でストレッチをしていたおかげで、私もはつらつとした気持ちで過ごせるようになった気がします。「運動」というほど大がかりでなくても、体を動かす大切さを感じています。

最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

大寳あさ子院長 勝目医院6

日々の心がけで予防につながる疾患はたくさんあるので、運動や食事など生活改善の大切さを伝え続けたいと思います。そして、病気は特別なことではなく、誰にでもいつでも起こり得るものです。多少なりとも日常生活に支障が生じることもありますが、病気が日常のすべてを奪ってしまうことがないよう、サポートしたいと考えています。病気を特別視して、患者さんが人生を諦めるようなことがないよう尽力したいですね。当院では「病気と上手に付き合っていきましょう」と伝えることを意識しています。患者さんに合わせた治療や過ごし方を一緒に考えていければと思っているので、何でもご相談いただきたいです。

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